「すぐ帰っていれば…」和田合戦の真相に、SNS悲鳴【鎌倉殿】

2022.10.25 06:45

鎌倉御所・執務室にて。息子たちが泉親衡の乱に加担してしまったことについて義時に弁明する和田義盛(横田栄司)(C)NHK

(写真4枚)

三谷幸喜脚本・小栗旬主演で、鎌倉幕府二代執権・北条義時を中心に描く大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)。10月23日放送の第40回「罠と罠」では、有力御家人・和田義盛の討伐を画策する義時と、それを止めようとする政子や実朝との駆け引きが描かれた(以下、ネタバレあり)。

■ 実朝と政子が戦を回避するべく奔走するも…

鎌倉の頂点に立った義時に対して、不満を募らせる御家人たちは、次第に和田義盛(横田栄司)を頼るようになっていった。その頃、泉親衡という謎の人物が、義時に対する蜂起を御家人たちに呼びかけ、それに義盛の息子や甥たちも関わっていたことが発覚。大江広元(栗原英雄)は朝廷の陰謀だと推測したが、実際に親衡を名乗っていたのは、後鳥羽上皇(尾上松也)から鎌倉に遣わされた源仲章(生田斗真)だった。

義盛は義時に息子たちの赦免を懇願するが、積極的に企みに加わった甥・胤長(細川岳)は流罪に。義時は「もっとも頼りになるものが、もっとも恐ろしい」という考えから、義盛をさらに煽って兵を挙げさせ、謀反人として討ち取るという筋書きを作り、まずは捕縛された胤長を和田一族の前にさらすことで挑発。それに続いて、裏でつながっている三浦義村(山本耕史)に、味方のふりをして義盛に近づいてもらい、挙兵をそそのかすという罠を張った。

鎌倉御所・政子の居室にて。北条義時(小栗旬)に「一人で勝手なことをしない!」と叱責する政子(小池栄子)(C)NHK

その動きを知った尼御台・政子(小池栄子)は、三浦が和田につかなければ戦にはならないと考え、義村に「宿老」の地位を授けるのを条件に、北条側に付くよう申し出る。さらに三代目鎌倉殿・実朝(柿澤勇人)は、以前出会った歩き巫女(大竹しのぶ)に、鎌倉で戦が起こることと、ヒゲ面の男たちが大勢討たれることを予言される。それが義盛であると勘づいた実朝は、政子と相談したうえで、義盛を女装させて秘密裏に御所へと呼び出す。

義時と義盛は、実朝と政子の前で対面し、戦を起こさないことを約束した。義時がまだ和田を滅ぼす気でいることを察した政子は、「戦をせずに鎌倉を栄えさせてみよ! なににおびえているのです」と義時を詰問するが、「姉上は甘すぎます」と一蹴される。その一方、弟の時房(瀬戸康史)から「和田殿が好きなくせに。あのお方を嫌いな人なんていませんよ」と言われると、なにも答えることができなかった。

しかし義盛が、実朝と久々に対面したうれしさで、すぐに御所から帰らなかったために、義盛になにかがあったと考えた和田一族は挙兵を決意。折を見て寝返って、義時の側につく予定だった義村だが、義盛の妻・巴(秋元才加)から、決して和田を裏切らないという起請文を記すことを求められてしまうのだった──。

■ 和解したのに…地獄のピタゴラスイッチ発動

勇猛な戦いぶりと、いかつい髭面。絵に描いたような坂東武者ながらも、発言がいちいち天然だとか、イラストがかわいいとか、小鳥がなつくなどの「ギャップ萌え」エピソードを連発し、殺伐とした世界の癒やしとなっていた和田義盛。第40回は、視聴者に愛された御家人の退場を少しでも引き伸ばすかのように、すぐに挙兵という流れにはせず、じっくりと悲劇のドミノを作り上げていくような回となった。

特に義時と義盛が「鎌倉殿のために、支え合っていこう」と約束したのに、義盛の帰宅が遅れたがために、息子たちが兵を動かしてしまった・・・というくだりには、「義盛ー義時レベルでは和解できたのに、下が暴走して、久々の小四郎(義時)地獄のピタゴラスイッチ発動の流れか」「早く帰宅しないで双六しているせいでええええええ」という嘆きの声が、SNSにあふれた。

鎌倉御所・御堂にて。父・義時(小栗旬)に「何故、そこまで和田殿を追い詰めるのです」と問い詰める北条泰時(坂口健太郎)(C)NHK

■ 頼朝と重なる…「怯える」義時を心配する声

また今回、冒頭のナレーションが「その決意の固さは、怯えの裏返しなのか、義時」と、珍しく義時に呼びかける形になっていたこともあり、「おびえ」に注目して視聴した人も多かったよう。

それはどうやら、息子・泰時(坂口健太郎)のために、後顧の憂いを排除しておきたいとの思いから来ていたことがわかると、SNSでは「義時、結局鎌倉のためじゃないんだよなあ。青い彼のために辺りを更地にしておかないと不安なのよ」「義時が今和田殿を粛正しようとしているのは泰時のため。なんだかんだ自己犠牲ではあるのですが、父上は間違っていると叫ぶ泰時は正しいのですが。小四郎どうしてそんな辛い道に・・・」と、しんどさを吐露する人が続出。

さらに、晩年は自分の地位を守るために、義時がいさめるのも聞かずに身内を粛清しまくった源頼朝(大泉洋)と重ねて、「不安に思ったら滅ぼす。頼朝イズムが、浸透してる」「怯えゆえに意固地になり攻撃的になって、余計に敵を増やしてしまう辺りは、義時と頼家の似た者同士感がすごい」「武家の頂点に君臨した頼朝であっても、精神的な不安定さが印象強いし、義時の精神がすり減っているのも当然だろう。義時の精神状態が心配になってきた」と懸念する声も数多く上がっていた。

鎌倉御所・庭にて。甥の胤長がひどい仕打ちを受け悲しむ和田義盛(横田栄司)(C)NHK

■ 和田義盛、合戦の直前でも「愛嬌」が炸裂

しかしそんなダーク&ヘヴィな展開のときこそ、笑いを盛り込んでくるのが三谷幸喜のやさしさ(?)。予告の段階で視聴者をざわつかせた、時房の「無数の和田義盛が集まってます!」発言だが、その真相は胤長の恩赦を求めて、義盛の一族郎党100人近くが御所に押しかけるという、非常に重(暑)苦しいシーンだったのだが、その絵面は確かに強烈で、時房がこう口走るのもいたし方ないと思えるレベル。

SNSでも「めっちゃシリアスに展開してるのに、めっちゃシリアス口調でトキューサ(時房)が『無数の和田義盛』とか言うから声出して笑ってしまう」「九十人以上の髭面とか恐怖だろ」という報告が。またこのパワーワードを生み出した時房に対して「さすがプルップを編み出した男、センスが違う」という称賛(?)もあった。

また、義盛が密会のために、北条家の秘策「女装」を使って、こそこそと御所に参上する展開では、「おーい、実朝ちゃんじゃなく和田殿が女装するんかーい!!!」「女装は良いとしてもヒゲにリボン結びして真顔でこっち見ないでほしい」と、衝撃と爆笑を隠せないコメントが次々に。次回はついに退場確定の義盛、猛々しくも愛嬌たっぷりな彼が、どのような散り方を見せるのかに注目したい。

『鎌倉殿の13人』の放送はNHK総合で毎週日曜夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夜6時からスタート。第41回『義盛、お前に罪はない』では、義盛の身を案じた息子・朝比奈義秀(栄信)らが、北条打倒のために決起した「和田合戦」の様子が描かれる。

文/吉永美和子

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