のん「私は、なにがあっても好きなことはやり続けたいタイプ」

2022.9.17 19:30

「女優・創作あーちすと」として活躍するのん

(写真8枚)

「目標って天のように高いんです」(のん)

──のんさんも、誰かを育てることになったらやっぱりそういうやり方が理想的ですか。

そうですね、育てる子の気持ちを尊重したいです。その子の好きを膨らませたい。でも、悪いことはちゃんと「ダメだよ」って教えなきゃいけませんよね。そうしたうえで、その子の「好き」をいろんな形に広げてあげたい。

──どういうやり方で広げていくんですか。

私の場合、たとえば「勉強」という形で歴史の人物について学ぶことは、好きではありませんでした。でも現在は、歴史の人物を演じることになったら、ものすごく好奇心を持って映画を観たり、本を読んだりして知識を得ていきます。自分の好きなことを通すと、苦手だったことでも全部がおもしろくなっていくんです。

「その時々の自分のベストはちゃんと出しています」とのん

──つまり、興味の持ち方/持たせ方が大事ということですね。

「好き」を通すといろんなことが頑張れるんじゃないかなって思いますし、間口も広がる気がします。だから、そうやって人を育てるのが理想。でもそんなに良い感じでできるかどうかは、実際には分からないですよね。ついつい「こらーっ!」ってなるかも。「ほら見ろ、だからこうしなさいって言ったでしょ」とか、私はそういうことを言っちゃいそう(笑)。

──ミー坊は、好きな魚のことを仕事にしようといろんな道をたどりながら人生が満たされていきます。のんさんは、「創作あーちすと」という肩書きでも活動をして6年が経ちましたが、創作家としてはどれくらい満たされていますか。

私は演技も、音楽も、どの分野も自分のなかでは満たされたことが一度もないです。もちろん、素晴らしい方々に支えられてできあがった作品はどれも素晴らしいですし、その時々の自分のベストはちゃんと出しています。その点ではすごく満足しています。ただ、「もっとできる」と思っています。もともと自分が掲げている目標って天のように高いんです。

──そんなに高い志があるんですか。

それは朝ドラ『あまちゃん』(2013年)に出演した影響が大きいです。あのときはものすごい人たちに囲まれながらお仕事をしていたので、毎日「自分はまだまだ足りないな」と思っていました。「私もいつかこんな演技をやってみたい」という大御所の方ばかりだったので、自然と目指すものが大きくなったんです。

一方で、あらためて振りかえると「今もそうだけど、あのときも自分はおもしろいことをやっていたな。当時にしか出せないものはちゃんと出せていた」と実感するんです。

「ガッカリして、それが次への糧になる」と語るのん

──間違いなくそう思います。

これは音楽活動をやっているときにも言えるのですが、レジェンドな方たちとご一緒していると、自分も近いレベルでやっているんだという勘違いがついつい起きてしまんです。でもあとから自分のやっていることをみると、当然なのですが全然及んでいない。だから「もっと頑張らなきゃ」となるんです。そういう意味で、いつも満たされていません。自分に対してガッカリして、それが次への糧になります。

映画『さかなのこ』

2022年9月1日公開
原作:さかなクン
監督:沖田修一
出演:のん、柳楽優弥、夏帆、磯村勇斗、岡山天音、井川遥
配給:テアトル東京

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