「サザエさん劇場開幕!」義時、ついに時政パパと対決【鎌倉殿】
三谷幸喜脚本・小栗旬主演で、鎌倉幕府二代執権・北条義時を中心に描く大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)。9月18日放送の第36回「武士の鑑」では、義時が姉・政子と手を組んで、父である初代執権・時政を失脚させる、そのはじまりが描かれた(以下、ネタバレあり)。
■ 「畠山重忠の乱」をきっかけに、信頼を完全に失う時政
三代目鎌倉殿・実朝(柿澤勇人)から、まんまと重忠(中川大志)討伐の下文をせしめた時政(坂東彌十郎)は、重忠が鎌倉殿への謀反を企んでいるとの理由で、御家人たちを招集する。まずは重忠の息子・重保(杉田雷麟)をおびき寄せ、人質として生け捕りにすることをもくろむが、重保が抵抗したために討ち取ったということが、三浦義村(山本耕史)から告げられる。
申し開きのために鎌倉に向かっていた重忠が、その途中で陣を構え、臨戦態勢に入ったことを知った義時は、自ら進んでこの戦の大将となる。和田義盛(横田栄司)の仲裁も虚しく戦がはじまり、義時は重忠と一騎打ちに。落馬した2人はそのまま乱闘となり、重忠が義時に刃を振り下ろすが、その刃は首から外れ、重忠はそのまま戦場を去った。その日の夜、重忠が敗走中に討ち取られたことが、鎌倉殿に報告される。
時政の前に重忠の首桶を持ってきた義時は、「執権を続けていくのであれば、あなたは見るべきだ」と迫るが、時政は中を見ずに去ってしまう。義時は大江広元(栗原英雄)に相談したうえで、時政のもう1人の娘婿・稲毛重成(村上誠基)を、今回の謀反の黒幕に仕立て上げるよう、時政に助言。重成は言い逃れの機会を与えられることなく、義村に殺害される。
しかし義時がもくろんでいたのは、この重成へのなすりつけによって、御家人たちの時政への信頼を完全に失墜させることにあった。時政は第一線から退かされ、代わりに義時の姉・政子(小池栄子)が実朝の補佐として、政治の表舞台に出ることになった。息子や娘に権力を奪われた時政は、妻のりく(宮沢りえ)とともに、2人への怒りを爆発させる──。
■ 「サザエとカツオが動き出した!」SNS盛り上がる
この大河が始まる前に、だいたいどんな内容になるかについて、三谷幸喜は「サザエさん(政子)とカツオ(義時)が手を組んで、マスオ(源頼朝)さんが死んだあとに波平(時政)を磯野家から追い出す」という、「確かに!」という解説を披露していたが、いよいよ本格的に、この構図が実現するときが来てしまった。
SNSでも「ああ! ずっと前に三谷さんがサザエカツオで波平を追い出す話って言ってたの、これだ!!」「カツオとサザエがようやくタッグを組んだ! 私が見たかったコンビだ」「いよいよサザエとカツオが動き出した。さらば波平」「サザエさん劇場開幕」という、待ってましたと言わんばかりの声が相次いだ。
もうここに来るまでに、波平・・・もとい時政パパのブラック化はノンストップ状態だったが、自分が死に追いやった重忠の首を見ようともしなかったところで、視聴者のイライラはピークに。
SNSでは「討ち取った首を見るように義時に言われ、逃げた時政パパ。ダメだなこりゃ」「上に立つものとして、これは決してしてはいけない」「100%自分のせいで、武士の鑑である畠山重忠さんを殺させることになったのに、その首を見ようとしない時政パパを、小四郎(義時)が完全に見限ったのがもう表情でわかって辛い」など、義時に同意するようなコメントが寄せられた。
■ 変わり果ててしまった義時だが・・・「全部大泉のせい」!?
しかし時政を追い落とすために、義弟を冤罪で死に追いやるという義時にも、「小四郎は罪のない者を捨て石にするのを普通に選択肢に入れるようになってしまった。上総介殿のときとは変わり果ててしまった」「時政をおろすために何の罪もない稲毛重成を殺すのは、何の罪もない重忠を殺した時政と何が違うのだ」など、厳しい言葉が飛んでいた。
ただそれに対して義時が、「すべて(源)頼朝さまに教えていただいたことです」という台詞が出ると、「恐ろしい人になってしまったのは・・・頼朝の教え!! 全部大泉のせい!!」「すべて頼朝殿に教えていただきました。意『全部大泉洋のせい』」「ここにきて改めての『ぜんぶ大泉のせい』宣言(笑)」「全部りくのせい、全部時政のせい、いいえ、全部大泉のせい」と、久々に「全部大泉のせい」という言葉で盛り上がった。
そしてこれまで、頼朝からの「政に関わるな」という言いつけを守り、沈黙を守ってきた政子が、満を持して表舞台に出ることに。のちの「尼将軍」への第一歩を踏み出し、SNSでも「ここにおいて北条政子が事実上の『鎌倉殿』となったわけですね」「混乱の極みに達した鎌倉に今こそ、冷静な指導者が必要じゃ! 最強の未亡人! 北条政子の出番じゃ!」「尼将軍! 尼将軍!(うちわを振り振り)」などの応援コメントが相次いだ。
■ 次週のタイトルは「オンベレブンビンバ」という謎の言葉
そしていよいよ次回、北条家に完全な亀裂をもたらす「牧氏事件」に突入すると思われるが、そのタイトルが「オンベレブンビンバ」という謎すぎる言葉だったため、放送が終わった直後から、SNSでは「内容がますます地獄なんですけど、何せサブタイトルが謎すぎて頭に入ってこない」「畠山重忠でみんなの感想を漁りたいんだよ。何でオンベレブンビンバ必死にググる羽目になってんだよ・・・」「畠山殿への涙を、すべて奪った恐ろしい呪文」など、戸惑いの言葉が一斉に流れた。
今のところSNSで有力視されているのは、「ombre per un bimbo」(子どものための影)というイタリア語。三谷は『鎌倉殿の13人』のモチーフのひとつに、イタリアン・マフィアの家族を描いた映画『ゴッドファーザー』を挙げているため、唐突なイタリア語の理由はこれで説明がつきそうだが・・・なにせ視聴者の裏の裏をかくのが大好きな三谷だけに、イタリアとまったく関係ないかもしれないので、どんな正解を持ってくるのか来週に期待しよう。
◇
『鎌倉殿の13人』の放送はNHK総合で毎週日曜夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夜6時からスタート。第37回「オンベレブンビンバ」では、義時と政子の新体制に対して、時政とりくが平賀朝雅(山中崇)を巻き込んで、反撃の狼煙を上げるさまが描かれる。
文/吉永美和子
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