神戸で似顔絵を描き続ける81歳、「今が幸せ」と500円で営業

2023.1.2 08:45

「北野工房のまち」(神戸市中央区)で、約15年間似顔絵を描き続ける尾蟹志江(おがにしえ)さん

(写真7枚)

■ 「奥さんは『ちゃんと描きなさいよ』って」

──ご家族は何ておっしゃっていますか?

奥さんは最初「似顔絵を描きに行くなんてやめて」と言っていたけど、今は「ちゃんと描きなさいよ」って、寒くなったら温かい洋服を用意してくれます。

──ご家族も協力してくれているのですね。似顔絵1人500円はお安いのでは?と、思うのですが・・・。

コインが1枚ですみますからね、おつりも単純で間違えない。値段が安いから、毎年描いて欲しいというお年寄りもいます。子どもが記念に描いてもらったりもしやすいです。お金が欲しくてここに座ってるんじゃないんですよ。

尾蟹さんの足下には、「神戸」と書かれたパンフレットや画材が置かれている

──なるほど。1日に何枚くらい描かれるのですか?

1日に最高20人くらい描きました。この頃は不景気で10人もいきませんよ。8人とか少ないときはゼロもあります。でもここにくる週2日を、とても楽しみに過ごしています。好きなことをやってね、私は今が1番幸せです。

取材中に、青森県から観光で来ていた夫婦が立ち寄った。「似顔絵を描いてもらったことがないので、どんなふうになるのかなと思って楽しみに描いてもらいました。短時間ですごいですね。2枚並べて居間に飾って、お正月に孫たちと一緒に見ます。旅行のいい思い出になりました」と、似顔絵と同じやさしい笑顔で話した。

尾蟹さんが似顔絵を描いている「北野工房のまち」はもともと小学校だった校舎を利用した施設のため、所々に温かみが感じられる

尾蟹さんが似顔絵を描くのは、毎週土日祝の朝10時から夕方4時まで。場所は「北野工房のまち」内の階段(南側)踊り場。

取材・文・写真/太田浩子

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