「ダウンタウンの発掘はたまたま」よしもと大崎会長の人間力

2023.4.26 07:30

吉本興業ホールディングスの大崎洋会長

(写真8枚)

■常にアンテナを張り、人をつなぐ「動のひと」

──著書のなかに「動のひとである」という野中先生の言葉があります。

落ち着きがないってことやけどね(笑)。

──先日のトークイベント(『2025大阪・関西万博』に向けて月1回おこなわれている『WARAI NI NEGAI WOO』)の際も、その場でひらめいたプロジェクトを、ゲストや観覧に来ていた若者たちに「誰が回す?」と指示されていたのを見て、確かに動の人だなと感じました。

なんか、直感だけでずっとやってきた気がするし、単なるトークイベントでも「今回面白かったね」で終わらすより、せっかく集まって話してんねんから、やれることはその場で決めて動かんともったいない。

──そんなにいろんなアイデアを瞬時に結びつけようと思いつかれるのは、常にアンテナを張ってる状態ですか。

そうそう。それはね、自分に何もないってよくわかってるんで。誰かを紹介してつないで、あとは半歩から1歩だけ、スタートまではやっとかないかんなというのがありますね。

トークイベントでは多彩なゲストを前に素朴な疑問や鋭いツッコミを投げかける大崎洋会長
トークイベントでは多彩なゲストを前に素朴な疑問や鋭いツッコミを投げかける大崎洋会長

それは、次男坊が小学生のときにマンションに友だち4〜5人連れてきてて、「お父ちゃん、この子はこんなんが得意なんや。この子はこんなんが好きで〜」ってえらい紹介してくれて。「はは〜、こいつもマネージャータイプやな」って。そうか、じゃぁ僕もそういうタイプなんやと、25年くらい前に子どもに気づかされた。

──そんな何もしてなかった時代から、今、成長したという言い方は失礼ですが・・・。

成長したんですよ、それは。やっぱり紳助・竜介くんや、のりお・よしおさんとか芸人の人たちの毎日のボルテージがすごく高かったんですよ。今日は何して、明日は草野球して、どこで食べて、先輩におごってもらって・・・、ぼーっとしてたのにこんなに世のなかにボルテージ高く毎日を生活している人らがいるんや、とすごく驚きで。そういうのを見て、ドキドキするような、目からうろこですよね。

──著書でご紹介されてるようなダウンタウンのお2人の間に入ってうまく取り持ってる様子などは、若手をはじめ現役の社会人だれもが参考になるような話が詰まってるなと思いました。本を出すに当たって、どういう人たちに向けてという思いはあったのですか?

ダウンタウンとの出会いは、「べつに僕が発掘したわけでもない。たまたま」と話した大崎会長
ダウンタウンとの出会いは、「べつに僕が発掘したわけでもない。たまたま」と話した大崎会長

子どもとか大人とか年寄りも、ひとりぼっちでいてる、さみしくて落ち込んでいる人。そういう人に、それぞれのペースで、それぞれのものさし、感じ方で、そんなに落ち込んだり悩んだりせずに、毎日ちっちゃなことでもええから幸せを見つけて、過ごしてくれたらなって。

今日も銭湯行こうかとか、コロッケ買って帰ろうとか、どうでもいいことを幸せの目標にすると僕はそれで楽しいから、そんなんでええんちゃうん、っていうのを言いたかっただけなんですけどね。

──確かに、「成功より笑った数が多い方が幸せ」っていう言葉、私にもすごく刺さりました。

成功って人と比べるわけだから、本来幸せって人と比べて俺の方が早く出世したから俺の方が幸せやとか、給料多いから幸せやとか、勝った負けたじゃない。もちろんそういうのも大事なものさしやけど、その前提はそれぞれが見つけた幸せ。自分のなかの価値判断で、今日もええ1日やったなとか、明日からはがんばろうとかが大事。平凡が一番幸せやな、と思いますね。


イベント『WARAI NI NEGAI WOO』に登壇した大崎洋会長や、著書の編集を担当したサンマーク出版の黒川精一社長(右から2番目)ら
イベント『WARAI NI NEGAI WOO』に登壇した大崎洋会長や、著書の編集を担当したサンマーク出版の黒川精一社長(右から2番目)ら

大崎氏が、自分や大切な人たちの「居場所」をつくるために心がけてきた12の「しないこと」を記した著書『居場所。〜ひとりぼっちの自分を好きになる12の「しないこと」』(サンマーク出版刊)は1650円。また、トークイベント『WARAI NI NEGAI WOO』は、「BSよしもと」にて放送・配信中。

※崎は立つさきが正式表記。

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