【罠の戦争】権力に溺れる鷲津に、蛯沢の植物蘊蓄が突き刺さる

2023.3.21 20:45

復讐される側に「闇落ち」した衆議院議員・鷲津亨(草彅剛)

(写真2枚)

政界を舞台に権力に踏みつけられた議員秘書・鷲津亨の壮絶な復讐劇を描いた、草彅剛主演のドラマ『罠の戦争』(月曜夜10時~、カンテレ)。その第10話が3月20日に放送された。

歩道橋から突き落とされた息子・泰生(白鳥晴都)も順調に回復。犯人も罪を認め、隠蔽を指示した民政党の鶴巻憲一幹事長(岸部一徳)は、その責任を秘書に押し付けて逃げ切ったものの、なんとか平穏な生活を取り戻した衆議院議員の鷲津(草彅)。

しかし、もっと多くの人を助けるためには、もっと大きな力が必要だと考えるようになった鷲津は、人が変わったように汚い手を使うように。友人の衆議院議員・鷹野聡史(小澤征悦)と決裂し、妻の可南子(井川遥)とも衝突。息子からは「かっこ悪いよ、今のお父さん。最低」と言われてしまう。

そんな鷲津に、汚職疑惑の追求を逃れるため引退を宣言した鶴巻が掛ける言葉がなんとも深い。「気持ちいいだろう。力を使って誰かを救うのって。そうだ、気持ちいいんだ。誰かのために善をなす。でも、そのためにはもっと力が必要になる。いくつかの善を重ねるうちに、いつかそれが悪と呼ばれるようになる。君もすっかり囚われてるんじゃないか。権力という名の魔物に」。

「正義」の名のもと、権力を私物化する罠に嵌った鷲津。放送の終盤には、不正を訴える怪文書をばら撒いていた人物が秘書の蛯沢眞人(杉野遥亮)だったことを知った鷲津は2人きりで対面。その緊張感あふれるシーンで、蛯沢の植物蘊蓄(うんちく)がついに切れ味を発揮するのがたまらない。

鷲津亨(草彅剛)を陥れる怪文書をばらまいていたのは、秘書の蛯沢眞人(杉野遥亮)と判明

かつて鷲津を100年に1度だけ花を咲かせる、しなやかで折れない真竹に似ていると言った蛯沢。「花が咲いた後、竹がどうなるのか知ってます? 枯れるんですよ。滅多に咲かない花が咲いた後、一斉に枯れて死ぬ。竹林丸ごと消えてなくなる」と語り、これまでに見たことがない冷淡な表情で兄の仇である鷲津を絶対に許さないと宣言する。2人の師弟関係を微笑ましく見守ってきた視聴者には、なんとも辛い展開だ。

次回、最終話で鷲津のたどる運命とは!? 最後に蛯沢くんがとっておきの植物蘊蓄ですべての出来事をポジティブな未来へと繋げてくれることを期待しつつ、リアタイで見届けたい。

文/井口啓子

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