京都・東福寺で特別展、2mの仏手など大スケールの展示品揃い

2023.10.8 08:00

展覧会初出品となる全長2メートルを超える巨大な『仏手』。同寺旧本尊の大きさをよく表す遺例 

(写真8枚)

新緑や紅葉の名所として知られる京都の禅宗寺院「大本山東福寺」(京都市東山区)。その特別展が10月7日、「京都国立博物館」(京都市東山区)にて開幕した。国指定の文化財を100件以上も保有する同寺の歴史と禅宗文化の全容が体感できる内容になっている。

■「東福寺」の歴史と壮大なスケールを体感

鎌倉時代前期に摂政・関白を務めた九条道家が、当時最高の中国禅を極めた円爾(えんに)を迎えて創建された同寺は、度重なる火災により焼失した壮大な伽藍を室町時代初期に再建。奈良の「東大寺」の大仏に対する「京都の新大仏」など、その圧倒的な規模感で「東福寺の伽藍面(がらんづら)」という通称で知られている。

同展は巡回展となり、今春の東京開催時と比べて約30件展示数を増やし、さらに京都限定で50件余りが新たにお目見えする。3階建て全フロアをフルに活用し、円爾とその弟子たちが中国大陸との交流を深めながら、禅宗文化が花開いていく様、そし天井の高い空間で「伽藍面」のスケールが体感できる構成に。

■重要文化財『五百羅漢図』全50幅が初公開

『五百羅漢図』第1号幅 一部の作品では、絵をわかりやすく解釈できるよう、吹き出し付きで解説が読めるマンガ形式の展示が横に設置されている

目玉となる展示は、重要文化財『五百羅漢図』。同寺所属の絵仏師 明兆の代表作で、14年にのぼる修繕期間を経て、同展で初めて全幅が公開される(前期・後期で入れ替えながら通期で全幅に)。

『五百羅漢図』には、釈迦の弟子500人の羅漢を1幅に10人ずつ描きながら、さまざまな神通力をつかう様子や生き物から供養を受ける様、さらに僧院での生活などが中国画の影響を受けた水墨と極彩色が融合した形で表現されている。一部作品の隣には、その作品の解説がコミカルなマンガタッチで描かれているといった試みも。

最後のフロアとなる1階には、同寺の壮大さを体感できる「巨大群像」や「彫刻」が登場。特大サイズの香炉や燭台、さらに明治14年に焼失した旧本尊の2mを超える巨大な左手『仏手』も。かつての壮大なスケールを知れる貴重な遺例となっている。

「大本山 東福寺」爾法孝(そのほうこう)氏は「今回は地元京都、さらに紅葉の季節に開催できるということで、さらなる盛り上がりを期待している。貴重な彫刻、書籍、工芸品などの禅宗文化財をあまねく公開するこの機会が、東福寺にお越しいただくきっかけになればうれしい」と語る。

また会期中の11月11日から12月3日には、同寺の本堂にて室町時代の絵仏師・明兆の超大作、縦12メートル・横6メートルの『仏涅槃図(ぶつねはんず)』が特別公開される。同展は12月3日まで(うち前期は11月5日まで)。場所は「京都国立博物館」内「平成知新館」にて、チケットは一般1800円ほか。

取材・文・写真/宮口佑香

特別展「東福寺」

期間:2023年10月7日(土)~2023年12月3日(日)
   前期展示:10月7日(土)~11月5日(日)
   後期展示:11月7日(火)~12月3日(日)
※月曜休(10/9は開館、10/10日は休館)
会場:京都国立博物館 平成知新館(京都府京都市東山区茶屋町527)
料金:一般 1800円、大学生 1200円、高校生 700円
電話:075-525-2473(テレホンサービス)

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