ロック云々を超えた「過剰さ」、筋肉少女帯の35周年ライブ

2023.9.8 20:00

筋肉少女帯

(写真1枚)

メジャーデビュー35周年を記念し、伝説のロックバンド・筋肉少女帯がオールタイムベスト『一瞬!』をリリース。それを携えたライブの大阪公演が、11月15日に「なんばHatch」(大阪市浪速区)で開催される。

バンドブームが勃発しつつあった1988年、現在も伝説として語り継がれるナゴムレコードからインディーズデビューした筋肉少女帯。1987年にリリースした自主制作EP『高木ブー伝説』が話題を呼び、1988年にメジャーデビュー。

フロントマン・大槻ケンヂの唯一無二のキャラクターとコミカルな歌詞や衣装やパフォーマンスでサブカルファンを中心に熱狂的支持を集め、80年代バンドブームを象徴するバンドへと上り詰めていった。

90年代初頭にはバンドブームも下火となるが、バンドは独自のスタンスを保ちながら安定した活動を続けていた。だが、大槻ケンヂのソロ活動(文筆業含む)が増え、次第にメンバーのモチベーションも下がり、1997年に活動休止を発表。その後、活動再開に向けて動くが、メンバー間で行き違いもあり、疲労した大槻が脱退を表明。一時はメンバーが絶縁状態となり、バンドも長らく凍結状態となっていた。

だが、徐々に関係を修復し、2006年に大槻が当時雑誌に連載していた小説「筋肉少女帯物語」の最終回とともに、実に8年ぶりに復活た。翌2007年には10年ぶりのオリジナルアルバム『新人』を発表。2018年にはメジャーデビュー30周年を記念したオリジナルアルバム『ザ・シサ』をリリースし、大型ロックフェスにもコンスタントに出演するなど、充実した活動を見せている。

80〜90年代は一種のアイドル的な人気が先行していた感もあったが、その楽曲を今フラットに聴いてみると、70年代洋楽ハードロックを独自に消化しながら日本語ロックの可能性をユーモアと知性をもって追求したものであり、その突き抜けたオリジナリティには、好き嫌いを超えて感服せざるを得ない。

2022年、大槻が『5時に夢中!』(東京MX)に出演した際、「今の若い人はロックなんて誰も聴いてないです」と自虐的に語っていたが、筋肉少女帯というバンドのロック云々を超えた「過剰さ」は、今の若者にも一蹴して新鮮かつカッコよく映るのではないだろうか。年を重ねることで自我が薄れ、それぞれの役割を尊重しながら音楽を奏でる彼らを見ると、バンドっていいなあとこちらも楽しくなってくる。

6月には、新曲『50を過ぎたらバンドはアイドル』を含むメジャーデビュー35周年記念のオールタイムベスト『一瞬!』をリリース。11月15日に予定されている「なんばHatch」(大阪市浪速区)の大阪公演は、そのリリースライブで、元メンバーの三柴理(Key)と長谷川浩二(Dr)も参戦。新旧ファンともに満足できる、濃ゆい一夜となりそうだ。

チケットは9月9日発売。全席指定8800円(ドリンク代600円別途用)。未就学児童⼊場不可。

文/井口啓子

筋肉少女帯ツアー『一瞬!』〜メジャーデビュー35周年記念

日時:2023年11月15日(水)・19:00〜
会場:なんばHatch(大阪市浪速区湊町1-3-1)
料金:8800円(全席指定、ドリンク代600円別途要)※未就学児童⼊場不可
電話:06-6357-3666(清水音泉)
※チケット一般発売:9月9日

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