「目がぁぁぁ〜!」大阪のつまようじ会社、検品風景に騒然

2022.9.5 07:45

話題となった検品風景。1本ずつ目で確認していく

(写真3枚)

「国産爪楊枝の検品 ウソみたいだろ? 目視でピンセットで不良品取り除いてるんだぜ? 目が、目がぁぁぁ~!」という叫びとともに投稿されたのは、タテ・ヨコとぎっちりと詰まったつまようじの壁に、ピンセットが差し込まれたインパクト大の写真。

ツイッターでこの投稿が拡散されると、「職人さんってすごい」「この写真でもどれが不良品なのか、一般人には分かりません」「先端恐怖症はできないやつ!」など、職人技への驚嘆の声が寄せられた。

ツイート主は、1960年創業、大阪府河内長野市の地場産業であるつまようじ・黒文字ようじの製造をおこなう「菊水産業」の4代目・末延秋恵さん。見ているだけで目がチカチカしてくるような検品作業について、末延さんに話を訊きました。

■ 地道すぎる手作業で支えられている、国産つまようじ

──あれほどのつまようじのなかから、目視で不良品を見つけ出すなんて・・・相当な技術が必要なのではないでしょうか。やはり従業員のなかでもキャリアの長い方が担当されるのですか?

いえ、うちの従業員はみんなこの検品作業ができます。ありがたいことにSNSでも褒めてもらっているのですが、実はそんな至難の技というわけでもないんです(笑)。

不良品のつまようじには、形や木の破片が出ているなどの特徴があります。なので、毎日のようにつまようじを見ている従業員なら 、すぐに見分けられますよ。ただ、夕方になって目が疲れてくるとさすがに見えにくくなってしまいますが・・・。

──なるほど、特徴をつかめると見分けられるんですね。でも素人目からすると、どのつまようじが不良品か見当もつきません!

検品では、先が尖っていない、削りすぎて細くなりすぎている、先が割れているつまようじなどを「不良品」として取りのぞいています。不良品の数はその都度変わりますが、なにしろかなり古いタイプの製造機械を使っているので、機械の調子が悪い時や材料が湿気で悪い状態の時は不良品もたくさん出てしまいます。かと思えば、機械が絶好調で不良品が少ない場合もありますね。

不良品の一例。ささくれが出ていると取り除く必要がある

──写真を見ているだけでも目や指が疲れてきそうなのですが、検品作業で疲労はたまりませんか?

やっぱり、長時間やってると疲れてきますね。目の焦点が合わなくなってくるので、拡大鏡を使ったり・・・。あとは、ちょっとお高い目薬をさして対処しています(笑) ただ、検品は毎日の作業というわけではないので、一時的な疲労はありつつもなんとかなっています。

──毎日というわけではないんですね。ちなみに検品の頻度はどのくらいなのでしょうか。

検品は製品の納品があるタイミングでおこないます。少ない時は2ケース、多い時で5ケース分を納品しますが、どちらも1日で終わる量ではないので納期まで数日に分けて検品していきます。だいたい、半日作業をすれば1ケース半が終わりますね。ちなみに、1ケースあたり、約9万本のつまようじが入っています。

──半日で13万本以上のつまようじをチェックするってことですか!? これから、普段使っているつまようじを見る目も変わりそうです。

今回の検品もですが、本当はまだまだ細かい作業があります。なにせ国産つまようじは白樺の丸太から作っているので・・・。日常でちょっとでも意識していただけるとうれしいです。

つまようじといえば、持ち手に溝が入ったフォルムを思い浮かべる人も多いはず。しかし、溝が入ったタイプのつまようじを製造している企業は、「菊水産業」を含めて国内に2社しか残っていないそう。今や貴重な国産つまようじの製造は、地道すぎる手作業と目視によって支えられている。

取材・文/つちだ四郎

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