女優・三浦透子、初単独主演映画は「一緒に考えてみてほしい」

2022.12.24 20:00

今もっとも注目を集める女優・三浦透子

(写真10枚)

◆「すごく意味のある時間になるんじゃないかなって」

──前田さん演じる真帆の結婚式で、ヘンデルの『オンブラ・マイ・フ』(ヘンデル作曲のオペラ『セルセ』第1幕冒頭 のアリア)を演奏するでしょ。原曲のアリアって「今までこれほど、愛しくてやさしくて心地のいい木の陰はなかった」って歌詞なんですよね。それは真帆に対するリスペクトというか、シンパシーというか、あるいはシスターフッド的でもある愛情を告白したのかな、なんて。

その選曲は玉田監督ですね。そのことも、監督に訊いてみたいですね。

──だとすると、なかなか洒落てるなぁ、と思ったりもしたのですが。ところで、この映画の最初と最後に出てきて、ひとつの枠組みを作っているのが、なんとトム・クルーズの『宇宙戦争』(2005年)だという。

あの映画の話が繰り返し出てくることの意味は、他者との関係性の変化を示しているというより、佳純が佳純の好きなものを話すときの話し方というか、自分が自分のことを話すというシーンとして効いているんじゃないでしょうか。合コン相手との最初のシーンで映画の話をするときは、自分が熱中しているものの話をするとき、なんとなく後悔があるんですね。

「こういう話って理解されないんだった」「またやってしまったな」という。だけど、ラストで天藤(北村匠海)と話してるときって、相手がどういう風に受け取るかを気にせずに「自分はその映画が好きです」と話せるようになっている。そんな成長の変化を示しているような感じが私はしていました。

──同じことを話しているんだけれども、より自分のなかで素直に物事を話せるようになった。

そうですね。自分はこういうものが好きです、ということを素直に。天藤は「なんでトム・クルーズが逃げるところが好きなんですか」と訊いていますけれど、彼自身がそれに共感できたかどうかは分からない。別に共感できていなくても共有できるものはあるというか。

それはお互いが持つ「恋愛というものに対する価値観」が共有できたんだと思いました。(保育園で披露するために佳純と真帆が作る、佳純の心情に正直な)『シンデレラ』という紙芝居を見て、こういう考えの人がいるんだってことに、彼は触れたと言って。

映画『そばかす』のワンシーン ©2022「そばかす」製作委員会

──脚本のアサダアツシさんとはお話しされましたか? アサダさんは今泉力哉監督の『his』(2020年)で男性同士のカップルを描かれたばかりですが。

アサダさんとはたくさんお話しました。アセクシャルの役を演じてもらうにあたって、そうしたセクシュアリティの当事者が演じなければいけないのか、というような議論もあるなかで、やっぱり演じてもらいたいと思う役者さんを探すのはすごく難しいと感じられていたみたいで。

そのなかで私の作品を見てお願いできるんじゃないかと思いました、とお手紙でいただきまして。私も自分がどうしても彼女のことが理解できないと思ってしまうんだったら、自分はやらない方が良いのかなと思っていました。けど、すごく自然に分かるところが多くて。この映画と関われる時間が、自分の人生にとってもすごく意味のある時間になるんじゃないかなって思ったので、出演のオファーをお受けしました。

映画『そばかす』

2022年12月16日公開
監督:玉田真也
出演:三浦透子、前田敦子、伊藤万理華、ほか
配給:ラビットハウス

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