尼将軍誕生の理由にSNS涙、宮澤エマにも称賛の声【鎌倉殿】

2022.12.7 06:45

鎌倉御所・庭にて。施餓鬼を行い、民とふれあう政子(小池栄子)(C)NHK

(写真6枚)

三谷幸喜脚本・小栗旬主演で、鎌倉幕府二代執権・北条義時の生涯を中心に描く大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)。12月4日放送の第46回「将軍になった女」では、独裁色を強める義時に対抗するため、ついに政子が「尼将軍」の名乗りを上げるまでが描かれた(以下、ネタバレあり)。

■ 「死にたくない」…姉・政子に本音を漏らした実衣

三代目鎌倉殿・実朝(柿澤勇人)暗殺後、乳母・実衣(宮澤エマ)は、実朝の叔父・阿野全成(新納慎也)との間に生まれた息子・時元(森優作)を、次期鎌倉殿にするために動いていた。しかしその企みは三浦義村(山本耕史)を通じて義時に伝わり、鎌倉に新たな火種を作らないよう、義時は時元に兵を差し向けて自害させる。

義時の姉・政子(小池栄子)は実衣に、謀反に関わったことを決して認めないよう忠告するが、時元に送った手紙を発見され、共謀を自白。義時は処刑にすると言い張るが、政子や息子・泰時(坂口健太郎)らが必死で阻止。処分が決まらぬまま幽閉された実衣は、政子に死を覚悟したようなことを言いながらも、最後に「死にたくない」と本音を漏らす。

一方鎌倉殿の後継は、後鳥羽上皇(尾上松也)の側近・慈円(山寺宏一)の尽力で、源氏の血筋である2歳の幼子・三寅に決定。三寅が成人するまで、引き続き執権として政を執りおこなうつもりの義時だったが、政子が「私が鎌倉殿の代わりとなりましょう。鎌倉殿と同じ力を認めていただきます」と宣言し、呼び方も「尼御台」から「尼将軍」となった。

「姉上にしては珍しい。私への戒めですか」と皮肉る義時に対して、政子は「すべてが自分を軸に回ってると思うのはおよしなさい」と牽制する。そして義時を超える権力を使って、いまだ幽閉状態にあった実衣を解放。亡き政子の娘・大姫(南沙良)が北条一族に授けた真言(オンタラクソワカ)を実衣が間違えて覚えた言葉「ボンタラクソワカ」を、2人でいつまでも唱えるのだった──。

鎌倉御所・政子の居室にて。北条義時(小栗旬)と対峙した政子(小池栄子)は自分を指さし… (C)NHK

■ 政子が尼将軍となった決定的な理由に、SNS涙

このタイトルから、ついに「尼将軍・北条政子」が歴史の表舞台に立つことが確実視されていた第46回。「私の考えが鎌倉の考え」と言い放つまでになった義時の上に、政子が名実ともに立ったことで、SNSでは「よっ! 尼将軍」「尼将軍の誕生!!!!」「政子が覚醒した!」「長かった・・・尼将軍までがあまりにも長過ぎた」と、喜びと安堵の声が流れた。

夫や息子を踏み台にして権力を握った「悪女」ではなく妻として母として、さまざまな葛藤や挫折を経て人の上に立つ道を選んだ1人の聡明な女性。従来のイメージを完全にくつがえした『鎌倉殿』の政子だが、彼女が鎌倉のトップになることを決めた決定的な理由が「妹の命を救うため」という、実に個人的なものだったことに驚き、そして涙した視聴者は多かったようだ。

実際SNSでは、「妹のか細い『死にたくない』の本音の一言が、知恵と度胸はあれど表に出たくないと願い続けた女の背中を、最後の一押しで蹴った」「政子が腹をくくるのが実衣のためというのが熱い」「命を救うために政子が自ら望んで『尼将軍』という立場と権力を受け入れるというシナリオ、すげえーーーー!!」と、長いスパンでこの展開に説得力をもたせた脚本にも、賛辞の言葉が寄せられた。

■ 宮澤エマ、実衣の激しい喜怒哀楽、絶望、希望を巧みに

そして間違いなく、この第46回の大きな鍵を握っていたのが実衣。当初はにぎやかし的な存在だったが、演じる宮澤エマの演技の達者さに感服した三谷幸喜が、権力に取り込まれて人間性をゆがめていく複雑なキャラクターに路線変更したことは、あちこちで語られている通り。

その期待に応えるように、今回はわずか45分のなかで、実衣の激しい喜怒哀楽と絶望と希望を巧みに表現。まさに宮澤エマ全部盛りというべき回となった。

鎌倉御所・廊下にて。息子の時元(森優作)のためにあることを三浦義村(山本耕史)に相談する実衣(宮澤エマ) (C)NHK

まず、打ち首にされると聞いたときの「(自分の首に)かわいく頬紅つけてあげて」という言葉で、視聴者からは「一見死を覚悟しているかのように見えるが、まるで他人事のような言い方をさせることで、晒し首になった自分が本気で想像できてない、死にたくないという本音が滲む」「先週公暁の首を御所の前にと言ってた実衣さんが、まさか次の週に自分の首がどこに晒されるか心配することになるとは」「可愛く・・・何故かこの単語で涙腺崩壊」と視聴者の同情を一気に引き寄せた。

さらに「みんないなくなっちゃった」と言って抱きしめてくる政子と一緒に、「ボンタラクソワカ」を唱えるという展開には、ナレーション(長澤まさみ)で「正しくはオンタラクソワカ」というツッコミが入ったものの、「もうボンタラクーソワカーでいっか(涙)」「『ボンタラクウソワカー』でこんだけ視聴者を泣かせる女優がほかにいるだろうか」「チャーミングさと毒気と凄味、宮澤エマさんだからこそ作り出してくれた実衣ちゃんのこと本当に愛おしい」と、褒め称える声が相次いだ。

■ ツイッターで見守り続けた実衣の夫・全成役もリアタイ

ちなみに実衣の夫・阿野全成を演じた新納慎也は、ドラマ退場後もしばしば鎌倉殿の実況や感想をSNSに記しているが、阿野一家のクライマックスと言える今回は、「えっっ!? 息子時元よ・・・なんということだ」「誰かぁ!!! お願い! 実衣を守ってくれっ!!」「ダメだ・・・もう号泣」など、リアルタイムで書き込み。

これに対してSNSでも「実衣ちゃんに何かあるたびに新納さんが大騒ぎしてるの、全成さんが見守ってるみたいで微笑ましい」「全成殿が、いつまでも全成殿でいてくれるのって、なかなかの救いになってる」「天国からの実況がほっこりする。このまま実衣さん生き残ってて欲しい」という、温かい言葉が新納にも向けられていた。

『鎌倉殿の13人』の放送はNHK総合で毎週日曜夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夜6時からスタート。第47回『ある朝敵、ある演説』では、内裏の再建問題をきっかけに、ついに後鳥羽上皇が挙兵。義時と鎌倉の命運をかけた「承久の乱」が勃発する。

文/吉永美和子

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