選手時代と比べ「世界が広がった」32歳の浅田真央が作る新世界

2023.1.4 17:00

アイスショー『BEYOND』で座長を務める浅田真央

(写真5枚)

選手引退から約5年、現在は選手としてではなくエンターテイナーとしてフィギュアスケート界に花を咲かせ続ける浅田真央。10代では「可憐な少女」で世界を席巻した彼女だが、32歳 となった今では「大人な一面」がプラスされ、さらに多くの人を魅了している。

そして彼女は今、全国各地を回るアイスショー『BEYOND』のツアー真っ最中。スケーターとして出演するのはもちろん、座長として演出・振付・衣装など全てを自らプロデュースしている。アイスショーを作りあげる浅田の構想について、また引退後に感じた「世界の広がり方」について、話を訊いた。

写真/バンリ

■ 「感情をあまり表に出さないようにしていた」

──アイスショー『BEYOND』は全18都市で開催されます。現在はその折りかえし地点となりましたが、率直に今のお気持ちを教えてください。

ゼロからアイスショーを作り上げていくというのは、とても大変な作業だったのですが、完成してみると充実感があって。そしていざ始まると「素晴らしい」「また見たい」というメッセージをたくさん頂けて、自分に自信を持つことができ、「これでいいんだ」と思うことができました。

各地を巡ることで手応えを感じていると話す浅田真央

──滋賀を皮切りにさまざまな都市を回られてますが、土地ごとの反応の違いなどは感じられましたか?

やっぱり大阪や東京はよくショーや試合で訪れていたせいか、お客さまの反応がすごく良いですね。オープニングは「どんなショーになるんだろう」とお客さまがソワソワしているのを感じますが、最後はみなさんスタンディングしてくださって、拍手や笑顔を贈ってくださるのがとてもうれしいです。

──真央さんが初めて手がけた『サンクスツアー』(2018年〜2021年)のときは200以上の公演を駆け抜けられ、「気がついたら3年やっていた」と仰っていたのが印象的でした。

そうですね、サンクスツアーは3年間で、『BEYOND』は約半年間。2023年の3月までなのでそれこそ一瞬で終わってしまってしまうと思います。なので、一公演一公演悔いなく全力で、120%で滑りきろうという気持ちでいっぱいです。

──1年が一瞬と。選手を引退されてから時間の密度というか、流れもまた違ったものになってきているのでは?

この1年も本当に色々あったんですが、特にショーが始まってからは時間が一瞬で過ぎていきましたね。

選手のときはスケートリンクの往復も含めて1人で過ごす時間が多かったです。練習や自宅でも自分と向き合う時間がほとんどで、あまり人と話をせずに、感情を表に出さないようにしていたんです。どんなことがあっても辛いこと、大変なことは自分の気持ちのなかで抑えておこうというのがあって。

──試合での「自由な表現」も、裏にはそういった場面があったんですね。

試合もやるべきこともありましたし、あまり考えないようにと。当時を振りかえれば自分自身もロボットのような生活だったなと思います。アイスショーでは支えてくださるスタッフのみなさんやメンバーもいてくれて、練習でもみんなで話し合ったり、時間をともにしていくなかで、コミュニケーションをとる機会も増えました。

そして、いろんな舞台を見たり、ダンスをしたりとスケート以外から吸収をすることも増えました。感動したり、自分の感情が動くことが増えて、世界がすごく広がったなという気がします。

この日浅田が着用していたコーディネートは、かつて衣装として使用していたものだったそう

──感情の置きどころが増えたといったところでしょうか?

そうですね、それが表現力にもつながるとも思うので、いろいろな経験をするようにしています。

──そういえばキックボクシングやタップダンスも始められたんだとか。

はい、趣味ではあるんですが、それがすべて滑りに生きてくると思うんです!

アイスショー『BEYOND』

大阪公演
会場:東和薬品RACTABドーム(大阪府門真市三ツ島3-7-16)
期間:3月4日(土)・5日(日)
料金:スタンド席7000円

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