大友啓史監督「あのショットが、この映画のキーショット」
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映画『レジェンド&バタフライ』のメガホンをとった大友啓史監督
「なりきれなかった男、というのも裏テーマ」(大友監督)
──笑える台詞やアクションで転がしていくのは、日本映画の苦手なところでもありますもんね。それこそ市川崑監督とか中平康監督とか、あちらの影響を受けられた監督しかあまり成功例がない。
そうですね。あと、古沢さんに事前に言ったかどうかは覚えてませんが、方言をめちゃくちゃリアルに入れていきましたね。標準語だと若かりし頃の信長の野暮ったさが出ないんですよ。それを尾張・美濃あたりの方言に変換していくと、いわゆる洗練されたロマンティック・コメディに、この時代の野蛮な泥臭さとか、そういう香りが漂ってくるんです。それに、微妙に濃姫の方が洗練されてるじゃないですか。なんせ濃姫って(織田家に嫁ぐ以前に)バツ2で、その2人の前夫がともに謎の死を遂げているっていう、数少ない女性で(笑)。
──戦国きってのクセ者、マムシの娘ですから(笑)。
そんなコンセプトを生かしていくと、濃姫というのは意外と面白い作りができる。こっちで無理矢理、個性的に作ろうと思わなくても、マムシの娘だから武芸の嗜みは当然あるだろうし、もしかして男に生まれれば天下を取ってたかもしれない。頭の回転も早いし、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うという感じで。青臭い10代の信長も、言い返されれば言い返されるほどムキになって。
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──酒も弱いのに、虚勢ばかり張って(笑)。もう、初夜のドタバタ劇はすごかったですね。あれだけでこの映画は成功したって感じでした。「うつけ者」と呼ばれた初期の信長ですが、あれもホントは虚勢であって、わざと演じていたところがあると思う。
やっぱり、そういう無邪気なやり取りが面白いんですよ。その一方で、濃姫も自分の美しさに気づいてない。信長が自分にときめいていることに気づかない、そういう未熟さもあって。そのあたりを細かく、細かく落とし込んでいくと、もう少しディテールが見えてくるのが、あの初夜のシーンの設計図だったりして。脚本の段階での肉付けというのはあまりせず、現場にすぐに持ち込んで膨らませていけたというのが一番大きいですね。
──そんな信長を濃姫が焚きつけた結果、「今の儂に心などない。人であることをとうに捨てたわ」と破戒な宣言をする化け物に変化していく。信長とともに、この2人の関係性がどう変化していくのか、そのポイントがきっちり押さえられているのがすごく見事だなぁと。嫌というほど合戦を繰り返した信長にもかかわらず、今回は『るろうに剣心』シリーズとは異なってアクションが意外に少ない。
少ないですよね。「合戦って、手間暇かかるわりには・・・」ってところもあるんですよ。やっぱり「桶狭間の戦い」とか、ディテールを起こしていくとめちゃくちゃ面白いんですけど、僕がやりたいレベルで桶狭間を撮ったら、撮影だけで3週間くらいかかる(笑)。
やはり合戦を描くのは、今の日本映画界では限界があります。ト書きには合戦シーンもあったんだけど、そこを重ねてもモンタージュにしかならないから死屍累々にしたんですよ。あの「長篠合戦」のあとも。
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──大正解だと想います。あのシーンは実に強烈でした。
そこでやっぱり、僕らも信長のことをリアルに思うと、台詞でも言ってますけど、歴史上、誰よりも人を殺した人物なんです。やっぱりサイコパスでも無い限り、殺し続けると人間ってどこかおかしくなってしまうんじゃないの? って。
今回の信長像は、それでちょっと心を痛める内省的な部分が少し残されていたんじゃないかという方向にしています。天下布武のためには仕方なかった、魔王になろうとしたけどなりきれなかった男、というのも裏テーマであるなと。
映画『レジェンド&バタフライ』
2023年1月27日公開
監督:大友啓史
出演:木村拓哉、綾瀬はるか、ほか
配給:東映
©2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会
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