阿部サダヲ、コロナ禍での無観客を経て「お客さんはすごく大事」

2023.1.15 08:15

舞台『もうがまんできない』に出演する阿部サダヲ(12月26日・京都市内)

(写真4枚)

『いだてん』(NHK)、『俺の家の話』(TBS)など、数々の人気ドラマを手掛ける脚本家・演出家の宮藤官九郎。所属する劇団、「大人計画」の俳優たちとともに、自分が今本当に作りたい世界を作るユニット「ウーマンリブ」で、2020年に上演するはずだった『もうがまんできない』を、リベンジ上演することに。年の瀬に、出演者の阿部サダヲ&皆川猿時の会見がおこなわれた。

■ 「がまんできない」のぶつかり合いから生まれるコメディ

1996年に第1回目を上演して以来、オムニバスコント作品や1本のストーリーとして上演する作品など、多彩な世界を展開してきたウーマンリブ。今回はマンションやホテルなどが立ち並ぶ東京・渋谷のエアースポットを舞台に、解散寸前の漫才コンビ、不倫カップル、風俗店の店長と風俗嬢などの人々が、お互いの「がまんできない」をぶつけ合う、ノンストップワンシチュエーションストーリーとなる。

(左から)阿部サダヲと皆川猿時(12月26日・京都市内)

2020年は松尾スズキが演じていた風俗店の店長役を務める皆川。「ウーマンリブは割とスポーツに近いというか、体力的には大変だけど、終わったあとに爽快感があります。でも今回の作品は、歌ったり踊ったりすることはないし、こんなに芝居っぽいのは久しぶり」と、今回の舞台の感触を語る。

2020年に引き続き、不倫カップルの男性を演じる阿部は、「最近はコンプライアンスとか、やっちゃいけないことがどんどん増えているから、そんななにかを抱えているような時代の雰囲気を感じました」と内容に言及したうえで、宮藤について「(舞台の内容に)ゲームとかVRの話が入ってるのが意外だし、感心した。ネタが尽きることはないし、いろんなことを思いつく人だなあと思っています」と、多才ぶりに触れた。

■ コロナ禍での無観客は「演じていて楽しめなかった」(阿部)

今回は皆川以外にも、漫才コンビ役で仲野太賀&永山絢斗が新たにキャスティングされた。2人については「太賀君とは、彼が20歳ぐらいのときに舞台で共演して以来。当時は台本の読み方を聞いて来てくれたけど、今度は教わることになると思います(笑)」(阿部)「永山君は一度舞台で共演したけど、無鉄砲な芝居をするおもしろい人。最初に稽古に来たときに、稽古靴の存在を知らずに、裸足で来ていたのも印象的です(笑)」(皆川)という裏話も。

一度は上演中止になった同作品について、熱く語り合う(左から)阿部サダヲと皆川猿時(12月26日・京都市内)

実は本作は、無観客状態で撮影した舞台を『WOWOW』で放映しており、皆川も「お酒飲みながら観てたから、あまり覚えてない(笑)」と言いつつも視聴。しかしそれを経たからこそ、ちゃんと劇場に観客がいる状態での上演を実現したいと、2人とも強く願ったという。

阿部が「空の客席の前で、笑い声も聞こえない状態でやるから、演じていて楽しめなかったです。シーンとしたなかでやるような芝居じゃないし、お客さんはすごく大事だなあと思いました」と振り返ると、皆川も「すごくヒリヒリして、出てくる人がみんな怖いなあと思ったら、酒が進みました(笑)。(有観客で)笑い声が入ることで、それが緩和されたり、逆にもっと『怖いなあ』と思ったりするだろうから、劇場でやれるのが楽しみです」と意欲を見せた。

着用しているTシャツは、阿部が皆川にプレゼントしたもの(12月26日・京都市内)

ほかには荒川良々、宮崎吐夢、平岩紙などが出演。4月の東京公演を経て、大阪は5月18日~31日に「サンケイホールブリーゼ」(大阪市北区)で上演。チケットは一般8500円、ブリーゼシート6000円、22歳以下3800円で、4月9日発売開始。

取材・文/吉永美和子

舞台『もうがまんできない』

会場:サンケイホールブリーゼ(大阪府大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー7F)
期間:5/18(木)~5/31(水)
料金:指定席8500円、ブリーゼシート6000円、ヤング券3800円

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