突如出現で乗客困惑、JR東西線で見た「キタシンチマン」って?

2023.7.26 07:00

2023年6月末まで掲示されていた「得意技募集」のポスター(大阪天満宮駅にて)

(写真4枚)

ある日、JR東西線「大阪天満宮駅」の近くを通りがかった際、とあるポスターが目に入った。そこには「緊急企画 キタシンチマンの得意技急遽大募集」の文字と、申し訳なさそうに手を合わせるヒーローっぽい男性の姿が・・・。

得意技を募っているとのことだが、そもそも「キタシンチマン」って誰? JR東西線はよく利用するものの、初めて存在を知った。ポスターを見て、「なにこれ?」「誰やねんw」と困惑している沿線利用者もいたようだ。

これは直接話を訊くしかない! と生みの親であるJR東西線「北新地駅」の泉さんと、プロジェクトに関わる安全チームのみなさんを直撃した。

■ え? 取材場所に来てくれたヒーロー

──まさかのキタシンチマンにも同席していただけるとのことで、ありがとうございます・・・! 生で見ると、コスチュームが凝っていますね。何かモチーフがあるんでしょうか?

このコスチュームは手作りなんですが、JR西日本のカラーがコバルトブルーなので、「JR要素」を入れて青色にしています。耳元にある渦巻きの模様は「ヒーローぽい概念」を意識しています。

取材に応じるキタシンチマン。言葉少なな様子

──そもそもキタシンチマンは、どういった存在なのでしょうか?

キタシンチマンは、2022年の夏頃に生まれたキャラクターで、コンセプトは「安全」です。「安全」といえば、どうしても難しいイメージがありますよね。でも楽しく正しく知ってもらいたい!という考えから生まれました。

──「ヒーロー」であるのはどうしてなんでしょう?

当駅では近隣の幼稚園や小学校で鉄道に関する安全教室をおこなっているのですが、コロナ禍真っ只なかとなると普段しているような「電車ごっこ」のような遊びができなくなってしまって。ほかの楽しそうなものを探した結果、子どもたちが好きなヒーローショーはどうか、ということになりました。

──そうなんですね。キャラクターデザインも泉さんが手がけたんでしょうか?

デザインは、当初私が試みていたんですがなかなかうまくいかず・・・。工作が得意な先輩駅員に、コスチュームなどのデザインをお願いしました。そこからキャラクター作りなどを、チーム全体で詰めていきました。

■ 大人からも「なんやこれ!」と反響

──実際のところ、駅の利用者などの反応はいかがでしょうか。

お子さんの安全啓発のため生まれたキャラクターですが、大人からも「なんやこれ!」と、興味を持っていただいています。ただ、今のところ安全教室を中心に稼働しているため露出は少なめです。

今年6月10日に実施した駅構内での安全キャンペーンでは、SNSなどを中心に反応をいただいたので、これからどんどん表舞台に出て活動していきたいですね。

──ちなみに、キタシンチマンのバックボーンが気になるのですが・・・。

今明らかになっていることは「北新地駅に住んでいる」ということだけで・・・。とりあえず、正体は「謎の存在」でお願いします(笑)。

──なるほど、ミステリアスな存在なんですね。 最後に、キタシンチマンから意気込みを聞かせてもらってもいいでしょうか?

では、私が代弁させていただきます。「これからもお客さまをはじめとし、地域のみなさんに楽しく安全を学んでいただけるよう身体を張っていきます」とのことです!

キタシンチマンと、北新地駅の創立当時からいる古株的存在・キタノザウルス。同駅の2大キャラクターとして活動していく

◾️ 得意技募集には188通の応募

今回発端となった「得意技募集」ポスターは、北新地駅・大阪天満宮駅の2駅に掲示されていた(現在は撤去)。

駅に設置していた応募用紙は、得意技名と由来・意味、武器を使う際は武器のイラストも添えられるようになっており、2駅で約188通もの応募があったとか。

キタシンチマンの耳にある飾りを使った「キタシンチマンブーメラン」など、個性的な技が寄せられているといい、駅員が頭を悩ませつつ選定中だという。決定した得意技は8月中には発表予定で、9月8日に近隣の日吉小学校でおこなわれる安全教室でお披露目される。

取材時、興味津々な同駅利用者たちから「アレなに!?」「水分補給せなあかんよ!」など、声をかけられていたキタシンチマン。今後は、北新地駅でおこなわれるイベント、駅に関連するサービス・啓発に関するポスターにも起用していくそう。人気者になるポテンシャルを秘めた存在だけに、今後の活躍が見逃せない。

取材・文・写真/つちだ四郎

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本