バイラルヒット飛ばす、謎多きWurtS「新たな現象を作りたい」

2022.12.25 19:45

謎多き次世代アーティスト・Wurtsを直撃

(写真1枚)

2021年、TikTokに投稿された楽曲『分かってないよ』が、わずか約1カ月で再生回数100万回を突破。若い世代には新しさを、年長者たちには懐かしさをもたらし、多くの人々を虜にしている新世代アーティスト・WurtS(ワーツ)。紅白出場を決めたVaundyも、「WurtSは売れるぞ」と呟いたことでも話題となった。

自らを「研究者×音楽家」と称し、音楽にマーケティングを用いた手法で2021年をひた走り、さらにそのフィールドをお茶の間やライブの場へも広げた2022年。正体不明の大学生・WurtSが駆け抜けたこの2年は一体どんな日々だったのだろう。

11月16日にEP『MOONRAKER』を、そして12月14日には代表曲のハイスピードバージョン『分かってないよ(Sped Up)』の配信リリース、さらに2023年1月にはJR東日本のキャンペーン『JR SKISKI』WEB動画のタイアップ曲も決定・・・etc。現在進行形で目まぐるしくニュースを更新し続けるWurtSに、話を訊いた。

取材・文/後藤愛

■「バズるだけで終わらせたくない」ヒットも冷静に分析

──今回は、改めてWurtSさんのキャリアをさかのぼっていけたらなと思います。2021年に始動してから現在は2年目ということで。

そもそも、マーケティングを学ぶために留学する予定だったんですが、コロナで断念することになって。その時間を使って、マーケティングと、趣味である音楽を掛け合わせてやってみようかなという発想から、WurtSはスタートしました。

──留学が中止になった時の心情としては?

WurtSが希望になったというか。(コロナ禍でも)できることがあるんじゃないか? という思いで、何でもやってみようという気持ちになれました。

──その初動として、2021年の1月にTikTokに投稿したのが『分かってないよ』。見事に「バズった」当時はどんな思いだったんでしょうか。

最初はドキドキしましたね。元々、TikTokについては聞いたことがあるぐらいで、どんなSNSなのかはあんまり知らなくて。『分かってないよ』を作って、いざ世に出そうかと考えたところ、TikTokならどうかなと思って調べ始めたくらいでした。

──使いこなしていたツールではなかったにも関わらず、投稿後約1カ月で100万回再生につながったのは、WurtSさん自身のマーケティング力を証明していますね。

僕が投稿する前は、TikTokのメインストリームは弾き語りのオリジナル曲が多かったんですよ。そこへの逆張り的な考えで、作り込んだオリジナル曲を発信したら面白いんじゃないかなと思ったんです。

──でもそのヒットした状況に対して、喜びよりも葛藤があったと。

ヒットはもちろんめちゃくちゃありがたかったんですが、出る杭は打たれるじゃないですけど、当時は、TikTokは音楽的にはちょっと軽んじられているムードがあって。

僕自身、WurtSは売れるためにやり始めたわけじゃなく、「バズる」という面白い現象に乗っかりたいなというぐらいで、それよりもその先でのやりたいこと、表現したいことがあったので、バズるだけで終わらせたくないなと思っていたんです。次の課題として、そこからどう抜け出そうか?とは悩みましたね。

──バズって満足しちゃいそうなところを、すごくクレバーに捉えていますね。

WurtSは1種のブランディングというか、リスナーに「WurtSが作ったなら安心できる」「信頼できる」・・・そんな存在になれれば、ワンステップ上がれるのかなと思っているので。今はWurtSをたくさんの人に認知してもらう、安心してもらう、そんな時期かなと思っています。

マーケティングと言うと、ちょっと商業的過ぎるイメージがあるのか、批判されることもあるんですけど、 僕はもっと世に順応していきたいと思っていて。順応しながらもアーティスト性を出していくことが、新しいアーティスト像じゃないかなと。

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