千代と瀬名の行動にSNS悲鳴、岡崎を揺るがす武田の魔の手【どうする家康】
古沢良太脚本・松本潤主演で、江戸幕府初代将軍・徳川家康の、厳しい選択だらけの人生を描きだす大河ドラマ『どうする家康』(NHK)。5月28日の第20回『岡崎クーデター』では、三河攻略を狙う武田勝頼の仕掛けた罠によって、岡崎城が危機一髪になる様が描かれた(以下、ネタバレあり)。
■ どうする家康、瀬名が千代とつながった
病に倒れ浜松から動けなくなった家康に代わり、岡崎城を守る息子・松平信康(細田佳央太)を助けるため、瀬名(有村架純)は先頭に立って負傷兵たちの手当をしていた。そんななか、ひそかに武田に通じていた家臣・大岡弥四郎(毎熊克哉)は、信康と瀬名を殺害し岡崎城を乗っ取る策を実行しようとする。
しかしその一味に加わっていた山田八蔵(米本学仁)は、自分の手当をしてくれた瀬名のやさしさに触れたことで、弥四郎の計画を密告。夜襲をかけた弥四郎たちは、石川数正(松重豊)らに捕縛された。理由を聞かれた弥四郎は「織田信長(岡田准一)にくっついている限り、戦いは永遠に終わらん。ほんのひとときでも、欲にまみれる夢を見た方がマシじゃ!」と言い放つ。
この一件に、かつて本證寺で見かけた歩き巫女・千代(古川琴音)が絡んでいると推察した瀬名は、八蔵を通じて千代に密書を送る。瀬名が住まう築山までやってきた千代に対して、瀬名は「家臣に手出しされるくらいなら、私がお相手しようと思って。お友だちになりましょう」と、自らが盾になることを告げるのだった・・・。
■ 謀反の理由は、下級武士が持つ不満の蓄積
本格的に家康VS勝頼ターンに突入した第20回だが、この辺りは家康が戦国大名としてだけでなく、プライベートでも激動というか、過酷というか、涙なしには語れないことだらけという時期。そのスタートを華麗に切ったのが、信康の家臣だった大岡(大賀)弥四郎が仕掛けた謀反、まさに現代風の言葉で言えば「クーデター」だ。
この理由については諸説あるが(なかには築山殿と恋仲だった、なんてトンデモ説も)、『どう家』では「先の見えない戦いに疲れた。どうせなら早く終わらせてくれそうな武田につこうぜ」という、理由なくこき使われ続ける下級武士特有の、不満の蓄積からという説を採用。これは現代人、特にブラックな勤め方をしている人なら、大いに同調しただろう。
SNSでも「『恩義や忠義というのは我らを死に向かわせるまやかしの言葉だ』大岡弥四郎からこんな名言が出るとは」「弥四郎の気持ちの根本は三河一向一揆の時の門徒と同じだ」「このまま徳川にいれば天下を取れたのに、長生きしたら平和な世を見れたかもしれないのに」などの言葉が並んだ。
また、朝ドラ『まんぷく』や『京都人の密かな愉しみ』などNHKドラマの常連で、これが大河初登場となった毎熊克哉にも「弥四郎が今現在そこに生きてるような、捕らえられ目を血走らせながら信念を語る演技に圧倒された」「期待通り、期待以上の大岡弥四郎」「今度はレギュラーキャラとして大河に戻ってきてね」などの、あたたかなコメントが多数寄せられた。
■ 出てくるだけで視聴者を不安にさせる千代
そして当然というか予想通りというか、岡崎のクーデターの糸をしっかり引いていたのが、武田とその間を取り持っていた千代。失敗したんだから、もうこれであきらめてくれるかと思いきや、なんと瀬名の方から火中の栗を拾おうとする、まさかの展開に! こんな形で築山殿が武田と接点を持つのかと、特に史実を知る人たちが悲鳴を上げることになった。
SNSでは「千代と直接交渉するか。お万が『あなたら政治ができる』と言ったのがこう来るか」「え!?そういう風に『築山殿が武田と通じた』ってなるの?」「あぁー瀬名さま、係わってはいけないよ」「やめてやめて、そのルートは、そのルートは・・・」「もう後戻りできない列車が動き出してしまった」などの悲痛な言葉が並んだ。
今やオープニングクレジットに出てくるだけで視聴者を不安にさせるという、『鎌倉殿の13人』の善児(梶原善)なみのキャラとなった千代。そして悲劇の予兆を少しずつ、ジェンガのように積み重ねてきた瀬名。その本格的なバトルは来週以降となるが、血を流す戦いのほうがよっぽどましと思えるような、壮絶な心理戦となりそうだ。
ちなみに信康の妻・五徳(久保史緒里)に「この上なくむごい処罰」をリクエストされてしまった弥四郎。実際に「鋸引き」という、この時代でもっとも残酷な処刑をされている。1983年の大河『徳川家康』ではその様子をしっかり描き、幼いころに見た筆者は今でもトラウマになっているほど強烈だった。気になる人は、腹をくくって検索してほしい。
『どうする家康』は、NHK総合で日曜・夜8時から、BSプレミアムでは夕方6時から、BS4Kは昼12時15分からの放送。6月4日の第21回『長篠を救え!』では、鳥居強右衛門(岡崎体育)から長篠城の救援要請を伝え聞いた家康が、信長から意外な条件を突きつけられる様が描かれる。
文/吉永美和子
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