映画、ファッション…300点がそろう『アリス展』、大阪で開催

2022.12.12 17:45

『狂ったお茶会』をイメージした空間演出では、カラフルに変化する照明にも注目

(写真11枚)

「あべのハルカス美術館」(大阪市阿倍野区)で開催中の特別展『アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―』。童話『不思議の国のアリス』の原画や物語にちなんだアーティストらの作品約300点が展示されている。

イギリスで1865年に初版本が発行されたルイス・キャロルによる『不思議の国のアリス』。同展では「ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館」(英国)所蔵の資料をはじめ、映画や舞台、ファッションなど多分野の作品や衣装を通して、児童文学の枠を超えて愛され続けるアリスの魅力を紐解いていく。

物語の原点を紹介する序章『アリスの誕生』では、ルイスが撮影した当時の写真や初版本のジョン・テニエルによる貴重な原画を展示。経済が発展したヴィクトリア期を象徴する時計や天球儀、折り畳み式カメラなども並び、「アリスの体の大きさが変化=カメラの影響」「時計を持ったうさぎ=産業革命での時間に対する概念の変化」など物語と時代背景を結ぶつける説もあるという。

さらに、会場には多彩なアリス作品が登場。映画作品が話題となったティム・バートン監督の日本初展示となるキャラクタースケッチ、画家のサルバドール・ダリの挿絵、ファッションブランド「ヴィヴィアン・ウエストウッド」の衣装など、現代まで数多くのアーティストらの創造性を刺激してきた物語であることが垣間見れる。

学芸員の横山志野さんは「この物語では行き先を指南してくれるやさしい大人は存在しませんが、アリスは不条理な世界でも持ち前の好奇心を発揮して闘う力を身につけます。現代社会でも理不尽なことに遭遇して不安や孤独を感じ、成長が求められるのでは。私たちがアリスに勇気をもらい、アリスになりたいと思うのは自然なことなのかもしれません。この展示から新たな創造の世界が広がっていけば」と話す。

動画や写真撮影が可能な『涙が池』インスタレーション

原作の世界観に没入できるような仕掛けも楽しめ、アリスが落ちた穴をイメージしたトンネルやチェシャー猫の顔が浮かぶポール、『狂ったお茶会』テーブルなどの空間演出にも注目したい。場所は「あべのハルカス」16階、期間は2023年3月5日まで(年末年始など休館日あり)。料金は一般1800円ほか。

取材・文・写真/塩屋薫

特別展『アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―』

期間:12月10日(土)~2023年3月5日(日)
※休館日 12月12日(月)、31日(土)、2023年1月1日(日)
会場:あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43あべのハルカス16F)
時間:10:00~20:00、月土日祝は~18:00(入館は閉館30分前まで)
料金:一般1800円、大高生1400円、中小学生500円

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