実はベテランだった、朝ドラに登場する東大阪市のゆるキャラ

2022.11.5 08:30

東大阪市のマスコットキャラクター・トライくん。リニューアル後は子どもたちからの人気が高まったそう

(写真4枚)

10月3日より放送されている連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK朝ドラ)。ヒロイン・岩倉舞(福原遥)の出身地が東大阪市なだけあり、作中では同市を代表する町工場やねじ、ラグビーなどが重要な要素として散りばめられている。

そんななか、作中に市のマスコットキャラクター「トライくん」が登場した際、「トライくんおるやん!」「トライくんご出演」など、一瞬の映り込みにもかかわらずSNSをにぎわせたことも。

ヒロインの幼少時代が描かれた1994年はもちろん、2022年の今も現役で活躍するトライくん。そこで、トライくんの窓口である東大阪市の「国際観光室」(所在地:東大阪市荒本北)に詳しく訊いた。

■ イメチェンで「ゆるキャラ」人気を獲得

日本初のラグビー専用グラウンド「東大阪市花園ラグビー場」が設立された地として、ラグビー文化が盛んな東大阪市。トライくんは、そんな東大阪市が1991年に「ラグビーのまち」を宣言したことをきっかけに、市民公募によって生まれたキャラクターだ。

当初はイラストが市のお便りや封筒、名刺などにプリントされ、印刷物でのPR活動が主だったトライくんだが、1992年より「動くトライくん」として活動を開始。次第に、市のPRキャラクターとしてイベントや行事など。市民やファンとも交流するようになったという。

リニューアル前のトライくん。20年以上活動していたため、こちらに馴染みがある人も多い

そんなトライくん、実は誕生から20年以上が経過した2015年に大幅なイメージチェンジをおこなっている。元来の「動くトライくん」は、「ゆるキャラ」と呼ぶには少々スラッとしており、身長も高い。しかし、2000年初頭より巻き起こった「ゆるキャラブーム」の影響もあり、「より市民に愛されるキャラクターを目指そう」ということで、イラストのトライくんを忠実に再現する形に変更したのだとか。

リニューアル後、特に力を入れたのは全国のゆるキャラたちで人気を競う『ゆるキャラグランプリ』への挑戦。2012年に初参加した際は865位中803位というふるわない結果だったが、ビジュアルをがらりと変えたあとも市内の学校や企業を周り投票を呼びかけ、2017年の大会時には見事3位に輝いた。

■ 看板やぬいぐるみとして朝ドラに登場

そんな地道な努力を続け、東大阪市の人気者としての地位を確立させたトライくんだが、ドラマ『舞いあがれ!』ではトライくん仕様の「飛び出し防止看板」が登場。看板自体は当時実際に設置されていたものではなく、ドラマ用の小道具として製作されたものだとか。

その後もヒロイン・舞(福原遥)と親友の久留美(山下美月)がアルバイトをしているラグビーカフェ「ノーサイド」にぬいぐるみが登場するなど、画面上で独特な存在感を発揮。同作に登場した反響は大きく、放送後におこなわれた市のイベントで、職員が来場者から「ドラマでトライくんを見つけたよ」と声をかけられることもあったという。

国際観光室の担当者は、「おかげさまでデビュー30周年を迎えたトライくんは、今後もさまざまな場所で活躍予定です。応援よろしくお願いします」とコメント。 トライくんも「ぼくの日常や東大阪の情報を毎日ツイッターで発信してるから、ぜひフォローしてほしいなぁ」と意気込んでいる。

「ゆるキャラ」という言葉が生まれる以前から活躍している、マスコットキャラクター界でもベテラン的存在なトライくん。今後『舞いあがれ!』を視聴する際は、トライくん探しをしてみても面白いかもしれない。

取材・文/つちだ四郎

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