愛希れいか「100年に1度くらいは、こういう娘役がいても」

2023.4.19 07:00

ミュージカル『マリー・キュリー』で主演をつとめる女優・愛希れいか

(写真7枚)

「タカラジェンヌのなかでも、かつては異質と言われていましたね」と話すのは女優・愛希れいか。宝塚歌劇団で男役として2009年にデビューしたのち、2年後に娘役へと転向。「唯一無二の存在」は退団した今でも彼女の最大の魅力として残っており、女優としての変幻自在なポテンシャルは、ミュージカル『ファントム』や『マタ・ハリ』をはじめ、数々の注目作でもひときわ輝く。

2023年はミュージカル『エリザベート』にはじまり、4月20日にはミュージカル『マリー・キュリー』の大阪公演が開幕。日本初演を迎えた同作への意気込みはもちろん、1人の女優・愛希れいかとしての野望について、改めて話を訊いた。

写真/バンリ

■ 「自分が爆発してしまうんじゃないか」

──ミュージカル『マリー・キュリー』は韓国で生まれの作品で、今回は満を持して日本に上陸。日本でも馴染みのあるノーベル賞受賞科学者・キュリー夫人を題材とした物語です。3月に東京公演を終えられましたが、手応えはいかがでしたか?

きっと難しい話だろうとイメージされるお客さまが多いと思っていたので、「どういうふうに受け入れられるのか?」「どういう反応されるのか?」という不安が大きかったです。でも初日をご覧になった方々の「絶対に観たほうが良いよ」と言ってくださった口コミで広がっていって・・・最終的にはたくさんのお客さまに届けることができました。本当に良いと思って見てくださることは、私としてはこの上ない幸せでした。

ミュージカル『マリー・キュリー』の舞台写真(東京公演より)

──今回は東京公演を終えて、大阪公演が約1カ月後という、少し期間が空いての公演となりますね。同作は物語においても、シビアな作品なので、気持ちの保ち方としてもずっとロングランで公演を打っていくのとはまた違った大変さがあると思います。

そうですね、大阪に入る前に思い出し稽古というのをしてから入りますが、『エリザベート』からここまでずっと走り続けてきたので、1回オフにしました。作品のことはずっと頭のどこかにあるけど、休まないと体が持たない(笑)。だいたいいつも休もうと思っても「声がでなくなってしまうんじゃないか?」と不安になってしまい、歌ってしまうのですが、今回は「絶対歌わない」と決めましたね。

──それって愛希さんにとっては、かなり珍しいことなのでは?

そうですね、今回は特にエネルギーがいる役でしたし、劇中に出てくるラジウムの説明で「おそらく自らの身体を爆発させて、大きな力を出す」というようなセリフがあるのですが、「自分が爆発してしまうんじゃないか」みたいな感覚に陥ってしまうので、一旦リセットしようという気持ちですね(笑)

ミュージカル『マリー・キュリー』の舞台写真(東京公演より)

──これまで演じられてきた役のなかでも結構ヘビーな役どころだったのではないでしょうか。

もちろん『エリザベート』や『マタ・ハリ』もストーリーのなかで追い打ちをかけるようにどんどんのしかかってくるのですが、今回は自分が演じてきたなかでもいろんな意味でヘビーですね。とにかく天才なので、天才の頭脳は理解しようとしても理解しきれないので、役作りには苦労しました。

退団した当初のことは、「ずっと一緒にやってきた仲間の存在が大きかったこと、そこに甘えていたことに気付かされましたね」と話す愛希

──でも演出家の鈴木裕美さんは、役どころとの共通点として「ストイックで猪突猛進なところが似ている」と仰っていました。

頭脳に関してはまったく違うのですが(笑)。ひとつのものに対して情熱を注ぐことは共感できますし、「これは自分の好奇心で始めたこと・・・」と、ノーベル賞を受賞した後に言うセリフがあるんです。

自分自身もずっと宝塚のファンで、舞台に立ちたいという好奇心で始めたことだったので、こうしてチケット代を払っていただいて、見に来ていただける。このセリフをいうときは自分自身との共通部分が実感としてありますし、ほかにも自分にズンと響くセリフが多いですね。

ミュージカル『マリー・キュリー』

会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪府大阪市北区茶屋町19-1)
期間:4/20(木)~4/23(日)
料金:指定席1万2500円、U-22チケット5500円

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