ミュージカル界の申し子・浦井健治「翼をいただけた作品」

2023.3.30 19:00

ミュージカル『アルジャーノンに花束を』で、9年ぶりに主演チャーリイ・ゴードン役をつとめる俳優の浦井健治

(写真7枚)

■ 「お声がけをいただいてナンボの存在なので」

──初演が17年前ということは、浦井さんもミュージカルに関わって、それ以上の歳月が流れたことになります。これほど長く一線で続けるとは想像してなかったのでは。

ミュージカル界での絶え間ない活躍に関して、「感謝」と語る浦井健治

そういうビジョンでは見てなかったというか、まずミュージカル自体に疎かったというか、それまで観たことがなかったので、スタートから知識量が極端に少なかったし、「自分の価値をどう見せるか? 」を頭で整理することをせずに、よくここまで来たなあとは思います。

僕は自分で舞台を企画するわけではないし、お声がけをいただいてナンボの存在なので、それがずっと続いている状態には、本当に感謝ですね。

──そのなかでもこの作品は、初主演ということで、やはり浦井さんにとってはエポックメーキングだったのでは?

劇団☆新感線も、新国立劇場のシェイクスピアも、東宝のミュージカルも、全部エポックですよ(笑)。でも確かに、この作品の初演と再演は、歌唱法やセリフや身体の使い方とか、自分のひとつの軸として学んだことは多かったと思います。翼をいただけた作品ですね。

──9年の歳月を経てのチャーリイ役は、特にコロナ禍の3年間をはさんだということもあるので、何か違うものをもたらしてくれる予感はありますか?

僕自身は(もたらされるものは)変わらないと思うんですが、9年の間にこの作品がもはやSFではなくなっている感があるので、今の時代の問いかけとしての演劇を作っていく・・・というのは心掛けてます。やはりコロナ禍の3年間で、世界の情勢も含めて、環境や生活が変わっているのは、見て取れる気がしているので。

──なかでも特に「ここが大変だ」と思っていることはありますか?

んー・・・国民への負担。

──めちゃくちゃズバッと。

でもそんな状況で生きていくときにも、エンタテインメントにはきっと勇気をもらえると思っています。ありがたいことに、コロナ禍でも舞台にずっと立たせてもらったなかで、それをすごく感じてきましたから。

──そのなかでもこの舞台は勇気だけでなく、自分のなかの偏見や社会のとらえ方などを、もう一回考え直してみては? と呼びかけられるような舞台じゃないかと思います。

でもそれは、人それぞれですね。ただ「よかったー」と思うだけでもいい。エンタメはね、自由! 本当にそう思います。

同作品の受け取りかたは人ぞれぞれ、そこが作品の持つパワーとも表現する浦井健治

──ちなみに・・・チャーリイが「賢くなりたい」と思ったように、ちょっと痛い目に遭ってもいいから、こういう風になりたい! と思うものってありますか?

「こんな人物になりたい」というのは、役者をやってると実際にいろんな者になれるんで、特にないですね。能力的なことでいうと、記憶力かな? 大竹しのぶさんみたいに、1回脚本を読んだだけで全部覚えるみたいなことができたら、最高です。楽だし、自由な時間が増えますしね(笑)。

ミュージカル『アルジャーノンに花束を』は、5月13日・14日に「COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール」にて上演。チケットは1万3500円、現在発売中。

取材・文/吉永美和子 写真/バンリ

ミュージカル『アルジャーノンに花束を』

会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール(大阪市中央区大阪城3-6)
期間:5月13日(土)〜14日(日)
料金:1万3500円

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