シットキングスの舞台に虜なワケ、新作は「いつもと感触が違う」

2022.11.9 19:15

『超踊る喜劇「HELLO ROOMIES!!!」』の東京公演(c)秦和真

(写真10枚)

■ 「コメディですからね、っていうのが常にある」(kazuki)

──そもそも、なぜ人形を使おうというアイデアにいたったのですか?

shoji「もともと新しい舞台をやろうってなったときに、ホワイトボードにとりあえず思いついたことを書いてアイデア出しをしたんです。でもみんなある種『飽き性』というか、『今までやったことがあることはやりたくない』というスタンスがあったので、そこから人形を主役に据えて、だれかのお話を作ったらおもしろいんじゃないか? と、アイデアが生まれました」

s**t kingzの4人が代わる代わるA子に関わるキャラクターとして登場する(c)秦和真

「最初は楽器を演奏する人を入れて、その人の生演奏で舞台をやっていくとか、女優さんを1人入れて、その人が喋るとか、いろいろな方法論があったんですけど、そのなかで人形というアイテムが出てきたときに『いろんな可能性がある』とみんな直感的に思ったんですよ」

──なるほど。人形って誰が見ても理解しやすいアイテムですし、観客とのいい接点になりそうですね。人形を通して感情移入したり、想像を膨らませたりすることができる。

shoji「東京公演のリアクションとしてありがたいな、と思ったのは『最初は人形だったけど、気づいたらA子は人間だと思ってた』って言われたときに、率直にうれしいなと思って。言葉も喋らない、顔も変わらない、その子のなにか生きてるものが人間として見えたっていうのはすごい褒め言葉」

──お話を聞いてると、またひとつ、ダンスの枠をさらに卓越されたなぁ・・・と。

Oguri「卓越しましたねぇ(笑)」

「本番の映像を見て、4人+A子の5人の絵に、違う感触を覚えた」と話すkazuki

──これまで出てきた反応も含め、シットキングスさんのお客さんは、ダンスからしっかりと「メッセージ」を受け取っているなと感じていて。ダンスの公演って、ダンスの知識に関わるものだったり、作品の答えは「あなた次第ですよ」って託されるものが多い。でも、シットキングスさんの作品は一風変わっていて・・・これが幅広い人々に愛される理由なのだろうなと思いました。

一同「なるほど」

Oguri「ちょっと難しい作品とか、芸術性が高すぎてしまうと、ハテナがいっぱい残ったままで。でもそのハテナを口にするのがダメなんじゃないかみたいな空気感がある」

shoji「『それなんだったんだろう?』って言えない、みたいなね」

Oguri「分からなくていい、ところまではやらないように、でもお洒落さは欲しい。全部を分かりやすくしちゃうとキャラクターショーみたいになっちゃうから、そこの間をどう狙えるんだろう? というのはずっと相談しながら作ってますね」

アクティング要素はもちろん、圧巻のダンスシーンにも期待が膨らむ『超踊る喜劇「HELLO ROOMIES!!!』(c)秦和真

kazuki「まあコメディですからね、っていうの常にあって。『ちゃんとコメディになってるよね?』っていう確認はいろんなタイミングでやってる」

NOPPO「『なんでコメディなのに、こんなに真剣にやってんの!』みたいなね」

kazuki「例えば舞台を東京・大阪・愛知でやるんだ! 新国立劇場でやるんだ!と思うとめちゃくちゃ硬くなっちゃうんですけど、そうなっちゃうと意味ないよね、と確認し合います。ただ舞台っていうだけで、シットキングスのやりたいことは変わらずに。分かりやすく、でもお洒落にっていう絶妙なバランスをギリギリにキープしながら進めていっています」

超踊る喜劇「HELLO ROOMIES!!!」

会場:森ノ宮ピロティホール(大阪府大阪市中央区森ノ宮中央1-17-5)
期間:11月10日(木)〜13日(日)
料金:9000円

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