少年隊・錦織一清「世のなかを守ってるのはサラリーマン」

2022.9.22 06:30

舞台『サラリーマンナイトフィーバー』で作・演出をつとめた錦織一清(20日・大阪市内)

(写真4枚)

80年代に一世を風靡したアイドルグループ「少年隊」を経て、現在は舞台演出家として活躍している錦織一清。日本各地のツアーを終え、大阪公演を残すのみとなった作・演出に携わる舞台『サラリーマンナイトフィーバー』の会見が、9月20日に大阪市内でおこなわれた。

■ サラリーマンの友人から着想

本作は、会社でも家庭でも悩みを抱えるサラリーマンの哀愁を、歌とダンスに乗せてにぎやかに見せていく、懸命に働くサラリーマンたちへのエールと言えるハートフル・コメディ。錦織が20年前から構想し、2020年に小劇場で上演したあと、よりショーアップする形で大劇場用の作品にブラッシュアップした。

錦織は、脚本執筆のきっかけを「舞台を観に来た友人たちに『もう少し我々(サラリーマン)に関係のある舞台があったらいいのに』と言われて、サラリーマンを主人公にした作品だったらどうかな? と思いました」と振りかえり、「舞台を観たその友人からは『よくこれだけサラリーマンのことについて調べたね』と言ってもらえました。結構マニア色が強くなったけど、観た方には喜んでいただける舞台になったと思います」と、手応えを語った。

一方、主人公が勤務する会社の社長役で、5年ぶりに役者として舞台に立つ。「初演は(松竹新喜劇の)藤山扇治郎くんがやってくれて、それがすごくおもしろかったんで、プレッシャーがありました」と苦笑いしつつも「歌もちょっと披露させていただくし、ちょうどいい出方じゃないかと思いますが、もう少し出たかった(笑)。実を言うと、いいセリフがあっておいしい役の、ホームレスがやりたかったです」と本音を漏らした。

「今後はハードボイルド系の脚本にも挑戦したい」と話す錦織一清(20日・大阪市内)

■ 「でも、ひとつも仕事のシーンがない(笑)」

舞台では特に奇想天外な事件は起こらず、通勤電車のつらさや、思春期の娘とのギクシャクした関係など、多くの人が「わかるわかる」とうなずきそうなエピソードが中心。そこには作家としての、錦織のポリシーがあるのだとか。

「芝居というのは大スペクタクルより、まずはマクロなことを見せておいてから、ワイドに広げていく方が共感できる」と話す錦織。しかし、「サラリーマンの話なのに、ひとつも仕事のシーンが出てこないんです(笑)。やらなくてもいいことばっかりやってる舞台ですけど、やらなくてもいいことができるのが、舞台の面白さですからね」という。

ちなみに少年隊のメンバーで、実際に娘を持つ植草克秀からは「『娘がいないのに、よく親の気持ちがわかるな』と、ガラにもなくほめてくれました」と言われたことを明かし「『世のなかを守ってるのはサラリーマン』みたいなセリフがありますが、自分で書いてて『まさにそうだよな』と。いろんな地方を回って芝居が固まってきて、大阪ではいいゴールが切れると思います」と力強くアピールした。

錦織のほかには、古原靖久、渋谷天笑、舞羽美海、純名里沙などが出演。公演は10月28日~30日に「大阪松竹座」(大阪市中央区)にて。チケットは一等席1万1000円、二等席6000円、三等席3000円で、現在発売中。

取材・文/吉永美和子

舞台『サラリーマンナイトフィーバー』

会場:大阪松竹座(大阪府大阪市中央区道頓堀1-9-19)
期間:10月28日(金)〜10月30日(日)
料金:一等席1万1000円、二等席6000円、三等席3000円

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