途絶えていた舞台出演に、岸谷五朗「特別な緊張感があります」

2022.12.30 17:15

音楽劇『歌うシャイロック』にて、主演を務める岸谷五朗

(写真2枚)

俳優として多数の映像作品に出演する一方、寺脇康文とともに主宰する演劇ユニット「地球ゴージャス」では脚本・演出も手掛けている岸谷五朗が、シェイクスピアの名作喜劇『ヴェニスの商人』をベースにした音楽劇『歌うシャイロック』で主演。公演を控える岸谷が、大阪市内で会見をおこなった。

■ 「いろんな神さまのいたずらで、出演が決まりました」

「地球ゴージャス」以外の舞台出演は、2008年の『トゥーランドット』以来。俳優オンリーで舞台に関わることが久々なので、岸谷は「すごく特別な緊張感があります」と笑う。

「脚本や演出をやっていると、表に出ている公演数より何倍も時間がかかるので、見えないところでスケジュールがパンパンなんです」と、これまで舞台出演が途絶えていた理由を明かし「今回はいろんな神さまのいたずらで、出演が決まりました。『やっとできる』という感じだし、役者だけで(舞台に)出られる幸せが本当にたまらないです」と喜びを見せた。

音楽劇『歌うシャイロック』にて、主演を務める岸谷五朗

本作の脚本・演出は、戯曲『焼肉ドラゴン』などで知られる鄭義信(チョン・ウィシン)。岸谷とは、出世作の映画『月はどっちに出ている』など、映像でのコラボは多かったが、二人とも演劇畑の人間でありながら、舞台でガッツリ組むのはこれが初となる。

「ユダヤ人が迫害されるのが常識の時代で、とんでもない差別をどう乗り越えていくのか? ということを、(原作では)悪役のシャイロックの目線から描いています」と本作のオリジナリティを語り「義信さんは在日2世で、かつて日本で大きな差別や迫害を受けた人たちの血が書かせているという部分を、僕はすごく強く感じる。義信さんじゃないと説得力を持てない作品だと思います」と、作家の目線から脚本を評した。

■ 「(舞台を)作ることが攻撃であり、乗り越えること」

もうひとつの見どころは、登場人物の会話が全編大阪弁になっていること。これによって、シェイクスピア作品に対する敷居の高さが、グッと低くなっているそうだ。

「シェイクスピアに親近感というか、近くに存在するような感じが生まれています。シェイクスピアを難しいと思っているお客様が突破口を開くには最高の作品じゃないかと思うし、普通の『ヴェニスの商人』とは変わった魅力を持つことができているなあと思います」と、そのユニークさを語った。

「義信さんは自分で『日本で2番目にしつこい演出家』って言ってるので(笑)、かなり粘って演出をされるのが楽しみ。まだまだ劇場に安心して来られる時代ではないけど、(舞台を)作ることが攻撃であり、乗り越えることだと思っています」と、強い意気込みを見せた。

岸谷のほかには、中村ゆり、岡田義徳、真琴つばさなどが出演。上演は2月9日~21日に「南座」(京都市東山区)にて。チケットは一等席1万2500円、二等席7000円ほかで、現在発売中。

取材・文・写真/吉永美和子

音楽劇『歌うシャイロック』

会場:南座(京都府東山区中之町198 四条大橋東詰)
期間:2023年2月9日(木)~2月21日(火)
料金:一等席1万2500円、二等席7000円、三等席4000円、特別席1万3500円

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