望海風斗がまとめあげる、日本初演「ドリームガールズ」のすごさ

2023.2.21 21:15

ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』より、(左から)福原みほ、望海風斗、sara(撮影/岩村美佳 提供/梅田芸術劇場)

(写真6枚)

元宝塚トップスター・望海風斗を迎え、日本初演が実現したブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』。その大阪公演が2月20日に開幕し(〜3月5日まで)、初日の客席は望海の「ええ夢みてな〜!」という掛け声に包まれた。

■ 約3時間のノンストップ・エンタメショー

1960代の混沌としたショービズ界で、夢を掴むために歌い続ける女たちを描いた同作。ミュージカルでは珍しい「ソウル歌手」をフィーチャーし、劇中では至極のR&Bナンバーを随所に使用。1981年に本場・ブロードウェイで開幕して以来、作品の虜になる者が後を絶たず、2006年にはハリウッドで映画化。ビヨンセやジェニファー・ハドソンが出演し、日本ではそのパロディ音楽ユニット「矢島美容室」(2008年〜12年)が結成されたことも記憶に新しい。

これまで来日公演は幾度とおこなわれていたものの、日本版としては今回が初。2021年4月に宝塚歌劇団を退団したばかりの望海を座長に、新たな『ドリームガールズ』が誕生した。開幕前の会見で、望海は「なにせナンバーが多く、びっくりするくらい踊って、早変わりのシーンも多いです!」と、盛りだくさんになることを匂わせていたが、実際に開幕すると、そこにはノンストップのエンタメショーが待ち受けていた。

ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』より、(左から)sara、望海風斗、福原みほ、なかねかな(撮影/岩村美佳 提供/梅田芸術劇場)

■ 22歳のスターが誕生、saraとは?

ステージ上で「オン・ステージ」を描く同作。舞台上には主人公・ディーナを演じる望海、そして「ザ・ドリームズ」へと進化を遂げていくメンバーとしてエフィ役の福原みほ/村川絵梨(Wキャスト)、そしてローレル役のsaraが揃い踏み。

ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』より、(左から)望海風斗、sara、福原みほ、駒田一(撮影/岩村美佳 提供/梅田芸術劇場)

劇中でも大きな意味を持つナンバー『Dreamgirls』をはじめ、感情のシャウトが勇ましくも儚い『And I Am Telling I’m Not Going』、運命の岐路に立たされた彼女たちのためのナンバー『One Night Only』などが披露され、かつては歌うことだけを夢見ていた彼女たちが、それぞれのナンバーを通して次第にひとりの女性として、またアーティストとして成長していく様が、客席にいながらも目撃できる。

なかでも目を惹いたのは、今回ローレル役にオーディションで抜擢されたsara。22歳という若さにしてこの大役をつかみ取り、望海や村川(初日キャスト)といったベテラン女優たちに引けをとらない存在感・歌唱力で観客を魅了。約3時間の舞台のなかで、あどけない少女だった彼女がソウル歌手として成長していく様は、まさにスター誕生を見たような気分であった。

■ カンパニーの座長であり、作品の要・望海風斗

今回、望海が座長をつとめたことにより、バックグラウンドや年齢の異なる個性豊かなキャストが強固に結ばれていたのも印象的で、(前述で触れた)舞台経験の浅いsaraや、歌手としての分厚いキャリアを持つ村川、また、そのWキャストに起用されたR&Bシンガー・福原みほら、「ミュージカル俳優」という枠組みにとらわれない演者たちが、望海を中心にひとつの方向に向かってた。

ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』より、(左から)sara、望海風斗、村川絵梨、なかねかな(撮影/吉原朱美 提供/梅田芸術劇場)

初日を終え、カーテンコールの際には、望海が満足感に満ちた様子で「ええ夢見てな〜!」と客席に呼びかけると、声は出せないものの、観客からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。公式インタビューでも語っていたが、キャストみんなが口を揃えて望海を「練習家」と称す。ディーナとして、また1人の座長として、一貫した彼女の女優魂は「夢を掴む」作品のメッセージ性をより、強くしたことだろう。

ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』の大阪公演は2月20日〜3月5日に「梅田芸術劇場 メインホール」(大阪市北区)にて上演。チケットはS席1万4500円、A席9500円ほか。現在販売中。

ブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』

会場:梅田芸術劇場 メインホール(大阪府大阪市北区茶屋町19-1)
期間:2月20日(月)〜3月5日(日)
料金:S席1万4500円、A席9500円、B席5500円

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