GWにチェック! 2022年の「ベスト洋画」を評論家が選出

2023.5.6 21:30

映画評論家の春岡勇二氏、ミルクマン斉藤氏、華崎陽子氏(左より)

(写真4枚)

「独身女性の描き方を変えた2本だと思う」(華崎)

華崎:観ましたよ。イ・スンウォン監督の『三姉妹』、イ・オクソプの初監督作『なまず』もめちゃくちゃ面白かった。

斉藤:そやろ? 『なまず』が『大阪アジアン映画祭2019』でグランプリ獲ったときは、ちょうど授賞式のときに映画祭決算のトークショーやっててんけど、みんな歓喜の声を上げてさ。

華崎:両作品とも、ムン・ソリが出てますよね。

斉藤:たしか『三姉妹』はプロデュースにもムン・ソリ入ってたから。強烈に面白いよね、両方とも。

春岡:そうなんだぁ。

斉藤:『なまず』なんか完全にインディペンデント、まだ20代のカップルが作った映画やから。

華崎:イ・オクソプ監督と、彼氏役でも出演してた、プロデューサーのク・ギョファンですよね。

斉藤:彼氏なんだよね。韓国のインディペンデント映画がメチャクチャ面白いのよ。それは『大阪アジアン映画祭』に行ったら否が応でも分かる。

華崎:2022年もホン・ソンウン監督の韓国映画『おひとりさま族』がグランプリでしたしね。

斉藤:そういや、ライナル・サルネット監督の『ノベンバー』観た?

華崎:観ました。オープニングからすごいものを観てる感じがして。

斉藤:エストニアのダークラブストーリー映画で、これもモノクロやねんけど。京都の『ヒストリカ国際映画祭』で観て、大衝撃を受けて。

映画『ノベンバー』予告編

春岡:(公式サイトを見て)猟奇かオカルトだな。これは抜群の画だなぁ。

斉藤:美しいでしょ? アニミズム映画(霊的存在への信仰)なんですよ。泣けるのよ、これが。ファーストショットから狂ってる。でも泣けるのよ、これが。間違いなくカルト映画になります。

春岡:これはぜひ観ないと。じゃあ、そろそろトップ3いっとく?

斉藤:僕は『ノベンバー』、『リコリス・ピザ』、そして『ノープ』がトップ3。『ベルファスト』はおふたりが入れるでしょ?

華崎:私、入れます(笑)。

斉藤:『ベルファスト』はもっと評価されても良いよなぁ。

華崎:もっと評価されるべきだと思います、ほんまに。私は1位が『ベルファスト』。それと、『林檎とポラロイド』。あ、ケリー・オサリヴァン脚本・主演の『セイント・フランシス』も入れたいな。

斉藤:急に出てきたね、『セイント・フランシス』。

映画『セイント・フランシス』予告編

華崎:ヨアキム・トリアー監督の『わたしは最悪。』もそうなんですけど、独身女性の描き方を変えた2本だと思うんです。女性の妊娠や子育て、成功している友だちのSNSを見て傷つくとか、それを自虐的ではなく極めてナチュラルに描いているのが良くて。

斉藤:僕、ちょうど入院してたときで見逃してしまって。

華崎:絶対観てください。『わたしは最悪。』はめちゃくちゃオシャレですし。けど、トップ3は『ベルファスト』、『林檎とポラロイド』、『セイント・フランシス』にします。

春岡:じゃあ俺は、アヌシーで3冠獲ったアニメーション映画『FLEE フリー』にしようかな。

華崎:『FLEE フリー』!

映画『FLEE フリー』予告編

春岡:父親がアフガニスタン当局に連行され、母国を脱出したゲイの主人公が、やがて家族とバラバラになって。過酷すぎる半生を親友の前で告白するドキュメンタリーなんだけど、なんせ顔が出せないから、なるほど、アニメーションでやったんだなと。

華崎:めちゃくちゃ良かったです。

春岡:だから俺は、『カモン カモン』、『ナイトメア・アリー』、『FLEE フリー』がトップ3だね。

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