栗ひとつで信玄と家康の格の違いを認識、不意打ち密談に震撼【どうする家康】

2023.3.25 13:50

武田信玄(左、阿部寛)と対峙する徳川家康(松本潤)(C)NHK

(写真3枚)

松本潤が徳川家康を演じ、その厳しい選択だらけの人生を描きだす大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。第11回『信玄との密約』では、家康がついに「徳川家康」となり、さらに武田信玄と予想外の対面を果たすという、ドタバタながらも戦国大名のシビアさを思い知らされる密約が描かれた(以下、ネタバレあり)。

■どうする家康、謎の坊主・信玄と遭遇

平定した三河国の主となるにあたり、由緒正しき家柄であることをなんとか朝廷に認めさせ、姓を「徳川」に改めた家康。そこに織田信長(岡田准一)から、武田信玄(阿部寛)が今川家との同盟を反故にしたので、信玄と談判をするよう告げられる。

さらに、家康が交渉に持ち込めるよう取り計らった信長。彼の書状に乗った信玄は家康に密談を持ちかけるが、面会の場となった山寺に来たのは信玄ではなく、家臣たちだった。

家康も家臣の酒井忠次(大森南朋)らに談判を任せて寺を出るが、山のなかで謎の坊主と遭遇。それは「このように肩肘張らずに会った方が、相手のことがようわかる」という信玄本人だった。

度肝を抜かれた家康は、駿府を武田、遠江を徳川が攻め、互いに領地を切り取るという、信玄の案を飲み込んでしまう・・・。

■家系図ねつ造の裏事情を、あっけらかんと

以前にもこのコラムで記したが、若き家康の「ちょっと改名多すぎ」問題は、どのように名前を使い分ければ読者を混乱させずに済むのかという悩みのタネだった。しかし第11回になってようやく「徳川家康」となったので、今後は無用な混乱は避けられるだろう。

そしてオープニングのクレジットも「徳川家康 松本潤」となり、SNSでは「祝・徳川家康誕生!!」「徳川 三河守 家康。はいみなさん復唱」「オープニングの『徳川家康:松本潤』、感動するわ」という祝福の声にあふれた。

とはいえ、なぜ「徳川」に改名したかというのは「官位をもらえるよう、高貴な血筋であることの証明」という、大変にキナ臭い事情があった。しかしいろんなキナ臭さを、ことごとく笑いに変えてきた脚本家・古沢良太と『どう家』の演出陣。家臣たちが必死で家系図を切り貼りしたり、公家に金を払って家柄を買うという当時の裏事情を、あっけらかんと描き出した。

SNSでも「ここまでリアルに武家の由来ねつ造と、業突く張りの公家の化かしあいが描かれるとは、素晴らしい」「家系図無理やり繋げるぞリサーチ大会で大笑いしたんだけど、そーゆーもんでも大事なんです!って話なんだよな~」など、楽しませてもらったとの感想が上がっていた。

■栗ひとつで信玄と家康の格差を認識

武田信玄(阿部寛)(C)NHK
『どうする家康』第10回より、武田信玄(阿部寛)(C)NHK

そして第1回目に初登場した瞬間から「どう見てもローマ人」「古代ローマ帝国甲斐」などと言われた、阿部寛演じる武田信玄が、ついに家康とご対面。しかしそこは、さすが「甲斐の虎」と言われた戦国のレジェンド。身分を隠して家康に近づき、一挙手一投足を監視させていたことに気づかせてマウントを取ったうえで、自分の思うがままに交渉を運んでしっかり締結・・・と、いきなり格の違いを見せつけた。

家康が、今話している相手が信玄だとわかった瞬間、SNSでは「うわぁぁ! びっくりした。武田こっわ」「ローマホラー」「武田シンゲニウス、迫力あるなぁ」「やっぱ信玄は圧が違うな圧が。原哲夫作画だから」「アレだ。怖い顧問の悪口言ってたら本人来たパターンだw」と、なぜか家康の気分になって一緒に震え上がる声が続々と。

そして、家康たちが栗を探している姿を監視していたのか、あるいは家康の妻・瀬名(有村架純)が栗好きというのもリサーチ済みだったのか、最後に家康に栗を差し出す場面でのコメントは、「先に来て栗拾ってる、3人の話いつのまにか全部聞かれてる、交渉の余地もない。情報戦も外交戦も全部負け」などと、栗ひとつで信玄と家康の格差を認識させるという技に、感心する声が相次いだ。

遠江の引間城へと兵を進めるも、お田鶴と戦うことに抵抗を感じる徳川家康(松本潤)(C)NHK
遠江の引間城へと兵を進めるも、お田鶴と戦うことに抵抗を感じる徳川家康(松本潤)(C)NHK

とはいえこの交渉が実現したのも、織田信長が信玄に一筆したためていたから。めちゃくちゃ高圧的に見えて、実は家康LOVEじゃね? という意見が有力となっている信長だけに、「ノッブ、どこまでヤッスに手厚いねん」「信長、面倒見が良い。うさちゃんのお世話ちゃんとするタイプ」と、遠回しな親切に萌える声が上がっていた。今後もこの、一方通行気味な2人の関係に注目せざるをえないだろう。

『どうする家康』は、NHK総合で日曜・夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夕方6時からスタート。第12回『氏真』では、武田に攻め込まれ、駿河から掛川に落ち延びた今川氏真(溝端淳平)と、家康の直接対決が描かれていく。

文/吉永美和子

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