シットキングスの舞台に虜なワケ、新作は「いつもと感触が違う」
「日本で見たことのないダンス」を追い求め15年間。いまやエンタメ界でその名を広げ、数多くのアーティストの振付やライブ演出を手掛けるダンスパフォーマンスグループ・s**t kingz(シットキングス ※通称:シッキン)。そんな彼らの最大の持ち味はなんといってもセルフプロデュースする「舞台公演」だ。
4年ぶりとなる新作舞台『超踊る喜劇「HELLO ROOMIES!!!」』が、9月の東京公演を経て11月に大阪へと上陸。これまでは4人でのパフォーマンスだったものが、今回は人形「A子」も加わり、これまでとは一味違ったシッキンが見られるという。大阪公演が迫るなか、メンバーに話を訊いた。
写真(インタビュー)/KII
取材・文/Lmaga.jp編集部
■ 「『何回書き直したんだろう?』ってくらい(笑)」(NOPPO)
──『超踊る喜劇「HELLO ROOMIES!!!」』は当初の予定より、2年延期しての上演となりました。今回は新メンバーとして人形の「A子」を使った新たな取り組みにも挑戦されていますね。東京公演の手応えはいかがでしたか?
kazuki「もうやってやったという感じですね(笑)。いつもと感触が違って『変わったこと全部乗せ』みたいな。僕ら4人で踊る姿は散々見たことあると思いますが、人形が主役で僕らが横にいるという絵は見たことがないと思うし、チャレンジして良かったなと思います」
NOPPO「今までのシッキンの舞台って『ただただ楽しかった』『日々の嫌なことを忘れられた』という感想が多かったんですけど、今回は『楽しかったけど、すごく刺さった』とか『人生を前向きに見れるようになった』とか、今までとは違う感想がもらえたのでうれしかったですね」
──セリフが一切なしのダンス公演からそういった反響が得られるのはうれしいですね。あとSNSでの感想に『めちゃくちゃ踊っているのに、踊っているのを感じさせない』というのがあって。シットキングスさんならではの感想だな・・・と妙に納得したというか。
kazuki「確かに、ダンスかと言われたらダンスじゃないかもしれない」
一同「オーバーリアクションみたいな(笑)」
kazuki「同じ2時間のライブでも、いつもと体力の消費が全然違う。精神的というか、集中力を使っている感じがするし、製作の過程での労力が全然違います。踊っているのか、踊っていないのか(その中間)みたいな状態で2時間のパフォーマンスをしていますね」
──今回は特に、ダンサーという大前提がありながらも「役者さん寄り」といった雰囲気を感じます。
Oguri「そうですね、『自分』というより、その登場するキャラクターとしてずっとい続けますね。アクティング要素のなかでダンスをしているので、普段のシッキンのダンスライブとは全然違うアプローチとなっています。うちの両親も(東京公演を見て)『良かった』と言ってくれた一方、『もっとダンスが見たくなった』と。だから『そこじゃない!』って叱っときました(笑)」
一同「(笑)」
──作り方においても違うプロセスがあったんですか?
shoji「動きを決めるなかで、あえて音楽に合わせないで動きを付けていく・・・というシーンもありました。今までは音楽が流れていると、そのリズムに合わせて表現していくことがメインだったんですけど、今回はあくまで音楽をBGMとして、お互いのやりとりのなかの感覚だけでテンポを取っていく瞬間とかあって。そういう面では今までにはない表現でしたね」
NOPPO「(そのシーンは)2〜3回作り直したよね。ちょっと具合がわからなくなっちゃって、『これは説明しすぎなんじゃないかな』とか『あれ? もうちょっとダンスの要素を足した方がいいんじゃない』とか、ダンスとお芝居の濃度をどう持ってったらいいんだろうって」
──延期が決定した2年前からは作品に変化はあったのでしょうか?
shoji「2年前からは一旦まっさらになっているんですよ、当初のストーリーや設定のなかで生き残っているものは主役がA子っていうだけで。何回ストーリーを書き直したんだろう?ってくらい何度も作って(笑)、でもスタジオ入って踊ってみたら『これは違うかも』『このシーンいらないかも』とか思考錯誤しながら、リハーサルの期間を過ごしていました」
Oguri「今回はまたセットがめちゃくちゃ凝っているので、まっさらなスタジオで作ろうとしてもイメージが全く追いつかない。そのなかで作品を一旦全部作らないといけないので・・・過酷でしたね(苦笑)。どうしたらいいんだろうって」
kazuki「それこそA子が主役っていうのも、大きく関わってて。いつもだったら自分1人で振りが作れるもののを、A子がどう動けるかによって、自分の動きを考えるっていうシーンが多くて。それでA子は具合がちょいちょい悪くなるんですよ」
shoji「首の具合がとかね(笑)」
kazuki「そうそう、A子が実家に帰ったりもして(笑)。だからそう思うと、いつもみたいに効率よくいけない部分は多かった、セットもそうですし」
Oguri「ドタバタでしたね。セットを建て込んでリハーサルができるってなったときの、詰まり具合といったら・・・」
NOPPO「各部署大変だったもんね(笑)」
Oguri「濃密すぎて頭が痛くなるような日々を経て、ようやく初日が開けたという感じですね」
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