関西は2カ所だけ、懐かしの「回るお菓子」に込める百貨店の想い

2023.3.23 06:30

「近鉄和歌山店」の回るお菓子「Gram(グラム)」の売り場(撮影・2023年2月24日)

(写真11枚)

ゆっくりと回る陳列台に所狭しとお菓子が並び、かつてはデパートのシンボルだった「回るお菓子」。飴やクッキー、チョコにせんべいなど、好きなお菓子を選べるスタイルで子ども心を鷲づかみにするあの光景・・・広島県出身の30代記者が大阪に来て3年、そういえば見ないな、関西にはあるのか?と気になったので調べてみた。

回るお菓子の正式名称は「Gram(グラム)」と言い、老舗菓子メーカー「松風屋」(本社:愛知県名古屋市)が運営している。1959年に先代の会長が海外視察で見た回転する机を参考に国内で開発したのが始まりで、最盛期の1980年代には約150カ所にあったが、現在は九州を中心に全国で30カ所ほどに減少。同社に聞いたところ、子連れでの来店数が減ったことや、バブル期に中元歳暮などのギフト中心となった百貨店でギフトのない売場の撤退が進んだことなど、さまざまな要因が考えられるそうだ。

そんななか、どうやら関西には現在「近鉄和歌山店」(和歌山県和歌山市)と「近鉄橿原店」(奈良県橿原市)に残っているとのこと。今回、百貨店開業から36年「Gram」の営業を続ける「近鉄和歌山店」の菓子担当・寺岡正博さんに、今なお置き続ける理由について訊いてみた。

「近鉄和歌山店」の菓子担当・寺岡正博さん

──どのような方が利用されているのでしょうか?

お子さまはもちろん、学校帰りの高校生や常連のご年配の方も来られ、みなさんいくつになってもワクワク感を楽しんでくださっています。常連の方はお目当ての商品が決まっているようで、キロ単位でまとめ買いされる方も多いですね。

──懐かしいものから新しいものまで、色々あって楽しいです。最近の売れ筋商品は?

ハートチョコや金太郎飴などかわいいものがたくさんあるのですが、昔からある「足形べっこう」がダントツで人気です。親から子、お孫さんへと伝わっているみたいで、「おばあちゃんが好きだから」と大量に買われるお子さんもいらっしゃいますね。あと、最近ブームのレーズンサンドクッキーも人気です。

ゆっくりと回る円形の陳列台。お菓子がずらりと並び、大人でもワクワクします

──年々減ってきており、関西では残り2カ所に・・・寂しいです。

百貨店として3世代が楽しめる場所を目指していますが、小さなお子さまが楽しめる場所って少ないんですよね。回るお菓子目がけて子どもがワーッと走ってきて、親は後ろでニコニコしながら見てて。「今日は300円ね」なんて言われながら、自分でカゴに入れたり、計算したり、お金を払ったり。勉強にもなるし、それを見て成長を感じられる。そういう場所として、絶対に必要だなと思っています。

──和歌山店では今後も続けられますか?

売り場面積や効率の問題など、売上げの部分ももちろん大切ですが、当店はとくに地元に根ざした百貨店なので、回るお菓子を大事にしていきたいと思っています。今まで、撤去するという話も一切出ていないんです。もしなくなるときは壊れたときかもしれませんね。

453g・1133円の大人買い!ウエハースやたい焼き、みたらし団子もありました

地元客に愛され、長年の「回るお菓子」ファンが多い同店では、昨今の値上げでも売上は落ちていないという。取材時には、ふらっと立ち寄る年配客や、子どもの好きなお菓子をまとめ買いに来る女性の姿も見られた。

売り場には、サッカーボールチョコや袋入りのチューイングキャンデーなど、懐かしいラインアップが健在。これ昔からあるわ〜!とか、子どもの頃はずっと見てて酔ったな〜なんて思い出したり、一瞬でタイムトリップした気分になった。故障もあるそうだが、メンテナンスをしながら、毎日現役で回り続けている。

@lmaga_jp

昭和レトロな「回るお菓子売り場」、近鉄和歌山にあった〜!✨ワクワクして買いすぎてしまう?#回るお菓子 #和歌山 #昭和レトロ #レトロ

♬ Cute ragtime piano with retro tone – Single Origin Music


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