関西人も知らない?「モロゾフ」ガラス製プリン容器のひみつ

2022.10.9 09:00

モロゾフ「カスタードプリン」のガラス容器。食後の再利用は関西人にとって常識!(撮影:Lmaga.jp)

(写真6枚)

「関西あるある」「都市伝説」とまでいわれ、テレビ番組『探偵ナイトスクープ』では自宅での再利用調査がおこなわれるほど関西の定番ネタとなっている「モロゾフ」(本社:神戸市東灘区)のガラス製プリン容器。今年はプリン発売から60周年、関西人にも知られていないプリン容器の裏話を広報担当の岩崎未来さんに訊いた。

■「関西の方が親近感がある」

──全国販売ながら「関西あるある」といわれるこのプリン容器ですが、実際に関西のリユース率は高いのでしょうか?

これまでにそういったデータを取ったことがなく、他エリアよりもリユース率が高いとは言い切れないのですが・・・神戸発祥のブランドということで、やはり関西の方が親近感を持ってくださっているのかなと。関西のメディアで取り上げていただく機会も多いので、そういったイメージがあるのかもしれないですね。

──SNSを見ると、みなさんいろんな使い方をされていますよね。

「プリンをもっとおいしく食べてもらおう」ということで「プリンキャンペーン」を始め、2011年にはリクエストが多かった「プリンキャップ」を作りました。その後、容器の使い道をSNS投稿していただく企画を実施すると、飲み物やお花を入れたり、インテリアとしてもお洒落に使ってくださっていましたね。

──再利用する際、なにか気をつける点はありますか?

弊社のガラス容器は工場で蒸しながら焼き上げる製造過程には耐えられる構造ですが、耐熱容器ではないので、繰り返し熱を加えての料理やキャンドルを入れたりすると割れや破損につながる恐れがございます。

もともと弊社としてはリサイクルを推奨しておりますが、お客さまおひとりお1人が長く愛用してくださっていることはうれしく思っています。

不定期のキャンペーンで登場する「オリジナルプリンキャップ」(撮影:Lmaga.jp)

■ 試行錯誤の末にたどり着いた、渾身の「ガラス容器」

──「進化しながらも変わらない味」で60周年を迎えたモロゾフのプリン。長年続くガラス容器は変化しているのでしょうか?

実は神戸ではなく、1962年に銀座近くの喫茶店で誕生した弊社のプリンですが、発売当初は陶器だったんです。1973年にガラス容器へ変更後、一部地域で試験的にプラスチック容器で販売したのですが、売り上げが大きく落ちてしまって。さらに、当時使用していた素材や製造技術では課題があったため、もとに戻したという経緯があります。

歴代のプリン容器。デザインや重さは少しずつ変化している(撮影:Lmaga.jp)

──そんな過去があったんですね。そこから現在の形に?

品質を安定させ、おいしいプリンをより多くのお客さまへお届けするため、(1)蒸しながら焼き上げる工程にも耐えられる素材(2)カラメルソースの浮きを抑える設計(3)確かな価値を感じてもらえるフォルム、という課題をクリアしたガラス容器にたどり着きました。それ以降、ガラスの技術革新も相まってより軽く安全な容器になるよう改良を続けています。

容器の重さは昔のもとの比べると結構違うんですよ(当初は188g、現在は140g)。さらに、1995年からはミニサイズのプリンも販売しており、たくさんお求めの方にご好評いただいております。

花瓶代わりに使ってもおしゃれ!(写真提供:モロゾフ)

──複数購入すると結構な重量ですが、お客さまから「重たい」という声はあるのでしょうか?

やはりそういったご意見をいただくこともございますが、お客さまにとっては味だけでなく、「モロゾフのガラス容器」という点にも価値を感じていただいているのかなと思います。軽量化もそうですが、お持ち帰りの際や召し上がっていただく時の安全面も含め、お客様のご負担を軽減する取り組みにも尽力しています。

おなじみながら気がつかないところで進化を続けるモロゾフのプリン容器。SNSで「もはやプリンが付いてくるコップ」「全然壊れない」と言われるように、これからも関西人のお宅で活躍し続けるだろう。もし昔のものをお持ちの方は見比べてみては?

取材・撮影・文/Lmaga.jp編集部

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