情熱大陸に京都の染織家・吉岡更紗、美しき植物染めの世界
江戸後期から200年続く、京都の染織工房「染司よしおか(そめのつかさよしおか)」の6代目、吉岡更紗。伝統を受け継ぎ、古の色を今に伝える彼女に、4月30日の『情熱大陸』(MBS)が迫る。
化学染料を使わず、天然の染料のみを扱うことを旨とする同工房。ムラサキの根、アカネの根、ベニバナの花びら、カリヤスの葉と茎、ドングリの実・・・自然界の植物から得られる色素を地下から汲み上げた水に溶かし、そのなかでまっさらな生地をひたすらに繰ると、やがて静かに色づいてゆく。
番組が取材を始めた12月、焼き芋売りが町内を周り、近所の小学生が道草している姿を見かけることもしばしば。かつては豆腐売りや魚の行商人も来ていたという。昼食は更紗さんの母・美津子さんによる賄いご飯。職人たちがテーブルを囲み、山盛りのおかずとご飯をいただくさまは、ドラマの一場面のようだった。
年明け、「よしおか」の工房では1年がかりで準備してきた大仕事が始まる。天平勝宝4年(752)から一度も途絶えることなく続き、今年1272回目となる東大寺の修二会(お水取り)、そこに納める和紙の紅花染めだ。祖父の代から3代に渡って受け継ぐ仕事は、更紗さんが染織の世界を志すきっかけになったものであり、「1年のなかで特別に身が引き締まる仕事」だという。
三重県伊賀市の農家に育ててもらい、夏の間に摘んでおいた紅花の花びらと中国産のものを合わせて60キロ。純度の高い赤の色素を丹念に抽出し、60枚の和紙を繰り返し染め重ねてゆく工程は、恐ろしく手間のかかるものだった。
納めた和紙は、練行衆と呼ばれる僧侶たちの手によって東大寺二月堂の堂内を飾る椿の造花となる。厳かな法会の一端を担う仕事に、失敗は許されない。そんなひと冬の仕事に密着した様子は、4月30日・夜11時15分から放送される。
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