GWにチェック! 2022年の「ベスト日本映画」選出!

2023.4.30 11:00

映画評論家の春岡勇二氏、ミルクマン斉藤氏、華崎陽子氏(左より)

(写真10枚)

「新人賞が嵐莉菜、圧倒的だったもん」(春岡)

春岡:あと、あれも良かったんだよ、廣木隆一監督の『夕方のおともだち』。※廣木隆一監督のインタビューは「こちら」

斉藤:僕は廣木作品が苦手だから。そう言いながら全部観てるけど。

春岡:あの変態性がいいのよ(笑)。烏丸せつ子が演じる、ある種のポイントになっているお母さんがますます良いじゃん。

斉藤:烏丸せつ子はたしかに良かった。

春岡:あとは『マイスモールランド』の嵐莉菜かな。※川和田恵真監督&嵐莉菜のインタビューは「こちら」

斉藤:あ~、あの子可愛いよなぁ! すごいよなぁ!

華崎:「国家を持たない世界最大の民族」と呼ばれるクルド人一家が、あるきっかけで在留資格を失い、当たり前の生活が奪われてしまうわけですが、17歳の女子高生を熱演してましたね。

春岡:日本中の映画祭の新人賞が嵐莉菜。そりゃ、そうだろう。圧倒的だったもん。

斉藤:僕もベスト10に入れてもいいと思う。『マイスモールランド』はすごく良かった。

春岡:新人女優、今年は嵐莉菜しかなかったよ。

映画『マイスモールランド』主演の嵐莉菜(左)と川和田恵真監督 写真/木村正史

華崎:荻上直子監督の『川っぺりムコリッタ』はどうでしたか?

斉藤:今までの荻上作品で一番良いんじゃないかな。

春岡:俺もそう思う。

華崎:作品としてはこぢんまりしてるんですけど、ちゃんとテーマもあって、やっと普遍的になったなって。

斉藤:『川っぺりムコリッタ』はキャストみんな良かったのよ。ムロくんもすごく良かった。

春岡:荻上監督って、演出しないことが良いんだよ。あれは変な映画だよ、そういう意味で。

斉藤:荻上さんって実は結構クセのある作家でさ、『トイレット』(2010年)とかもあるけど。

華崎:『トイレット』、メッチャ好きでした。

春岡:ヒットした『かもめ食堂』(2006年)のあと、自分がやりたいことをやったらああなったんだよね。

斉藤:『かもめ食堂』のあと、類似作品がメチャクチャ多くなったよなぁ。あれが困ったものでね。『かもめ食堂』の類似作品が多くなったから過小評価されてると思う。

春岡:そうなんだよ、変な具合に出来た傑作でさ。本当はああいう映画を好きって言いたくないけど、好きなんだよな(笑)。小林聡美も片桐はいりも大好きだから。

斉藤:いや、僕は『かもめ食堂』はメチャメチャ好きよ。僕が『川っぺりムコリッタ』で注目したのは美術。あの河原のゴミは、まさに「ブリコラージュ」ですよ。今年のベスト10にはどのメディアも入れてるんじゃない? あと、なにかな・・・あ、タナダユキ監督の『マイ・ブロークン・マリコ』は?

春岡:そうなんだよ、あれは良いよ。奈緒も良かったけど、やっぱり窪田正孝だよ。主演の永野芽郁に吉田羊、そして、尾美としのりが悪い親父という。

華崎:尾美さんのキャスティングは絶対タナダさんの趣味でしょ。

斉藤:昔から「傷口に塩を塗るような映画」ばかり撮るって僕は言ってたんだけど、久しぶりにあのタナダユキが帰ってきたって感じがしたね。※タナダユキ監督のインタビューは「こちら」

華崎:そんな感じしました。『赤い文化住宅の初子』(2007年)の匂いしませんでした?

斉藤:そうそう。最近は、普通にいい映画を撮ってたけど、僕の好きなタナダ監督が帰ってきたみたいな。

春岡:やっぱり面白いよね。永野芽郁が骨持って飛び降りるのなんか、身体が美しいもん。

斉藤:いや、素晴らしい女優ですよ。僕は大好き。スコーンと抜けてるのに演技は下手じゃない。

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