大阪・岸和田の祭り女子御用達ヘア「地獄編み」、なぜ生まれた?

泉州では「編み込み」といえばコーンロウ、デザインはハートや花など個性豊か(写真提供:岸和田だんじり会館)
3年ぶりに沸いた、大阪・泉州(岸和田市を含む9市4町からなるエリア)の風物詩『岸和田だんじり祭』。だんじりといえば、屈強な男性たちの祭りというイメージだが、実は18歳以下の女子も参加可能。そんな彼女たちの髪型は毎年「コーンロウ」と呼ばれる立体的な細かい編み込みでキメるという風習があるのをご存じだろうか?
「そ〜りゃぁそ〜りゃぁ」と男性たちのドスの効いたかけ声が響くなか、綱(つな)の中心部には迫力満点のたくましいコーンロウ少女たちの姿がちらほら。18歳までと限られた期間しか参加できないものの、彼女たちの曳航力も祭りに大きく貢献しており、男性にも負けず劣らずの勢いで挑んでいる。
■泉州では「編み込み」といえばコーンロウ

「コーンロウ」とは、ブラックカルチャーに起源を持つ編み込みスタイルで、細かく立体的な編み込みを頭にびっしりとあしらった髪型のこと。シンプルな編み込みから、髪で花やハートを象ったものなど仕上がりは人それぞれ。なかには町の紋章やシンボルのデザインなど、なんとも個性豊か。この編み込みは泉州の少女たちにとって、いわば勝負ヘアなのだ。
泉州出身の記者(現在23歳)が幼い頃にはすでに定着していたこの習慣。一体いつから始まったのか? 今年の流行は? そもそもなぜコーンロウなのか? など、考えれば考えるほど疑問に。この謎を解明するため、博物館「岸和田だんじり会館」に問い合わせた。
■仕掛け人は日本で初めてドレッドヘアを手がけた人物
ずばりこの起源について尋ねたところ、「祭りでコーンロウをするようになった起源までは、分からないですねぇ」とのこと。しかし、「ここから始まったという美容室なら・・・口伝えで聞いたんですが」と、美容室「たまねぎ倶楽部」のオーナーであるヒロ・タナカさんを紹介してくれた。
なんとヒロ・タナカさんは日本で初めてドレッドヘアを手がけた、知る人ぞ知る伝説的美容師。彼ならきっと、この風習の起源の秘密を知っているはず。期待を大にして問い合わせると、10月中旬まで祭りシーズンで大忙しとのことだが、泉州エリアすべてのだんじり祭りが終わった直後に話を訊くことができた。
■岸和田女子の「目立ちたい!」精神が生んだ&進化させただんじりヘア

——「だんじり会館」担当者から、祭りのときに最初にコーンロウを始めたのは「たまねぎ倶楽部」さんだとうかがいましたが・・・。
そやろうね。はっきりは覚えてないけど、この編み込みを始めたのはだいたい30年前ぐらいかなぁ。それまでは祭りに参加する女の子はポニーテールやったり、平面的な編み込みを後ろでまとめたりするスタイルが主流やったかな。
——そんな前から続いてたんですね。でも、そもそもどうしてコーンロウを祭りのヘアスタイルとして取り入れようと思ったんですか?
みんな「私を1番にして欲しい」「真似されたくない」っていうのがあってね、それでこっちからコーンロウを提案したら、翌年からそれを真似する子らが爆発的に増えたんよ。最初はシンプルに上でまとめただけやったけど、真似されへんようにってどんどん花柄とか町のシンボル入れたりとかって進化していったな。
■「いかつい」スタイルが少女たちに愛される理由
——コーンロウといえば、ブラックカルチャーに起源を持つヘアスタイル。複雑な歴史を持ちながらも現在では、レゲエやヒップホップのアーティスト、またボクサーなどが好む髪型として少しいかついイメージがあります。なぜこれが女子たちにすんなり受け入れられた上に30年以上も定番として定着しているのでしょうか?
なにより引き詰めた髪にハチマキとハッピがパシッとキマるんやろうね。ほんでね、どんだけ動いてもびくともせん。とくに僕んとこはダブル編みってゆって2人で制作するから力が緩むことがないんですよ。そのかわり「地獄編み」って呼ばれるぐらい、ごっつ痛いけどね笑。それでも祭りに参加する子らにとっては「絶対くずれへん」っていう安心感が大事やから。

——たしかに、祭りとブラックカルチャーはまったく別の文化圏のものなのに、なぜかハッピやハチマキにこのヘアスタイルが合いますよね。今年のだんじりは3年ぶりの開催となりました。今年の傾向や、3年前と変わったことはありましたか?
傾向でゆったら、今年は編み込みを左右の上にまとめて垂らすか、お団子にしてるスタイルをよう見たな。でもやっぱりだんじりを曳かれへんかったこの2年間で祭り熱が冷めてしもうた子もおるみたいで・・・。忠岡町(岸和田近くに位置する)の方では女の子はみんな伝統でモヒカン(サイドを編み込んでアップにするモヒカン風スタイル)にするっていう町があるんやけど、それでは新しい子が入らないからそうゆう独自の伝統がなくなっていってるみたいやね。
◆
つづいては、祭り女子にとって編み込みがどのような存在なのかを探るべく、10代は岸和田と泉大津の2つの町で祭りに参加していたという20代前半の元祭り女子に話を訊いた。
■編み込みは「祭りへのスイッチ」

——泉州ではなぜ、祭りに参加する女子は絶対編み込みなんでしょう?
もう伝統すぎて、正直なんで編み込みやってんのかは分からんねんけど、寝ても走っても水被っても崩れへんし、ハチマキしてもずれてこーへんかったり、わりと機能的やねん。編まれてるときは痛いけど、それで祭りのスイッチもめっちゃ入る。
あとやっぱりハッピ着てるから、唯一個性を出せるのが髪型。ギャラリーとか、ほかの女の子たちから「見られてる」っていう意識がみんな強いと思うから、限られた部分でどんだけ個性出せるかっていうのが勝負やな。何ヵ月も前からどんなデザインにしようか考えて、祭り前にはスマホの写真フォルダーはコーンロウだらけになってたもん(笑)。
いかに細かくびっしり編めるか、いかに綺麗に頭皮が見えてるかっていうのにこだわってたなぁ。だから上手に編んでもらってる子にはみんな「どこでやってもらったん?」って聞いてた。でも同じ町の子のデザインはパクらんって暗黙の了解があった。だから、ほかの町の子のん見て、いいのがあったらそれ覚えて来年やってもらったりしてたよ。

◆
祭り女子にとって髪型は唯一、ほかと差を付けることができる部分。そんななかで編み込みは、すぐれた機能性を持ちながらも存分に個性を発揮できるヘアスタイルとして30年以上に渡って選ばれてきたようだ。
毎年「だれよりも輝きたい」という思いで挑む祭り女子たちにとって編み込みは勝負ヘア、曳行コースはもはやランウェイ。今後訪れる機会があれば、それぞれの個性がせめぎ合う彼女たちのヘアスタイルにも注目してみてほしい。
取材・文/Lmaga.jp編集部
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