女優・三浦透子、初単独主演映画は「一緒に考えてみてほしい」

2022.12.24 20:00

今もっとも注目を集める女優・三浦透子

(写真10枚)

◆「一緒に考えてほしい、という思いで作った作品」

──今のアメリカ映画界とかでは、そういうところで風当たりがあったりしますしね。個人的にはどうかと思うところもありますが。

お受けしてからも、アサダさんが『his』のときに、いろんな方を取材しているなかで出会ったアセクシャルの方に・・・今回監修に入られている方ですけど、その方とお話しする機会を設けていただいたりとか。やっぱりアセクシャルの方の大きな悩みというのは、カミングアウトしたときにすごく差別を受けるとか、態度を変えられるということは、ほかのセクシャリティに比べて無いんだけど、一番苦しいのは信じてもらえないことだっておっしゃっていて。

まだ本当に好きな人に出会ったことがないだけだとか、そのうち恋愛出来るようになるよって言われたりして、そういう感情がないんですというのを信じてもらえない、と。それをアサダさんが聞かれて、そういった悩みを抱えてる人に対してまずできることは知ってもらうことだと。そういうことで、こうやって映画という形で作品にすることが意味があるんじゃないかとおっしゃっていました。私も責任はしっかり感じないといけないなとずっと思っていまして。

映画『そばかす』のワンシーン ©2022「そばかす」製作委員会

──佳純に恋人がいないことを嘆いた母が、勝手にお見合いをセッティングしますが、そのお見合い相手の小暮(伊島空)はまさにアセクシャルそのものが理解できない。旧友で同僚の前原滉さんは、ゲイだと自分からカミングアウトする。で、真帆は東京に出てセックスそのものを仕事にするAV女優をやってたけど故郷に帰ってきた。この映画では、そういう性的にさまざまなキャラクターが描き分けられています。

もちろん、それぞれ性の在り方が違ったさまざまなキャラクターが登場する映画ではあるんですけど、そこだけじゃなくて。この映画で一番示したいってところは、それぞれが佳純とは違った理由で自分はマイノリティじゃないかと感じて生きている、それをわざわざ他者に分かるような形で説明したり、説明できる形に自分を変えたりする必要がないんじゃないかっていうこと。そのことを一緒に考えてみてほしいという思いで作った作品です。

佳純のお父さん(三宅弘城)も性が原因ではないけれど、自分の会社の同僚と何か上手くいかない、みんなができることが自分ができないと感じたりしたことでうつ病を抱えています。たぶんお母さん(坂井真紀)も、田舎で長女が実家にいて、30歳で結婚していないっていうことを普通じゃないとされるような周囲の視線もあったのではないでしょうか。

三浦透子いわく「自分の話として観てもらえるような映画」

──おばあちゃん(田島令子)は3回結婚してるし。

みんながちょっとずつ、みんなと違うなって思いながら生きている。そういう人たちを描いている作品だなと感じています。別に佳純自身も性の在り方だけを整理したくて生きているわけじゃなくて、それもアイデンティティの大事なひとつの要素ではあるけど、それがすべてではない。

そこに対して整理をしていくというだけのお話じゃないと思います。そういう風にしちゃもったいないなというか。なにか、全然違うような悩みを抱えてる人にでも、ちゃんと自分の話として観てもらえるような映画じゃないかなと私は思います。

映画『そばかす』は、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、アップリンク京都、キノシネマ神戸国際ほかで、12月23日公開。

映画『そばかす』

2022年12月16日公開
監督:玉田真也
出演:三浦透子、前田敦子、伊藤万理華、ほか
配給:ラビットハウス

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