岡田信長ドSプレイの畳み掛けに、SNSでは困惑と喝采が【どうする家康】

2023.4.25 19:00

『どうする家康』第15回より、家康LOVEが過ぎる信長(岡田准一) (C)NHK

(写真3枚)

古沢良太脚本・松本潤主演で、江戸幕府初代将軍・徳川家康の、厳しい選択だらけの人生を描きだす大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。4月23日放送の第15回『姉川でどうする!』は、家康が織田信長を裏切るのか? という、非常に大きな「どうする」と、信長の熱烈すぎる愛情表現にハラハラする回となった(以下、ネタバレあり)。

■どうする家康、信長を裏切る?

浅井長政(大貫勇輔)の裏切りによる危機的状況をなんだかんだで切り抜けるも、すぐさま織田信長(岡田准一)の浅井・朝倉討伐に加わるよう命じられた家康。近江の姉川をはさんでの戦いが予測されるなか、信長に一番槍を命じられたうえ、支配下に置いたばかりの遠江の差配にも口を出され、信長への不満を次第に募らせていた。

そこに長政から、「義のない信長の世にしてはならぬ。共に討ち取らん」という密書が届き、家康は長政の誠実な人柄も見込んで、信長を裏切ろうとする。家臣たちもその決意を支持するなか、重鎮の酒井忠次(大森南朋)は、「義なんてものはきれいごと! これは我らと織田勢を引き裂かんとする浅井の策略! 乗ってはいけませぬ!」と制止する。

信長側から、攻撃をうながす鉄砲が撃ち込まれるなか、石川数正(松重豊)も忠次に同調。そして信長を討てば、桶狭間の戦い直後の混迷状態に逆戻りすると予言し「あのぐっちゃぐっちゃを、もう一度やりますか? 生き延びられるとお思いでござるか?」と家康に詰め寄る。家康は長政の手紙を破り捨て「敵は浅井・朝倉!」と、涙ながらに告げるのだった・・・。

■「海老すくい」酒井忠次の判断力と貫禄

徹底的に不利な状況からの退き戦! 本当にどうする家康! という終わりを迎えた前回の金ヶ崎の戦が「なんやかんやありましたが、無事乗り切ったのでありました」という、冒頭のナレーション(寺嶋しのぶ)であっさり決着した第15回。SNSは予想通り「超高速金ヶ崎」「なんやかんやが気になるんだが!」「知りたい人は自分で深掘りしろスタイル」というツッコミが押し寄せた。

とはいえ、続く姉川の戦いは、浅井・朝倉との戦の大義となっている将軍・足利義昭(古田新太)と彼を担ぐ信長への不信感、プラス、一目会っただけでも好感度が抜群だった長政への信頼から、家康が信長を裏切ろうとする、これまであまり見たことがないけれどあってもおかしくはない絶妙なフィクションを描いてきた。

しかしその迷いをバシッと断ち切り、史実通り織田方の一番槍を務めることができたのは、家臣団の兄貴分・酒井忠次の功績。ここまでは、ほぼ「海老すくい」の踊りでしか出番がなかったが、さすがのちの徳川四天王。ひょうきんさの裏にあった、冷徹なほどの判断力と貫禄をここぞとばかりに発揮し、見事に「正解」の方のルートに引き戻してくれた。

酒井忠次(大森南朋)と話す家康(松本潤)(C)NHK
『どうする家康』第10回より、酒井忠次(大森南朋)と話す家康(松本潤)(C)NHK

SNSでも「えびすくってるような人とは思えないかっこよさ」「大事なときに大事なことを問うてくれる忠次好き」「徳川家臣団にいてくれてありがとう」「ここまでえびすくいしかしてないことが気になってたんだけど、やっと大森南朋を起用した意味が出た」などの賛辞の言葉が相次いだ。

■おもわず変な声が出た、信長の耳カプ

しかしそんな家臣団の胸熱なドラマを、とんでもない勢いで上書きをしたのは、今回も家康LOVEが過ぎた信長だ。浅井との戦いに協力するよう求める際に、一瞬耳を甘噛したときは「あれ、幻かな?」と思ったけど、姉川の戦い終了後、完全に耳にガブリと噛みつくに至っては、もういろんな感情で変な声がマジで出た筆者だった。

SNSでも「信長のドSプレイを披露する今期の大河ドラマ(少し困惑)」「白兎、と囁きながら耳噛み、けしからん」「好きすぎて、頭おかしい人みたいな(笑)」「『史上最高に気持ち悪い岡田准一』が一話の内に再度更新されるとか誰も予想できねーよw」など、笑い混じりの戸惑いコメントが続々と。

織田信長(岡田准一) からある言葉を告げられる徳川家康(松本潤)
織田信長(岡田准一) からある言葉を告げられる徳川家康(松本潤)(C)NHK

ただ、もしここで家康が判断ミスをしていたら、耳を噛まれる程度の暴力では済まなかったはず。そして万が一長政と組んで信長を討てたとしても、空白になった織田の領地をめぐって、織田側の生き残りや、野望の塊のような武田信玄(阿部寛)との戦いに巻き込まれるのは不可避であると、忠次や数正ならずともちょっと想像すればわかることだった。

とはいえ今回は負けた長政も、信長の妹・市(北川景子)が自分の側に残ったことに奮起したのか、ここから多くの勢力を「反信長」に巻き込むことに成功し、予想外の長期戦を繰り広げる。前回の初登場で「すぐに退場してほしくない」という声が殺到した大貫勇輔の長政、もうしばらくは家康をめぐる信長の恋敵として? 登場してくれることを願おう。

『どうする家康』は、NHK総合で日曜・夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夕方6時からスタート。4月30日の第16回『信玄を怒らせるな』では、武田信玄(阿部寛)との対立ムードが深まっていくなか、家康が服部半蔵(山田孝之)を使って、信玄のもとに人質として送られた義弟・源三郎(長尾謙杜)を救い出そうとする様が描かれる。

文/吉永美和子

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