朝ドラで話題となった空のお守り、京都の「飛行神社」って?

2022.12.10 08:45

『舞いあがれ!』に登場したお守り。実は飛行関連だけでなく、広い意味も込められている

(写真10枚)

現在放送中の、2022年後期の連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK朝ドラ)。ヒロイン・岩倉舞(福原遥)が幼少期の憧れからパイロットを目指すというストーリーということもあり、人力飛行機や航空学校といった「空」にまつわる舞台やキーワードが多く登場する。

そんななか、舞が航空学校を受験する際、両親が渡した合格祈願のお守りが、「どこのお守りなのかな? 可愛い」「飛行機模様のお守り!」などSNSを中心に話題に。「ドラマの小道具?」という声も上がっていたが、実は京都の「石清水八幡宮」近くにある「飛行神社」(京都府八幡市)で実際に授与されているもの。

飛行機やヘリコプター、最近ではドローンなど「飛行物」に携わる人にとっては聖地のような場所だという「飛行神社」。お守りや建物に込められた思いや歴史を、同神社で宮司をつとめる友田享さんに訊いた。

■ 大正4年に創建、「空の安全」を祈願

──飛行神社は創建者の二宮忠八さんがみずから神職の資格を取り、初代宮司となったとか。現在で何代目なのでしょうか。

私で5代目になります。忠八の息子さんが営んでいた塩会社の氏神だったのが実家の神社でして、その縁があり父の代から飛行神社の宮司をしています。

──なるほど。そもそも、忠八さんが「飛行神社」を作ったきっかけはどのようなものだったんでしょうか?

忠八は、日本で初めて「動力飛行機」を飛ばした人物です。忠八は塩野義製薬の創始者も勤めていた製薬会社で働きつつ、独自で「カラス型飛行器」や「玉虫型飛行器」を考案するなど、飛行の研究に力を入れていました。しかし1903年、ライト兄弟が飛行を成功させたニュースを知り失意のあまり研究を取りやめてしまいます。

ただ当時は飛行機が木で作られていたこともあり、事故による死者も多かったそうで。「自分も命を亡くしていたのかもしれない」という思いに駆られた忠八は、亡くなった人々を「空の安全を守る神様」としてまつる「飛行神社」を、1915年(大正4年)に創建しました。

かつての忠八の自宅内に建てられた「飛行神社」。神社では珍しく「飛行機」のイメージに合うステンレス製の鳥居

■ ドラマやスポーツ選手をきっかけ参拝者が急増

──そんな経緯があったんですね。『舞いあがれ!』で飛行神社のお守りが登場した際は「こんな神社があったのか!」と驚いている視聴者も多いようでしたが、放送の反響はありましたか。

お守りの送付申し込みや「ドラマを見て知った」というメッセージなど、300件ほどのメールや問い合わせが寄せられ、しばらくはメールフォームに付きっきりの状態でした。やはりパイロットの方や、受験生のご家族が多くドラマを見ているようです。

──そんなに反響が! もともとの参拝者も受験生や航空関係の方が多いんでしょうか。

試験を受ける本人より、「子どもや孫が試験を受ける」というご家族がお守りをもらいに来るということが多いかもしれません。あとはパイロット・CAさんがフライトの安全のために来られます。

また現在は「航空学校」編が放送されていますが、そういった航空学校の寮らしき住所から、複数のお守りの申し込みが入ることもあります。「なにわバードマン」編では部室にうちのお札が貼られていましたが、舞たちが挑むコンテストのモデルであろう『鳥人間コンテスト』が開催される時期は、学生さんも多く来られますね。

■ ゴルフやドローンをする人用のお守りも

──飛行機関連以外にも、ゴルフのお守りもあるんですよね。これは「飛行」とゴルフの「飛距離」をかけているんでしょうか?

そうですね。プロゴルファーの方がうちのお守りを持っていたそうで、ファンやほかのゴルファーが参拝されることが増えまして。お守りは需要やゆかりがあってこそのものなので、「それならゴルフ用のお守りを作ってしまおう」と、孔球守(ゴルフ守)を作りました。

ヘリコプターやドローンなど、それぞれの需要に合わせたお守りも

──なるほど。「回転翼守」や「飛守」などもありますが、こちらもそれぞれ要望があったのでしょうか。

ヘリコプターやロケットを飛ばす場合は、「飛行」ではなく「回転」や「飛翔」という表現が正しいため、「航空安全守はちょっと違う」という声がありました。そのため、ヘリコプターやロケットなどの安全祈願に当てはまる「回転翼守」と「飛守」をそれぞれ作りました。

つい最近もドローンやラジコンなどの安全を祈願する「通信翼守」を授与し始めたのですが、こちらも「ドローンのお守りはないですか?」と聞かれる機会が増えたためです。

もちろん個人の願いにぴったり合わせたお守りを作るのは不可能ですが、多くの人々の願いに合うようなお守りを作れるよう対応しています。

「飛行神社」

住所:京都府八幡市八幡土井44
開門時間:9:00〜16:30
電話:075-982-2329

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