片岡愛之助の教訓「新しいことをやりつつ、古典を大切にする」

2023.9.27 07:30

舞台『西遊記』で主演を務める俳優・片岡愛之助

(写真9枚)

2023年は5本の出演映画が公開されるなど、数多くの作品に引っ張りだことなっている、大阪出身の歌舞伎俳優・片岡愛之助。1978年に放映された同名ドラマにインスパイアされた舞台『西遊記』では、猿の妖怪にして無敵のヒーロー・孫悟空役で主演をつとめる。

正統派の男前から狂気のキャラクターまで、多彩な演技の礎となったのは、やはり歌舞伎・・・しかも古典作品へのこだわりだったとも言う。そんな愛之助に、『西遊記』のお楽しみポイントや、若い頃から変化した仕事観などについて語ってもらった。

取材・文/吉永美和子 写真/木村正史

● 「やっぱり悪が勝つより、正義が勝つ方がいい」

──ちょうど取材の前日に『翔んで埼玉~琵琶湖より愛を込めて~』の特報を拝見しましたが、愛之助さん演じる大阪府知事役は、また強烈なキャラクターですね。

最初に台本読んだときは「これ、アウトレイジ?」と思いました(笑)。先日、吉村(洋文)知事に会ったときに「僕、もうすぐ公開される映画で大阪府知事やるんですよ。吉村さんがモデルじゃないんですけど、多分観たら怒ると思います」と言ったら「絶対に行きます」とおっしゃっていました。

ドラマや映画でも活躍する愛之助、11月公開の『翔んで埼玉~琵琶湖より愛を込めて~』にも出演する

──今ごろ唖然としてるかもしれませんね。

あんな風になったらどうしましょう(笑)。あの衣裳、池乃めだかさんのスタイルなんです。「大阪の人、わかってくれるかな?」 って、ドキドキしてるんですけど。

舞台『西遊記』の公演ビジュアル

──ああ、言われてみたら確かにめだか師匠です! しかしあのキャラクターを見て「本当にこの人、NGあらへんなあ」と、改めて感心しました。

それはもちろん、役者ですからね(笑)。役をしてこそですから、できないことはないです、もう。

──そして次は『西遊記』ですが、私も愛之助さんと同世代で、やっぱり子どもの頃にあのドラマを夢中になって観ていました。

今見ると、悪役のメイクとか大雑把に見えたりしますけど、子どものころは怖かったですよね? あの当時の最先端の技術を使っていましたし、そういう意味では当時の僕らが「すごいなあ」と見入ってしまう、魔法みたいな世界ではありました。

──善と悪がきっぱり別れた勧善懲悪なストーリーも、時代だなあと思います。

やっぱりお客さまが求めているのは、「わかって見る勧善懲悪」じゃないでしょうか。たとえば『水戸黄門』だと、時間になったら「これが目に入らぬか!」っていう展開になるのがわかっているけど、みんなそれを喜ぶ。それは今でもそうです。『半沢直樹』とか。

──「倍返しだ!」「キター!」って。確かに今でも同じでした。

やっぱり悪が勝つより、正義が勝つ方がいいですしね。それと『西遊記』は悟空だけじゃなく、キャラクター1人ひとりが際立っているのも魅力です。みんなで一緒に旅をして、いろんな事件に巻き込まれたり、引き起こしたりするなかで、それぞれの事情や人生が見えてくる。その人生を観ていただくことが、非常に楽しいんじゃないかと思います。

舞台『西遊記』

期間:2023年11月3日(金)~5日(日)
会場:オリックス劇場(大阪市西区新町1-14-15)
料金:S席1万5000円、A席9500円、B席5500円

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