浅沼晋太郎「不毛でいてほしいという歪んだ愛情あった(笑)」

2022.9.20 21:00

左から、夏目真悟監督、上田誠、浅沼晋太郎、森見登美彦、中村佑介(9月18日・京都市内)

(写真7枚)

3週間限定で公開される劇場版『四畳半タイムマシンブルース』の特別上映会が9月18日、京都市内でおこなわれ、主人公の声を担当した声優・浅沼晋太郎、原作者の森見登美彦、原案・脚本を担った上田誠(ヨーロッパ企画)、夏目真悟監督、そして、キャラクター原案を務めた中村佑介が登壇した。

同映画は、京都大学3回生の男子学生・私が、1回生のときに選んだサークルによって自らの学生生活がどのようになるか、その可能性を描いた一人称の「たられば」小説を原作に、2010年には湯浅政明監督によってテレビアニメ化した『四畳半神話大系』、その登場人物が上田誠によるSF戯曲の金字塔『サマータイムマシーン・ブルース』の世界で右往左往する真夏の1日を描いたもの。

満員の観客席から大きな拍手に迎えられた浅沼は、「作品の舞台となっている京都でこの面子でここに立つことができて、僕もファンのような心境で打ち震えています」と挨拶、夏目監督も「この面子で話すこともなかなかないので、どんな話が聞けるのか僕自身も楽しみです」と語った。

「特別に思い入れのあるキャラクター」と語った声優・浅沼晋太郎(9月18日・京都市内)

本作が生まれた経緯について森見が、「上田さんには僕の作品を度々脚本化してもらっているので、たまには僕が上田さんの舞台を小説化することに挑んでみたいと。『四畳半神話大系』のキャラクターを使ってというのが始まりでした」と明かすと、上田は「最初は喜びすぎたら森見さんのプレッシャーになるんじゃないかと思って、そーっとしたリアクションをした気がします(笑)」とコメント。

浅沼が演じる主人公・私の変化について森見は、「『四畳半神話大系』の世界はもう再現できないし、自分が大学院生だった頃に書いたようには書けない。そもそも続編をやるというよりは、ヨーロッパ企画の舞台を小説にするチャレンジだったので、無理に『四畳半』に寄せるのはやめようと思っていました。それでキャラクターが成長したように見えるんじゃないかと」と説明。

それを受けて浅沼は、「僕にとって特別に思い入れのあるキャラクターだったので、成長していてほしくない部分があって。愚かで、どこまでも不毛でいてほしいという歪んだ愛情があったんです(笑)。本作では『私』がどこか頼もしく見えてしまって、『成長しすぎじゃないですか?』と、監督とディスカッションさせていただいて・・・」と告白。

その浅沼の思いを一身に受けた夏目監督が、「浅沼さんが『私』みたいですね(笑)」と返すと、浅沼は「上田さんから『私』みたいにめんどくさいって言われました(笑)」と明かし、観客の笑いを誘った。

イベントの最後に中村は、「完成した作品を観たときにキャラクター原案として関わるアニメとして、まったく不満がなくて。全部完璧にパズルが揃った感覚」と自信を見せ、夏目監督も「作っていて手ごたえのある作品でした。原作の空気感を上手く表現できたと感じています」と笑顔。同映画は、9月30日から3週間限定で公開される。

映画『四畳半タイムマシンブルース』

2022年9月30日公開 ※3週間限定
原作:森見登美彦
監督:夏目真悟
脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
出演(声):浅沼晋太郎、坂本真綾、吉野裕行、中井和哉、ほか
配給:KADOKAWA/アスミック・エース
©2022 森見登美彦・上田誠・KADOKAWA/「四畳半タイムマシンブルース」製作委員会

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