光の反射で鶴が出現!? すごい畳、4色に見える職人技

11万以上の「いいね」がついた、2羽の鶴をデザインした畳(写真提供:山田憲司さん)
「すべて同じ色の畳ですが、光の反射を利用して、2色の鶴に見えるように計算して作りました!」とツイッターに投稿されたある写真。まるで敷居を越えて迫ってきそうな鶴は、なんと畳で表現されており、その超絶美に11万以上の「いいね」がつくほど話題となっている。
「その発想と技術に感動」「日本の伝統を新しい形で魅せる技」などと称賛されたのは、岐阜県羽島市にある「山田一畳店」畳職人の山田憲司さん。この畳は7月1日から京都の東福寺塔頭「光明院」(京都市東山区)でおこなわれる個展にも出展される。なぜこのような作品が作られたのか、話を訊いた。
■ 光の反射で、朝・夕で異なる表情も
──SNSで多くの方が反応していたように、「すべて同じ色のイグサ」なのに、どうしてこのような色の変化を作れるのですか?
畳の「織り目」の角度を変えることで、光の反射により色を変化させています。織り目は0度・45度・90度・135度に設定したので、縦・横・斜め・逆斜めのおおよそ4色に見えるのではないでしょうか。

──写真を撮る方向によっても、印象が変わりそうです。
たとえば龍の顔のデザインでは、正面から見ると歯は白色ですが、反対側から見ると金色に見えたり。今回の鶴も、朝日では嘴(くちばし)が光り、夕方には羽が金色に輝くなど、さまざまな表情が見られると思います。

──どの時間帯でも楽しめそうですね。完成までの期間は?
1人で作っているので、デザイン構想から完成まで約1年かかりました。投稿写真の鶴2羽は、8畳間(3.8m×3.8m)2部屋の空間で、301枚を組み合わせた畳になっています。後ろに見える庭園を作った重森三玲(みれい)さんのお名前にちなんだ数なんです。
■ テーマは、空間の境界をなくす?!
──どのような経緯で、この作品を展示することになったのですか?
2021年に思いついた案で、壁の無い解放された空間の床にデザインを付加することで、「室内と室外の境界が、曖昧になるのではないか」という仮説があり、イメージがピッタリだった「光明院」に交渉して実現しました。
──この鶴のデザインにも意味があるのですか?
庭園の枯山水を湧水に見立てて、そこに水を飲みに来た鶴のデザインにしました。鶴は「光明院」の寺紋でもあります。外部空間の庭園と内部空間の床に、共通のストーリーを作ることで、普段は分断されている空間を繋ぎ合わせた作品となっています。
──なるほど! そもそもこのようなアートな畳を生み出したきっかけも気になります。
30代の時に2年ほど無職でニートをやっており、暇な時間が大量にあったため、ほかにやることが無く、2018年から遊びで作り始めたのがきっかけなんです。
──SNSで話題になり、反響はありましたか?
「個展に行きたい」「行く!」とおっしゃっていただいている方が多く、畳に対する古いイメージを少しでも改善できたらうれしいなと思っています!
◇
鶴デザイン以外のアート畳も展示される東福寺塔頭「光明院」での個展『鶴の展覧会』は7月1日~30日まで(寺院拝観料・300円)。7月1日の昼3時から(15分間)、鶴の畳上でダンスパフォーマンスも実施される。山田さんによる作品解説ツアー(予約制・1000円)が実施される日も。
取材・文/塩屋薫
『鶴の展覧会』
期間:2023年7月1日(土)~30日(日)
会場:東福寺塔頭「光明院」(京都市東山区本町15-809)
拝観料:300円
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