デザインorアートを見極めろ! 大阪中之島美術館で参加型展示

2023.4.16 07:30

(左より)佐藤加士和・CDアルバム『S map / SMAP 014』作家蔵、奈良美智『どんまいQちゃん』和歌山県立近代美術館蔵、ヤノべケンジ『アトムカー(黒)』国立国際美術館蔵

(写真8枚)

「これはデザイン? それともアート?」と来館者が投票できる、参加型展覧会『デザインに恋したアート▽アートに嫉妬したデザイン』が、4月15日から「大阪中之島美術館」(大阪市北区)でスタートした。

構想から40年を経て、2022年2月に開館した同美術館。開館1周年記念展となる今回は、コレクションの二本柱である「デザイン」と「アート」の境界線に迫り、約70名の作家らによる1950~2010年代までの作品やインテリアなど、約110点が勢ぞろいする。

展示室では敢えて多ジャンルの作品を並列させているのもポイント。例えば草間彌生の油彩画と同空間に、昭和レトロな電気釜があったり、奈良美智が子どもの姿を立体的に表現した木製作品のすぐ横には、SMAPのデビュー10周年記念CDアルバム(2000年)のポスターが展示されるなど、各時代の名品を見くらべる新たな楽しみ方ができる。

そして、各作品付近に「アート」「デザイン」を判定するデバイスが設置されているのが最大の特徴だ。来館者は作品を鑑賞し、中央にあるボタンをどちらに近いのか、好みの場所までスライドして投票。入口で配布される紙の作品リストには、パーセンテージの控えを書き込める欄があり、展示最後には来館者全体の投票結果が表示されるスクリーンも用意されている。

来館者は作品を鑑賞し、中央にあるボタンをどちらに近いのか、好みの場所まで自由にスライドして投票

そもそも「アート」「デザイン」の基準自体に明確な答えはない印象だが、それこそが同展の狙い。担当学芸員の植木啓子さんは「普段のように学芸員の専門知識をお伝えするのではなく、今回は逆の立場になる企画。お客さまが解説のない作品と対話し、どう考えるのかを我々に教えてもらい、美術館が成長するきっかけになれば」と初の試みに期待を寄せる。

同展の図録(2980円)にも工夫が見られ、リングファイルに作品が閉じられた仕様は学生の勉強セットをイメージ。自身で「デザイン」「アート」を考えながら並び替えたり、取り出して飾ることも。開催期間は6月18日まで、料金は一般1600円ほか。

※▽部分は絵文字のハート

取材・文・写真/塩屋薫

『デザインに恋したアート▽アートに嫉妬したデザイン』

期間:2023年4月15日〜6月18日
※月曜(5/1を除く)休館
時間:10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)
会場:大阪中之島美術館 4階展示室(大阪市北区中之島4-3-1)
観覧料:一般1600円、高大生1000円、中学生以下無料

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