勢いに乗るKroi「潜在的なニーズを突いていけるバンドに」
■ 3年ぶりの宅録で、発見もあった新EP
──全6曲ということもあって、全体的にアッパーで1曲1曲の濃縮度も高い感じがしました。
長谷部:やっぱり、アルバムだと10数曲で1つのストーリーを作れるんですけど、EPだとそれは難しいところがあって。6曲のなかでどれくらいの曲の幅や深みを入れた曲を出すのかが難しいんですけど、今回はそれがすごく上手にできたなと思います。
内田:うん。
長谷部:最初は8曲くらいあって、EPを2枚出そうと思ってたくらいだったんですけど、スケジュールの都合もあって6曲で一番イイものを出そうという形に落ち着きました。だから、どういう曲を入れたいかという話し合いをみんなですごくしたし、Kroiにしては初めて、どの曲を入れるのかで意見が分かれたりもしましたね。
──特に前半の4曲はライブでも盛り上がりそうなグルーヴィーな曲が並びますが、かなりハードな展開をみせる曲もあったりして起伏に富んでいます。
内田:2曲目の『Astral Sonar』って曲とかは、みんなが狙って神秘的でダークなサウンド感を作ってくれたりしましたね。
長谷部:レコーディング・スタジオで気張って録ると音のスケール感がデカくなり過ぎちゃうんですけど、この曲は久々に全部宅録にしたんですよ。それもあってダークなテンションの曲が出来ましたね。もともとインディーズの頃は宅録でレコーディングすることが多かったんですけど、メジャーに入って3年ぶりくらいに宅録でやってみて、全然違うなってことが再発見できた曲でした。
内田:やっぱり、不完全な環境で録る音ってめちゃめちゃ良くて。もちろんスタジオで録る音もいいんですけど、家でパソコンに繋げて録る音ってすごく細くて弱っちいんですけど、それで元気な曲をやると、曲が持つ2面性みたいなものが突然現れるんですよ。曲調は明るいのに、か細くてもの哀しいというか。明るいときもあれば暗いときもある人間みたいな生きもの感がすごい出るんです。そういうローファイ感は改めて素敵だなと思いましたね。
──なるほど。確かに『Astral Sonar』やそれに続く3曲目の『Cosmic Pillow』あたりは、曲名も相まってKroi独特のスぺイシーな魅力が強く出ている気がしました。
内田:うん。最初は裏テーマとして、SF的な世界観をテーマにしたEPにしようかなとも思っていたんです。でも、最終的にはそんなでもなくなったので、もうあまり言うのはやめちゃったんですけども(笑)。それの名残りですね。
──そう言われると、ジャケットからもSF映画的なテイストは感じられますね。
内田:なんか昔から、Kroiはサウンドにスぺイシーさがあるよねとは言われていたんですけど。こっちから宇宙感を出したことはなかったので、そこは今回やってみようかなというのはありました。
長谷部:3曲目は、それこそ意図的にスぺイシーな音にしていきましたね。
──その一方で、ラストの6曲目に収められた『風来』は、Kroiのメロウ・サイドを象徴するような70年代ソウル風のナンバーです。
長谷部:この曲はネオ・ヴィンテージというか、1970年代のニュー・ソウルにインスパイアされた楽曲を作ろうと前々から話していて、それを目指した曲ですね。
内田:このタイミングで自分たちの根っこをもう一度見せておきたいというのがあったので、『風来』はそれがわかりやすく出来て良かったです。
──結果として、Kroiの多様な魅力が6曲にコンパクトに凝縮されたEPに仕上がったのかなと。
内田:そうですね。バランスがいい、とみんな言ってますね。我々は結構ホントにいろんなジャンルをごちゃごちゃに詰め込んだアルバムやEPを出してきたので、なんか出来上がった時にバランス悪いな・・・と思うことも時々あったんですけど、コレは6曲で自分たちの持っている音楽的なエッセンスをいろんな角度でみせることができたんじゃないかなと。
長谷部:一見バランスを取りにくそうな曲たちでバランスが取れているのが、不思議な感じですね。
内田:このバランスがいい感じは、ミックスをキーボードの千葉さんがやってくれていることも影響しているかなと。1曲1曲の質感に応えながらも、全体的に今の雰囲気でしっかりとミックスしてくれている感じがあるので、バランスのいいまとまった作品になった気がします。
──長谷部さんのブルージーなギターをフィーチャーした5曲目も異色ですもんね。
長谷部:いつもジャム・セッションで作った曲を収録しているんですけど、今回は今までにやっていなかったスロー・ブルースをやろうということで。実は『風来』の制作で初めてヴィンテージのギターを買ったんですけど、それを使ってブルースを弾いたのがこの曲ですね。
Kroi Live Tour 2023『Magnetic』
日時:2023年5月12日(金)・19:00〜
会場:Zepp Namba(OSAKA)(大阪市浪速区敷津東2-1-39)
料金:1F立見4800円、2F指定席4800円 ※ドリンク代別
日時:2023年6月2日(金)・18:30〜
会場:オリックス劇場(大阪市西区新町1-14-15)
料金:指定席5800円
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