「弟を救う」尼将軍の演説の真相に、SNS感動の嵐【鎌倉殿】

2022.12.12 20:20

鎌倉御所・寝殿にて。居並ぶ御家人たちの前に姿を現した政子(小池栄子)(C)NHK

(写真5枚)

三谷幸喜脚本・小栗旬主演で、鎌倉幕府二代執権・北条義時の生涯を中心に描く大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)。12月11日放送の第47回「ある朝敵、ある演説」では、ついに後鳥羽上皇が挙兵して「承久の乱」が勃発。鎌倉の御家人たちの心をひとつにした、北条政子の名演説に、SNSでは感動の声が嵐のように押し寄せた(以下、ネタバレあり)。

■ 「義時を孤立させる」上皇の策略に、御家人たちは

次期鎌倉殿が、三寅(中村龍太郎)になったことを不服とする源頼茂(井上ミョンジュ)が京で挙兵し、内裏の一部が消失。内裏を全面的に建て替えることにした後鳥羽上皇(尾上松也)は、その費用を日本中の武士から取り立てようとする。しかしそれは、京と鎌倉の間で御家人たちを板ばさみにすることで、義時を孤立させるという上皇の策略だった。

上皇の読み通り、義時はこの命令を突っぱねる。側近の慈円(山寺宏一)が「今、義時がいなければ、鎌倉は立ち行きませぬ」と反対するのも聞かず、上皇は藤原秀康(星智也)に命じて京都守護を襲撃。そして、二代目鎌倉殿・頼家(金子大地)と、義時の弟・時房(瀬戸康史)の蹴鞠の元師匠で、現在は押松と名を変えた平知康(矢柴俊博)に、義時追討の院宣をひそかに託して、鎌倉に送り出す。

鎌倉御所・寝殿にて。実朝の後継者である三寅(中村龍太郎)に「着袴の儀」で袴を着させ、自分が鎌倉の最高指導者であることを見せつける北条義時(小栗旬)(C)NHK

知康から院宣を受け取った三浦義村(山本耕史)は一瞬その気になるが、長沼宗政(清水伸)もほとんど同じ内容の院宣を、しかも自分より先に受け取っていたことに立腹。義時に院宣の存在を打ち明け、北条に忠誠をつくすと申し出る。しかし義時は自分が犠牲になれば戦を避けられると思いつめ、その首を差し出す決意を固めていた。

義時は御家人たちを集めて、その決意を伝えようとするが、そこに義時の姉の尼将軍・政子(小池栄子)が割って入る。政子は最初、大江広元(栗原英雄)が書き上げた演説文を読み上げようとするが、ふとそれをおろして自分の言葉で、義時はこれまで鎌倉のために私欲なく働き、今回も鎌倉を守るために、自分1人が犠牲になるつもりであったと告げる。

さらに「向こうはあなたたちが戦を避けるために、執権の首を差し出すと思ってる。ばかにするな。そんな卑怯者はこの坂東には1人もいない。そのことを上皇様に教えてやりましょう!」と力強く御家人たちに訴えると、その場にいる全員が鎌倉のために戦うことを決意。涙を浮かべる義時の姿を見て、政子は微笑みながらうなずくのだった──。

■「そうきたか!」有名な演説の三谷幸喜解釈にうなる声

「頼朝様の恩は、山よりも高く海よりも深い」・・・まさに日本の歴史を変えたと言ってもいい、北条政子の演説に大きな期待がかかった第47回。いつもと違って、紫色の衣に身を包んだ政子が御家人たちの前に現れると、SNSでは一斉に「尼将軍、カッコイイぞー!」「尼将軍ー!!好き!! 頑張れ!!」「小四郎(義時)くんの死亡フラグを政子様が打ちのめそうとしています!」と大きな声援が。

そして歴史書『吾妻鏡』にも記されている、有名な演説が書かれた文章を読もうとするが、途中でそれを下げて自分の言葉で語りだす展開に、「そうきたか!」「あの超鉄板の超定型文を途中で言うのを止めて、原稿を投げ捨てさせる脚本。なにこれ! なにこれ!!」「そんなカンペ捨ててしまえって思ったらホントに捨てて自分の言葉で訴えてくれるの最高すぎるんじゃ~!!」「歴史に残る『ご恩と奉公』の演説は事前の下書きで、読み上げなかったそちらが歴史に残ったという作劇なんだね。すごい」と、またしても三谷幸喜のオリジナルの解釈にうなる声が多数上がった。

鎌倉御所・寝殿にて。御家人たちに語る政子を見つめる北条義時(小栗旬)(C)NHK

■ ずっと「家族愛」で一貫していた・・・政子の言葉に納得

そうして「歴史に残らなかった」政子の言葉は、亡き夫・頼朝(大泉洋)の恩義を説くのではなく、弟・義時が(ほぼほぼやり過ぎだったとしても)いかに鎌倉のために自分を殺して尽くしてきたかという、むしろ姉が弟のために人々を説得するような言葉だった。決して権力ではなく、昔も今も「家族愛」でつながっていた、『鎌倉殿』の義時と政子だからこそ生まれた名演説だろう。

実際SNSでも「ただ弟を守りたい一心であの歴史に残る名演説、流石だわ鬼脚本だわ三谷幸喜」「そうか、北条政子の論理は『身近な家族を守ること』で一貫している、というシナリオなのか! だからこの大河ではずっと『北条家の仲がいい姿』を描いてきたのか。この演説の動機づけと効果を最大化するために」「政子に尼将軍として前面に出ることを決意させたのは、妹の命を救いたい一心で、御家人たちへのあの有名な演説をさせるに至ったのは、弟の命を救いたい一心なんすね・・・」と、腑に落ちたような声が次々に上がった。

■ 推しの演説をこの目で・・・! 大江殿の姿にSNS爆笑

また、政子がトップに立つことをなにかと後押しし、今回の演説のスピーチライターまで務めた「政子強火担」大江広元が、演説を聞きながら見えない目を開いていたことに対して、SNSでは「大江広元、推しの一世一代の大演説を、1番良い席で、推しの最も力強い姿浴びて、目が見えるようになってる!!」「政子の名演説に心打たれ大泣きしながら、尊死しそうな大江殿の表情に大爆笑してしまって本当に申し訳ございません」「大江くんの表情、完全に推しのライブ」というツッコミの声が。

しかし一瞬であっても視聴者の目をグッと引きつける、さりげなく技巧的な演技には、「目を必死に凝らしたり大きく見開いてみたり閉じてみたり瞬きを繰りかえしたりと、栗原英雄さんの細かい芝居が上手すぎ」「栗原さんの『この広元の見えぬ目には見える・・・!』っていう表情がいい」「小池尼将軍様の演説と俺たちの太郎の話に号泣しながらも、栗原大江様をもっと映して、と思ってました(笑)」と、演じた栗原英雄に称賛の声が集まっていた。

『鎌倉殿の13人』の放送はNHK総合で毎週日曜夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夜6時からスタート。12月18日の最終回『報いの時』では、「承久の乱」の結末と義時の最期が、15分拡大バージョンで描かれる。

文/吉永美和子

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本