少年隊・錦織一清「自分のことをアイドルと考えたことがない」

2023.4.21 07:00

舞台俳優や演出家として活躍する、少年隊・錦織一清

(写真7枚)

■ 「自分のことを誰も知らない場所で勝負したい」

──自叙伝『少年タイムカプセル』(2023年)には、そうやって「舞台演出家」と名乗れるようになり、舞台に軸足を置くことができてもなお、いろんな場所へ行くとアウェーを感じると書いていらっしゃいました。それはなぜですか。

アウェーという環境を好むんです。なぜならそこで自分の真価が問われるし、絶対的な挑戦者でもいられるから。そういうところで「あいつ、おもしろいじゃないか」と言われたら本物じゃないですか。

──でも実際のところ、多くの場所で顔割れしているんじゃないですか。

それでも、たとえばかつての「スパンコールのゴムを頭に巻いている人」という認識のままであっても、舞台を観て「こいつ、その印象じゃないな」と思われたら勝ちというか。現在の自分の姿こそが、もともと持っている本質に近いですし、それに気づいてもらえるようにもなってきた。下町で暮らしていた、タレントになる前の自分に近いです。

現在57歳、歳や経験を重ねることで「変化」もあったという

──良い意味で原点に戻っているわけですね。

自分のことを誰も知らない場所で勝負したい、という意味でもアウェーを好んでいるのかもしれません。あと、どれだけのことを成し遂げても満足はしないと思います。達成感を得ると、そのまま仕事を辞めてしまう気がします。前までは「もうここら辺で辞めても良いかな」と考えることもありましたから。それに40歳を過ぎたあたりから、いろいろずっと考えることがあって。

──どんなことですか。

それまで好き勝手やらせてもらって、楽しく歌ったり、踊ったりしていた。でも「これって社会貢献になっているのか」と。この仕事は極端な話、なくったって生きていけます。衣食住とは違うものなので。

ただ一昨年のコロナ禍、ワハハ本舗の公演で久本さんたちがもがきながらも頑張ってお客さんを笑わせているところを観て、「なにがどうあれ、自分がやらなきゃいけないことってこれなんだ。職業はもう変えられないし、だったらやっていくしかない。いや、やっても良いんだ」と長年の迷いがようやく吹っ切れたんです。だからこれからも、ずっと仕事を続けるために満足感を得ることなく舞台に取り組んでいきたいです。

久本雅美は、錦織を「演出家と演者という両方の立場で、俯瞰で舞台を見られるのはすごいこと」と称賛する


錦織が演出をつとめる舞台『垣根の魔女』には、久本雅美、室龍太、渋谷天笑、大和悠河、ラサール石井らが出演。「大阪松竹座」(大阪市中央区)にて、4月21日〜30日に上演。チケットは一等席1万2000円ほか。現在発売中。

舞台『垣根の魔女』

会場:大阪松竹座(大阪府大阪市中央区道頓堀1-9-19)
期間:4月21日(金)〜30日(金)
料金:一等席1万2000円、二等席7000円、三等席4000円

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