「誰だこの人」蹴鞠対決に続くイケボ対決に、SNS騒然【鎌倉殿】

2022.12.8 06:45

鎌倉御所・執務室にて。ある事件の処断について話し合う義時(小栗旬)・時房(瀬戸康史)ら (C)NHK

(写真5枚)

三谷幸喜脚本・小栗旬主演で、鎌倉幕府二代執権・北条義時を中心に描く大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)。12月4日放送の第46回『将軍になった女』では、偶然にも(?)ワールドカップを思わせるような展開や、予想もしなかったイケボ対決に、視聴者が騒然とするシーンも飛び出した(以下、ネタバレあり)。

■ 鎌倉への圧力を強めていく後鳥羽上皇ら

三代目鎌倉殿・実朝(柿澤勇人)が暗殺され、跡継ぎとして後鳥羽上皇(尾上松也)の親王を鎌倉に迎えるという話は、鎌倉と京の双方が相手から断るように仕向けあっているところだった。そこに実朝の乳母・実衣(宮澤エマ)が、実朝の叔父・阿野全成(新納慎也)との間に生まれた息子・時元(森優作)を、新たな鎌倉殿に据えようと画策する。三浦義村(山本耕史)を通じてその計画を知った義時は、時元を自害に追いやった。

一方義時の妻・のえ(菊地凛子)は、北条家の跡継ぎを長男・泰時(坂口健太郎)ではなく、自分との間にできた政村(新原泰佑)にするよう迫る。しかし義時は「私はまだ死なん。今する話ではない」と一蹴。祖父の二階堂行政(野仲イサオ)からは、上手く話を進められなかったことを叱責され、烏帽子親の義村に相談するよう命じられる。

義時の館にて。食事中の義時(小栗旬)にあることを相談するのえ(菊地凛子)(C)NHK

ついに上皇から、自分の領地の地頭の任を解く命令が下ったことを知った義時は、異母弟の時房(瀬戸康史)を千人の軍隊とともに上京させる。時房の蹴鞠の腕を知る上皇は、蹴鞠で決着を付けることを提案。時房は有利に戦ったが、あえて負けを認めたことで、上皇から「親王を鎌倉へやる気はない。代わりの者を出す」という言葉を引き出す。

結局鎌倉殿の後継者は、ひそかに鎌倉を訪れた上皇の側近・慈円(山寺宏一)の交渉により、今は2歳の摂関家の子息・三寅に決定。結局は鎌倉側の思惑通りになったことに、口惜しさを感じる上皇に対して、上皇に仕える武士・藤原秀康(星智也)が「お任せいただければ、一月で鎌倉を攻め落としてご覧に入れます」と宣言。上皇はその提案に乗るように「頼もしいな、秀康」と応えるのだった──。

■ 「鎌倉殿W杯、開幕!」上皇とトキューサの蹴鞠対決に興奮

京と鎌倉の間に大きな遺恨が残り、まさに「承久の乱」待ったなしな状態となった第46回。しかしもう完全にドス黒く成り果てた主人公の義時に対して、もしかしたら書いている三谷幸喜自身も辛くなってきたのか、ほかの登場人物たちがいろいろと視聴者をワクワクさせるという、渾身のネタをたくさん仕込んできた回でもあった。

視聴者がもっとも盛り上がったのは、やはり上皇と「トキューサ」こと時房が、鎌倉殿の継承問題をお互いが得意とする蹴鞠で決着をつけようとする展開。ちょうど今がW杯とかぶっているため、SNSでは「蹴鞠で決着をつけるとかワールドカップの話してますか??」「鎌倉時代におけるW杯始まった」「ここにきて蹴鞠が大きな役目を持ってるのだけど、三谷さんは確実にW杯を見越してる。あの人はそういう人だ」と大盛りあがりに。

そして兼子(シルビア・グラブ)が蹴鞠対決に割って入り、「上皇様を負かしたとなれば朝敵」と脅して、時房に負けを認めさせる流れには、「そんな・・・蹴鞠で勝ったら朝敵て・・・理不尽すぎる」「これは疑惑の判定」などの声が上がったが、それが上皇の心を開くというまさかの逆転に、「本音を引き出せたぞ!? すごいな蹴鞠外交!」「トキューサ現世に転生したら接待ゴルフで営業トップになれそう」など、SNSには驚きの言葉が並んだ。

■ 慈円僧正役・山寺宏一の本領発揮「さすがすぎる」

そして後半は、視聴者がこっそりと期待していた慈円役・山寺宏一のスペシャルスキルが炸裂。鎌倉殿の候補となった三寅の血筋について、カンペも使わず1度も嚙むことなく、いい声でズラズラズラーっと述べ立てる下りは、さすがの義時もポカンとするレベル。

これには視聴者も、「字幕付けてもさっっっっぱり分からん系図を、活舌良く耳心地良いイケボで2回も繰りかえしたあと、しっかりオチまでつけてくれた」「さすが山ちゃん本領発揮」「山ちゃん立板に水で流石の大ベテラン声優だぁ」「慈円僧正のキャスティングが山寺宏一だった理由はすべてここにあったのだな・・・」「慈円さまプロレス実況できそう」などの絶賛の言葉が並んだ。

ちなみに慈円が述べた三寅の出自、あまりにも長すぎるので、初代鎌倉殿・頼朝(大泉洋)とはほぼ他人なのでは? と思われそうだが、要約すると「頼朝の姉(or妹)・坊門姫のひ孫」なので、さほど遠い血縁ではない。また今後の鎌倉殿は、すべてこの坊門姫の子孫が継いでいくため、一応義時の希望通り(?)源氏の血を引く者が鎌倉殿を継承していくことになる。

■ 低音ボイスに視聴者騒然、演じるのは舞台を中心に活躍する俳優

そしてもう1人その声で、視聴者を釘付けにしたダークホースが、今回初登場となった藤原秀康だ。上皇に向かって鎌倉と戦う意思を告げるその低音ボイスと、力強く弓を放つ勇姿に、「なんか凄いやつ出てきた。イケボで弓使いのパワータイプ」「藤原秀康さんがかっこよすぎて、家族が『誰だこの人! 良い声!』って騒いでる」「俺の想像していた藤原秀康はこんなに強そうだったか・・・?」と、視聴者を騒然とさせた。

院御所・庭にて。後鳥羽上皇(尾上松也)に決意を伝える西面の武士・藤原秀康(星智也)(C)NHK

演じる星智也は、数々の名優を輩出している「文学座」の座員で、主に舞台を中心に活躍。故・蜷川幸雄や野村萬斎演出の作品に加え、2023年は『鋼の錬金術師』 『ファインディング・ネバーランド』  と、2つの注目舞台の出演を控えている。公式インタビューでは、演出とじっくり相談しながらあの強面のビジュアルを作ったことや、弓道場の練習を横目で見ながら弓を弾く演技を研究したという、丁寧な役作りのエピソードを語っている。

SNSでは「藤原秀康が低音イケボすぎて箸を落としてしまった。星智也さん、覚えた」「イケボだけでなく、目力あるし、身長192cm! この終盤にすごい役者さんが出てくるな」などの興奮のコメントが。かつてその低音イケボでどんどん大河の役をつかみ、最終的に三谷幸喜脚本『真田丸』で直江兼続役に大出世した俳優・村上新悟に続くことを願いたい。

『鎌倉殿の13人』の放送はNHK総合で毎週日曜夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夜6時からスタート。第47回『ある朝敵、ある演説』では、内裏の再建問題をきっかけに、ついに後鳥羽上皇が挙兵。義時と鎌倉の命運をかけた「承久の乱」が勃発する。

文/吉永美和子

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