豊川悦司が今、時代劇に挑むワケ「僕は危機感を抱いています」

映画『仕掛人・藤枝梅安』2部作で主人公を演じる俳優・豊川悦司
◆「今、時代劇はその瀬戸際にある」(豊川)
──ギャップですね。
そう、ギャップは大きければ大きいほど怖いですよね。演じていても面白いし。それにもうひとつ、梅安の裏の顔は誰も知らないわけで、梅安本人も誰にも知られていないと思っている。
ところが、映画を観ている人たちはそれを観ているし知っているわけです。そこにもギャップがあって、それが観る楽しみ、エンタテインメントになっている。そう思うと演じていてもどこかライブ感があって楽しかったです。
──だから、裏の仕事「仕掛け」は必然的にスタイリッシュになるんですね。
今回、仕掛けの小道具である針(はり)は、細さや長さ、打つ所作などでどう観えるか、どう映るか、スタッフ総出で凝りました。

──先ほど名前の出た相棒の彦次郎を、今回、片岡愛之助さんが演じていますが、このキャスティングには豊川さんの意見も反映されているそうですね。
ええ、彦次郎役のイメージを聞かれたときに愛之助さんの名前は僕が挙げさせていただきました。梅安というキャラクターは時代劇らしくないというか、時代劇の範疇に収まりきらないところがあるので、相棒の彦次郎は時代劇がしっかりできる人で、さらに現代劇も巧みな人がいいと思いました。そうなると愛之助さんがいいのではないかと。
それが間違っていなかったことは撮影に入ってすぐに実感しました。台詞回しもすばらしく、安心感がありました。ナレーションも愛之助さんの彦次郎が務めることになって、これも良いアイデアだったと思います。
──梅安と彦次郎のコンビネーションがいいですよね。特に第2作では、2人が連れ立って旅に出るストーリーで、つまりはバディ・ムービーですし。その旅の衣裳がまたかっこいい(笑)。まるで西部劇のようでした。
衣裳デザインの宮本まさ江さんにも西部劇のイメージはあったと思います。それにバディ・ムービーというのもまさにそうで、そこにさらに、例えばダスティン・ホフマンとジョン・ヴォイトが主人公を演じた『真夜中のカーボーイ』(1969年)とか、アル・パチーノとジーン・ハックマンの『スケアクロウ』(1973年)といった、アメリカン・ニューシネマの雰囲気が出ればいいなと思っていました。
──時代劇であっても、そういったモダンな感覚って必要ですよね。
もともと、池波先生の原作にもそういった感覚がありますから。

──ほかの共演者も、第1作の早乙女太一さん、第2作が主となる小林薫さん、佐藤浩市さんと豪華です。
早乙女さんの殺陣は流麗で、佐藤さんは迫力がある。梅安の師匠である京都の鍼医者を演じてくださった小林さんの柔らかさと厳しさを兼ね備えた空気は、京都の人、独特のものですよね。
──女性陣も第1作のメインストーリーに絡む天海祐希さんは存在感抜群だし、第1作・第2作と続けて出ている菅野美穂さんと高畑淳子さんは、ともすれば殺伐としがちな作品感を救う、とても素敵な緩衝剤でした。
天海さんとの共演はこれで3度目になると思うのですが、毎回素晴らしい俳優さんだなと思いますし、特に今回の「おみの」役ははまっていたと思います。美穂ちゃんと高畑さんは、言っても百戦錬磨のベテランですからね。見事ですよ。2人が演じてくれた役柄は、有るのと無いのでは全然違う、作品の奥行きを深める重要なポジションです。

──最後に、時代劇について、いまどのようにお考えですか?
始めにも言いましたが、時代劇も国内だけでなく、日本発の世界向けコンテンツとして作り続けていくことがこれからもっと求められていくと思います。僕は危機感を抱いています。このままだと、日本の伝統であり、この素晴らしく面白いジャンル作品が、最初はアジアから、やがては世界中で模倣されて、いつのまにかその国や地域のお家芸的作品と見なされてしまうのではないかと。
つまり、元は日本発のコンテンツであるのに、いつのまにか他国のものにされてしまう。今、時代劇はその瀬戸際にあるように感じています。だから、配信などのシステムをうまく活用して、日本オリジナルの素晴らしいジャンルであることをもっとアピールする、外に向けた作品を作り続けることが大切なのだと思います。
映画『仕掛人・藤枝梅安2』
4月7日公開
監督:河毛俊作
脚本:大森寿美男
音楽:川井憲次
出演:豊川悦司 片岡愛之助 菅野美穂 小野了 高畑淳子 小林薫
第二作ゲスト:一ノ瀬颯 椎名桔平 佐藤浩市
配給:イオンエンターテイメント
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