宮藤官九郎「人をザワつかせるとは」、自身のユニット名に意見

2023.2.24 07:00

演出家・脚本家の宮藤官九郎

(写真2枚)

松尾スズキが主宰する劇団、「大人計画」の劇団員で、NHK大河ドラマ『いだてん』など、数々の話題作の脚本を手掛ける宮藤官九郎。自らが作・演出を手掛ける劇団内ユニット「ウーマンリブ」の最新作『もうがまんできない』のリモート会見がおこなわれ、改めてウーマンリブとはなにか? について語った。

■ 「ネーミングで人をザワつかせることが起こるとは」

1996年に、自分がやりたい舞台を自由に作るために結成したウーマンリブ。70年代の女性解放運動の名称を、男性が主宰するユニットの名前にするとは、なんともいわくありげだが、実は「なにも考えていなかった」というのが真相だ。

「ユニット名を考えているときに、(劇団員の)宮崎吐夢さんに『ウーマンリブって、最近まるっきり聞かなくなった言葉だけど、宮藤さんの印象と全然違うからおもしろくない?』と言われて『ああ、いいね』と思って名乗りました」という、軽いノリで付けたことを明かす。しかし最近、性差別の議論が急激に進んだために、意味深長にとらえられることが増えてしまったそう。

「たとえば(バンドの)『筋肉少女帯』って、最初に聞いたときはビックリするけど、そのうち固定名詞と捉えるようになってネーミングの意味とか考えなくなったんじゃないかと思うんです。それと同じことが(ウーマンリブにも)起こったけど、さらにその先に、ネーミングで人をザワつかせることが起こるとは、思ってもいなかったです」と苦笑する。

とはいえ、少なくとも演劇ファンの間では「ウーマンリブ=宮藤のユニット」というのが、すっかり浸透していることもあり「なにか言われたら『そういう意味ではないので』と言い続けようかなあと思います」と、語った。

■ 「劇団員たちに『おもしろい』と思ってほしい」

『もうがまんできない』は、携帯の位置ゲームのプレイ中にたまたま集った、見ず知らずの「がまんできない」人たちの姿を見せるシチュエーション・コメディ。ウーマンリブでは、正統派の会話劇からバラエティ色の強い舞台まで、さまざまなスタイルのコメディに挑んできたが、そこには常に「劇団員たちに『おもしろい』と思ってほしい」という強い思いがある。

宮藤官九郎が作・演出を手掛ける劇団内ユニット「ウーマンリブ」の最新作『もうがまんできない』は、今春上演される

「今僕は劇団の本公演にあまり呼ばれないので、うちの劇団員たちと直接関わる舞台が、ウーマンリブしかなくて(笑)」と、意外と貴重な機会であることを明かしたうえで、「僕は彼らと長く一緒にやってきたから、ほかの人には見えない部分も見えるし、こっちも彼らがいろんな現場で関わった作品より、『おもしろい』と思ってもらえるものを作りたい。そういう見張ってる&見張られてるという緊張感は、お互い言葉にはしないけど、あると思います」と、刺激し合う関係であることを告白した。

『もうがまんできない』は阿部サダヲ、仲野太賀、永山絢斗、皆川猿時、荒川良々などが出演。4月の東京公演を経て、大阪は5月18日~31日に「サンケイホールブリーゼ」(大阪市北区)で上演。チケットは一般8500円、ブリーゼシート6000円、22歳以下3800円で、4月9日発売開始。

取材・文/吉永美和子 写真/三浦憲治

舞台『もうがまんできない』

会場:サンケイホールブリーゼ(大阪府大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー7F)
期間:5/18(木)~5/31(水)
料金:指定席8500円、ブリーゼシート6000円、ヤング券3800円

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