「音楽の喜びに浸れる空間」「多幸感に涙が出る」と多くの観客を魅了する、マルチ奏者／作曲家・小西遼のソロプロジェクト「象眠舎（ぞうみんしゃ）」。大所帯のオーケストラとゲストボーカルとともに奏でられる独創的な音世界は、刺激的な昨今の音楽シーンにおいてもひときわ異質の存在感を放っている。そんな「象眠舎」がついに、「ビルボードライブ大阪」（大阪市北区）に登場する。

■ ｍｉｌｌｅｎｉｕｍ ｐａｒａｄｅにも参加、小西遼って？

数多くの名ジャズ・プレイヤーを輩出してきた名門バークリー音楽院を首席で卒業し、サックス、シンセ、ヴォコーダーなどを駆使する小西。現代ジャズなども通過したポップ・ミュージックを圧倒的な演奏力で奏でるＣＲＣＫ／ＬＣＫＳ（クラック・ラックス）のリーダーとして広く知られている。

その一方で、Ｋｉｎｇ Ｇｎｕの常田大希が手がける音楽プロジェクト・ｍｉｌｌｅｎｉｕｍ ｐａｒａｄｅへの参加やＣｈａｒａ、ｃｅｒｏなどのライブサポート、さらには２０２２年の「東京パラリンピック」での作編曲や、数多くの演劇や映像作品への楽曲提供に至るまで（南沙良＆鈴鹿央士主演の注目作、Ｎｅｔｆｌｉｘ『君に届け』の音楽も担当！）、実に幅広いフィールドでジャンルレスな活躍をみせてきた彼だが、それらと並行して自身のソロ・プロジェクトとして継続してきたのが「象眠舎」だ。

■ 個性豊かなボーカリストを迎え、進化し続けるライブ

「象眠舎」はもともと、小西がバークリー在学中に立ち上げたプロジェクトで、音楽だけでなく演劇や文学の要素もミックスした、よりトータルな表現を模索するところから始まった。グループ名の由来に、彼が高校生の頃にジャズと同時に魅かれていた、野田秀樹主宰の劇団「夢の遊眠社」や村上春樹の小説タイトルを踏まえてみれば、少しなるほどと思えてくる。

ただ、帰国後の「象眠舎」でのライブは、即興と朗読を中心としたアンダーグラウンドなノリが強いものだったようだが、ＣＲＣＫ／ＬＣＫＳの始動やポップス・シーンで活躍するミュージシャンたちとのコラボを経験するなかで考え方を変え、よりポップス的なメロディーを持った楽曲をフィーチャーした方向性へとシフト。

そこから、中村佳穂、Ｓａｒａｈ Ｆｕｒｕｋａｗａ、ＴＥＮＤＲＥ、モノンクルの吉田沙良、ＳＩＲＵＰといった親交のあるボーカリストたちを迎えて制作したシングル曲を立て続けにリリースするようになり、メロディメイカー、大所帯のバンド・アンサンブルを駆使したアレンジャーとしての小西の才を、新たな角度から表現するプロジェクトへと進化していった。

■ この日しか観ることができない、スペシャルな布陣

２０２２年には「東京キネマ倶楽部」、大阪では「味園ユニバース」で公演をおこなった「象眠舎」だが、今回は初となる「ビルボードライブ」での公演ということで、また新たなアプローチによるステージとなるのは間違いのないところ。

弦楽器やホーン・セクションを含む総勢１１名のアンサンブルに、ボーカルとしてＴＥＮＤＲＥ、ＡＡＡＭＹＹＹ、Ｅｍａ、Ｓａｒａｈ Ｆｕｒｕｋａｗａ、るーかといった個性派たちが贅沢に顔を揃えて展開するオーケストラルな音世界は、現代ジャズ、チェンバー・ポップ、ロック、エレクトリック・ミュージックなどのさまざまな要素をブレンドし、そこに演劇や文学的な要素も盛り込んだハイブリッドさで聴く者を圧倒するものとなるだろう。

また、事前のアナウンスによれば今回のステージはすべて新曲（新アレンジ）でおこなわれ、これまでに「象眠舎」に参加したことがない未発表のゲスト・アーティストも登場する（２８日更新／１ｓｔステージに塩塚モエカ（羊文学）、２ｎｄステージには藤原さくらのゲスト出演が新たに決定！）とのことで、その全貌は実際に会場に足を運んでみなければ把握することができない。

料金はサービスエリア９０００円、カジュアルエリア８５００円と、これまでの象眠舎の公演と比べるとやや高めとなるが、「ビルボードライブ」が誇る極上の音環境で繰り広げられる貴重なセットは、その価値が十分ある。

ＣＲＣＫ／ＬＣＫＳとしても４年ぶりとなった新作ＥＰ『総総』が４月５日にリリースされたばかりというタイミングで、精力的な活動を続ける小西遼のトータルな才が反映／凝縮されたソロ・プロジェクトである「象眠舎」の貴重な公演を、この機会に是非ともお見逃しなく。

公演は５月１９日、夕方６時開演／夜９時開演の２ステージ。料金はサービスエリア９０００円、カジュアルエリア８５００円。ほか、５月２６日に「ビルボードライブ横浜」でも開催される。

※本公演は映像収録が入る可能性がございます。お客様が映像に映りこむ場合もございますが予めご了承ください

※予定していた吉田沙良 ｆｒｏｍ モノンクルは体調不良のため出演キャンセル

文／吉本秀純
提供／阪神コンテンツリンク