中川大志「俳優だからと線を引くのではなく」、殻は破り続ける

2022.10.29 20:15

舞台『歌妖曲~中川大志之丞変化~』で主演を務める中川大志

(写真7枚)

大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)では、迫真の演技力で日本中を沸かせた24歳の中川大志。歳追うごとに厚みが増し、演劇界での「期待のホープ」としての呼び声も高い彼は、まさに時代の経過とともに七変化を見せる俳優であり・・・彼のそんな姿がファンを飽きさせない理由なのだろう。

そして、今回は新たな挑戦として「舞台」に挑む。鬼才の劇作家・倉持裕が作・演出を手がける『歌妖曲~中川大志之丞変化~』では、初座長を務めることとなり、俳優、また20代半ばという1人の人間としても、もっとも勢いのあるフェーズに入った中川。本作への意気込みはもちろん、改めて俳優としての在り方・軸について、話を訊いた。

写真/木村華子 取材・文/Lmaga.jp編集部

■ 「前の自分だったら背負いきれなかったかもしれない」

──今回はご自身の名前がタイトルにも入っていたりと、「完全当て書き」という作品になりましたね。

「当て書きです」と台本を渡されたわけはなかったので、その観点としては読んでなかったですね。純粋に作品として読んでいたので、そのフィルターは意識していませんでした。色んなところにポスターやフライヤーが貼られていて、見慣れないという感じはありますが(笑)。

座長としては「自分がエネルギーを持って進んでいくことが作品の推進力になる」と語る中川

──そうだったんですね。では「舞台」について、訊いていきたいのですが、中川さんにとって本格的な舞台は初めてだそうですが、実は小さい頃からダンスの舞台には立ってらっしゃったんだとか。

そうですね、芸能界に入ってから「その経験が大きかったのかな」と気づきました。それが芸能界に入りたいと思ったきっかけではなかったんですけど、お芝居をしていくなかで、「人の前でパフォーマンスをして、それがお客さんに届く瞬間」というのを子どもながらにも鮮明に覚えていたので、時間を経て自分の性に合った仕事に出会えたのかなって。

──それっておいくつだったんですか?

3歳とか4歳でしたね。当時は、お芝居の経験がなかったんですけど、ダンスで表現するということはしていました。そういう部分では「表現する」ということのルーツにはなっていますね。

『歌妖曲~中川大志之丞変化~』では、主人公の2つの側面「鳴尾定」と「桜木輝彦」を演じる

──ではダンスに始まり、役者の期間を経て、今回ようやく中川さんの原点に戻るというか。中川さんの俳優人生のなかでもターニングポイントのひとつになるのかなって思います。

そうですね、もちろん怖いですし不安なこともあるけど、ここまでやってきたからこそ、舞台上でも戦えるだろうという自信もあります。初めての舞台で、主役を演じるということは、ちょっと前の自分だったら背負いきれなかったかもしれない。

だから今はこの舞台を通して、どういうものを得られて、どういう景色を見ることができるのか、という想像がつかない部分を楽しんでいます。

12月17日〜25日に「大阪新歌舞伎座」で上演される舞台『歌妖曲~中川大志之丞変化~』

──それこそ映像作品の場合は、観ている人の反応や反響ってリアルタイムで分からないじゃないですか。舞台に立ってこそ感じられる「生」の時間というか、そんな非日常な空間が舞台にはありますよね。共演の山内圭哉さんも会見で、「70%はこちらで作るけど、お客さんが残りの30%を作る」と、舞台の特異性について話されていましたね。

その場で出来上がるというのが、すごいことですよね。同じ時間、同じ空気を吸って、同じ温度のなかで・・・ずっと想像してるんですけど、始まってみないと分からないんだろうなって思います。

舞台『歌妖曲~中川大志之丞変化~』

会場:新歌舞伎座(大阪府大阪市天王寺区上本町6-5-13 YUFURA6階)
期間:12月17日(土)〜25日(日)
料金:S席1万3500円、A席8500円、B席6000円、特別席1万4500円

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