選曲が素晴らしい「M-1アナザーストーリー」今年も注目集まる

2022.12.25 20:15

2022年の『M-1グランプリ』で王者に輝いたウエストランド(河本太、井口浩之)(C)M-1グランプリ事務局

(写真1枚)

12月26日に放送される『M−1グランプリ2022 アナザーストーリー』(ABCテレビ)。膨大な量の密着映像に収められたファイナリストの裏側はもちろん必見だが、実は番組で流れるBGMこそ、その演出の重要なカギとなっている。

ファイナリストが決勝進出を決める瞬間から本番後までの裏側に密着する「アナザーストーリー」。毎年『M−1』後の恒例番組となっており、ライバルとの友情やお笑いでの葛藤、家族の思いなど舞台裏のドラマが描かれ、「漫才師かっこよすぎる」「泣ける」と評判だが、BGMがその感動をより増幅させていると言っても過言ではない。

たとえば2021年の王者・錦鯉の回。終盤、長谷川雅紀と渡辺隆がそれぞれ両親に優勝を報告するシーンで流れたのは、折坂悠太の『鶫(つぐみ)』。長い下積みからやっと掴んだ成功、そして親への感謝。折坂のノスタルジックないなたさをもつ独特の歌声と、「夜が明ける」「あなたに 伝えたいことがある」という歌詞が沁みた(2021年のアナザーストーリーは『TVer』で26日まで配信中)。

また2020年の王者・マヂカルラブリーの回では、息子が芸人であることを認めていなかった母に、野田が電話で優勝を報告するシーン。「長かったよ」と笑う野田の後ろで、「負けた、負けた、今日も負けだ」と、ハンバート ハンバートの『虎』が流れる。かつて『M-1』で最下位になったが、決して諦めなかった彼らにぴったりだと感じた。

個人的には2019年、ミルクボーイの回が好きだった。家族が得点発表に大喜びする動画を奥さんと一緒に見る駒場と、ずっと親切にしてくれていた理容室の店主に角刈りをしてもらう内海のシーン。吉田拓郎の名曲『流星』を、フォークロックユニット・ハルカトミユキのハルカが弾き語りしたものが流れ、涙を流すミルクボーイ2人の姿と相まって号泣必至だ。

今年王者に輝いたのは、コンビ結成14年のウエストランド。昨今の主流となっている「傷つけない笑い」の真逆を突き進むような、毒舌を小気味よく織り交ぜた時事ネタが観客と審査員を大いに沸かせた。ネタのなかで井口は「アナザーストーリーがウザい! 泣きながらお母さんに電話するな!」と毒を吐いていたが、果たしてどんな映像に仕上がっているのか。クライマックスの選曲も併せて楽しみに待ちたい。放送は12月26日・夜11時15分から。

■ オープニングからエンディングまで、名曲揃い

ちなみに毎年、王者ラストシーンの選曲に話題が集まるが、ほかのM-1戦士たちの場面で流れる曲も素晴らしいので、分かる範囲で羅列する(Lmaga.jp調べ)。

【2021年】
竹原ピストル『オーバー・ザ・オーバー』(オープニング)
イースタン・ユース『存在』(オープニング後)
haruka nakamura『君のおと』(錦鯉・長谷川の過去)
ストレイテナー『FREE ROAD』(オズワルド・紹介)
竹原ピストル『最後の一手 〜聖の青春〜』(錦鯉・下積み時代)
ストレイテナー『もうすぐ君の名前を呼ぶ』(錦鯉・結成話)
折坂悠太『鶫』(錦鯉・優勝の瞬間から両親への報告)
奇妙礼太郎『Life Is Beautiful』(錦鯉・最後のシーン)

【2020年】
ジェームズ・ベイ『us』(オープニング)
リンキン・パーク『Iridescent』(無観客の1回戦)
トム・オデール『Grow Old With Me』(初出場組・紹介)
フォール・アウト・ボーイ『Champion』(見取り図・紹介)
ダニエル・ジョンストン『Love Wheel』(おいでやすこが・紹介)
イマジン・ドラゴンズ『ビリーヴァー』(マヂカルラブリー・紹介)
ザ・ルミニアーズ『Sleep on the Floor』(マヂラブ野田の過去)
ハンバート ハンバート『虎』(マヂカルラブリー・優勝の瞬間から両親への報告)

【2019年】
チャーリー・プース『Through It All』(オープニング)
ジョー・サトリアーニ『Thunder High On the Mountain』(初出場組・紹介)
アヴィーチー『Heart Upon My Sleeve』(かまいたち・登場)
フォール・アウト・ボーイ『Champion』(かまいたち・紹介)
ベル・アンド・セバスチャン『We Rule the School』(ミルクボーイ・紹介)
ザ・ローリング・ストーンズ『Wild Horses』(ミルクボーイ・気持ち入れ替えたあと)
コールドプレイ『Up&Up』(ミルクボーイ・決勝進出決定)
ハルカトミユキ『流星』(ミルクボーイ・優勝の瞬間から報告)
竹原ピストル『Here we go!!』(エンディング)

【余談:M-1といえば】
クラウス・バデルト『彼こそが海賊』(オープニング「俺たちが1番面白い」)
Hi–STANDARD『CAN'T HELP FALLING IN LOVE』(コンビ紹介時 ※変動あり)
ランディ・ニューマン『ザーグの惑星(映画『トイ・ストーリー2』より)』(出囃子前の登場時)
ファットボーイ・スリム『Because We Can』(出囃子)
Sam Spence『Salue To Courage』(最終決戦の出囃子)
フォール・アウト・ボーイ『The Phoenix』(敗者復活戦オープニング)
RADWIMPS『前前前世』(2019年オリジナルPV)
Creepy Nuts『板の上の魔物』(2020年オリジナルPV)
宮本浩次『昇る太陽』(2021年オリジナルPV)
ウルフルズ『暴れだす V』(2022年オリジナルPV)

文/Lmaga.jp編集部

『M-1グランプリ2022 アナザーストーリー』

放送:2022年12月26日(月)・23:15〜

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