「すごく菊地凛子」悪女・のえ登場、SNS歓迎の声【鎌倉殿】
三谷幸喜脚本・小栗旬主演で、鎌倉幕府二代執権・北条義時を中心に描く大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)。9月4日放送の第34回『理想の結婚』では、義時の3人目の正室となるのえが初登場し、初回から大きなインパクトを与えた(以下、ネタバレあり)。
■ 菊地凛子演じる義時3人目の正室・のえが登場
実朝に京都から御台所を迎える準備が、執権・北条時政(坂東彌十郎)の娘婿・平賀朝雅(山中崇)を中心に、着々と進んでいた。しかしその一方、時政が御家人たちから賄賂を受け取ったり、もう1人の娘婿・畠山重忠(中川大志)から先祖代々受け継いできた役職を取り上げようとしていることに、義時は不安を感じる。
やはり最近の時政の振る舞いを心配する、大江広元(栗原英雄)らの文官は、義時に二階堂行政(野仲イサオ)の孫・のえ(菊地凛子)との縁談を持ちかける。義時の過去や環境もすぐに飲み込むなど、なにかと好意的なうえに、蔭で見ていた八田知家(市原隼人)のお墨付きもあって、義時は結婚を決意。
しかし比奈(堀田真由)を追い出してすぐの再婚に、息子の泰時(坂口健太郎)は「父上には、人の心がないのですか?」と、強く反発する。
婚礼の不安を義時にしか打ち明けられず、浮かない日々を過ごしていた実朝だが、母・政子(小池栄子)が「実朝の目に入る所に置いてほしい」と三善康信(小林隆)に託していた和歌集を発見し、夢中になってそれを読みはじめる。
一方その頃泰時は、義時に会っているときとは打って変わって、すれっからしな態度で「鎌倉殿の縁者になる」という野望を仲間たちの前で口にする、のえの姿を目撃してしまう──。
■ 鎌倉殿おなじみ「おなごはキノコ好き」巡り、お祭り騒ぎ
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の映画『バベル』(2006年)で、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、世界的にもその演技力が認められている菊地凛子。まさに満を持しての大河&三谷作品初登場であり、しかも演じるのが牧の方(りく)にも引けを取らぬほどの、悪妻との説が根強い「伊賀の方」ということで、キャスト発表の時点で大きな期待を集めていた。
そんなのえだが、義時が女性を口説くときの常とう手段である「大量のキノコ」を見て大喜びするなど、最初は非常に優しく素直な女性という印象。特にキノコの山については、実は今まで送った女性に喜ばれた例が一度もなかった(しかも息子の泰時まで巻き込んだ)ため、こののえの新鮮な反応に、我がことのように大喜びする視聴者の声がSNSで次々に上がった。
「とうとうキノコ好きの女子が現る」「キノコがついに報われた!!!」「ここしばらくずっと瞳からハイライトが消えてたのに、キノコ好きの女子が現れただけでキラキラしてしまう小四郎(義時)くん」「キノコの山盛りを喜ぶおなごが! これだけで小四郎はトゥンクですよ」と、このシーンの直後は本当にお祭り状態となっていた。
しかし『鎌倉殿の13人』恒例、とんでもないフラグやどんでん返しを持ってくる、ラストのスタッフロールの部分。のえが実はキノコ嫌いで、義時の心をつかむための演技だったということがバラされてしまう。
が、視聴者はガッカリするより、「ほら。キノコ好きな女子など、存在しないんですよ」「キノコ好きなおなごは幻想」「菊池凛子が貞淑な妻? キノコ好き?? なんだこの違和感・・・と思ったら予想以上に強烈なキャラ」「本当にダークサイドに落ちても命尽きるまで『おなごはキノコ好き!』を信じ切っていそう」などと、むしろ鬼の首を取ったようなコメントが目立っていた。
■ 「菊地凛子の理由がわかった」今後に注目集まる
菊池は、のえを「すごく女性っぽい女の人(略)今後多面的な部分をたくさん出せるといいのかな」(公式サイトインタビューより)と語っている。そして実際、義時の前で見せるおしとやかな部分と、本音の女子トークをしているときの悪女な部分をパキッと演じ分ける・・・というより、義時の前でも「これ、裏があるんじゃ?」というのを、わかる人にはわかるぐらいに匂わせるという、絶妙な配分の演技をのっけから披露。
これには義時だけでなく、見極め役に選ばれた知家も見事にだましおおせたということで、SNSには「やっとキノコ好き女子に会えてよかったね! よかったね!って思ったら!菊地凛子だった! すごく菊地凛子だった!」「のえに菊地凛子さんをキャスティングしたのが分かったわ」「案の定曲者だったので、逆に気持ちいい」と、菊池の演技をたたえる声が数多く上がった。
さらに、そんなのえを「お前が断ったら、俺が名乗りを上げてもいいくらいだ」というほど「良い女」認定をしてしまった八田知家にも、「どーなってんだよ八田さん! アンタ節穴じゃねーか!」「義時と八田殿は女を見る目無し」「八田どのの評価だだ下がり回でわらう」と流れ弾が飛んでくる結果に。
また「女性に関しては三浦義村(山本耕史)に判定頼んだ方よくない?」「のえさんに義村は全く興味を示さないであろうに1000きのこ」と、八田殿ではなく、実朝に「後腐れのないおなごとの別れ方」を教示していた義村に頼むべきだったという声も、少なからず上がっていた。このまま結婚まで突き進んでしまうはずの、義時とのえの今後の人生に、こわごわながらも注目だ。
◇
『鎌倉殿の13人』の放送はNHK総合で毎週日曜夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夜6時からスタート。第35回『苦い盃』では、朝雅が重忠の嫡男・重保(杉田雷麟)への疑惑をりくに告げたことで、北条・畠山両家の関係が大きく動くさまが描かれていく。
文/吉永美和子
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